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フェンリルに転生した俺、人間に復讐を決意します  作者: アイスマシーン
灰の王編
114/118

113.悪魔は確かにほくそ笑む

それは唐突だった、頭の中に映像が流れ込んだ。

勇者がゼンに挑み勝利する姿。そしてもう一つ。

シータが、僕が、皆が。勇者に挑み、無残に敗北する姿。

「卍天魔法……?」

勇者は使えないはず、何故?

そもそもなんだこ、これ、は。



「ラプラス?君の魔術か?」

だとしたら数ある可能性の一つ、その未来を見せられた?

何か……嫌な予感がする、何か……。

自分の呼吸が荒くなるのが分かる。

理解したからだった、この魔術の意図を、あの言葉の真偽を、この先の未来を。



アクは卍天魔法を使えるという事はゼンも同様に使えるとしたら?もし勇者がそれを見て卍天魔法を覚えたとしたら?完全なる無敵が完成して誰も倒せなくなる、何も変わらなくなる。どうにかしなければいけない、今ここでとれること考えたら……僕が勇者に立ち向かい、卍天魔法を使わず。勇者とゼンを会合させないよう時間稼ぎをしなければならない。


「嘘だ……勇者に卍天魔法無しで挑む。それは、死だろ」


「クッッッソ!ラプラス」

あの、ラプラスの言葉の通りに――。

あの未来の通りに動いている。こんな所で……あいつとの記憶に縋るなんて……。


こんな時に、こんな所で……。

でも、仕方ないか。

「これもまた運命……抗うよ、君の見た通りにはさせない」




「どうも、会うのは初めてだね。勇者」

「……子供か?避けろ、急いでいる」

森の中ゼンの巨体がかすんで見えるくらいの場所で僕は勇者に遭遇した。

「そうもいかないんだよね、【空間遮断】」

そう呟いた瞬間、障壁がこの辺り一帯を包んだ。

【転移】を防ぐ障壁の補助魔法。



「何をするつもりか知らないけど無意味だ、ここを通せ」

「無理だね、君はここで死ぬ」

「敵でいいんだな?」「好きに捉えなよ、結局変わらない」

「【聖なる光を放つ聖剣の意】」



光の剣が勇者の手元に握られると同時にその剣は振るわれた。

それを寸でよけるとあたりの木々一斉に倒れていく。

「避けるか、やはり人間ではないか」

「だからって攻撃してくるなよ、呪いに引っかかたらどうするつもりなのさ」

「当たらんだけだ、気にすることはない」


勇者は聖剣を投げてきた。それを後ろに飛び退けよけた。

それと同時に距離を詰めてくる、魔法を使わない一撃。けんせいか様子見か?

結界魔法を使いそれを防ごうとする……だが。

「は?」

結界は軽々と破られた、焦って腕でガードするがそれすらも意味がなく吹き飛ばされる。

マナでの身体強化で……僕の結界を軽々破るとか。

「傷つくなぁ、これでも僕補助魔法の精霊なんだけど」

そう言って立ち上がる。

(精霊……いや、今細かいことは良い。だがなんだ精霊というのに肉体がある、マナ体ではない)

折れた両腕を回復魔法で治すとまた両者共々魔法を構える。


「「【レーヴァテイン】 【抑圧の波】」」

赤い熱波と青い衝撃波が激突し拮抗する。

しかし、赤い熱波の威力は上がり続ける。

(まず、一つ)


青い衝撃は押し負け、僕に熱波が襲ってくる。

それを避けながら近づき、さらに魔法を唱える。

「【返上】」

すると勇者の体が落ちるように宙に浮いて行く。

(浮き上がり続けるか……面倒だ)

「【今生権化終焉之剣】」

黒い閃光を煌かせその剣を握った勇者は空を蹴り飛ばしこちらへ迫ってきた。

着地すると同時に剣が展開、こちらへ飛んでくる。


結界を生成しそれを防ぐと同時に切りかかってくる。

近接戦に持ち込まれたら僕の結界魔法だろうと強度が足りない。

「神に何でこんな化け物作ったか聞きたくなるね」

「知らん、死んでから聞け」

その剣は確かに僕の体に幾つもの傷を付けていく。

致命傷を避けながら攻撃を受け続け反撃に出るタイミングを探る。


(あと一つ)

「【淡い惨状】」

剣が切り替わったと同時に、強烈な悪寒が走った。

本能が叫んだ。

(これは――まずい!!)

剣を振り下ろすと、その剣戟は世界を断った。


空が割れ、地が砕け、森の奥深くへと一直線に光が走った。

静寂――その後に、すべてが遅れて崩れ落ちていく。

大地が軋み、引き裂かれた森が呻くように崩れ、

一帯が戦場としての顔を見せ始めた。

勿論僕もただじゃ済んでない。左半身は全て切断された。


「地図かいてる人に謝りなよ」

「辺境だ、誰も困らん」

回復魔法を使わせまいと迫ってくるが、一度マナ体を経由し体を再生。

瞬く間に再生は終わる。

(強い、今まで戦った中でも群を抜いて。なら)

「|【殲滅を目指す魔剣の意】《アポカリプス・インカーネーション》」

傍に剣を浮かせながら剣にマナを収束させていく。


「ほんっとうに、怪物め」


「【刻刀】」

次の一振りの剣を生成すると振るった瞬間に空間に、亀裂が入った。

時間が一瞬止まったようになり、次に見えたのは僕の首が飛んでいた映像だった。

「気分が悪いね」

「幻影か、悪いが気分が悪いのは私の方だ」


「いいや、僕の方だよ。ずっと狙ってたことを小規模とは言え先にやられたんだ」

「……!魔法陣」

上空に見える三重の魔法陣。


「半径100m大規模補助魔法」

「【減葬死域】」

その言葉と共に空間の中の時が止まる。


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