PHASE-3 (眷属に導かれた出会い—後編)_part_B
『…大変だ、こりゃめちゃ大変だ~—!!』
『どうしよう…蓮は未だ死にたくない…』
男の子はいきなり暴走して走り回り、女の子は力なく座り込んでいる様子を見てると、リシアはふたりをなだめながら、現状について尋ねました。
「?!ほっ…ほら、お二人とも、少し落ち着いて。今いったい、何が起こっているんですか?」
次の瞬間、紅は慌てて顔を寄せてきた
「見えなかったのか、お前ら。門が開いたんだぞ!その特殊な術をかけられた正門は、普段は閉ざされていますから、たとえ俺たちでも、いつも裏口から出入りしているんだ。ということは今、兄貴はもう修行から帰ってきたのことだ!」
「修行?まあ、よくわからないけど、しかし今帰ってきたらよかったじゃない?ちょうど彼に用があったところだし…」
「まだわかねえのか!兄貴がわざと門を閉めなかったってことは、きっと何か大事な用事があったので、俺たちが玄関から直接入って、彼に会おうようにという意味なんですよ。もし俺たちが、前に人間の女の子を隠していて、しかも人質を見失っていたことが、兄貴にバレてしまったら……」
「私達はきっと…ひき肉にされています~(QへQ)」
蓮はかわいそうな顔をしながら、震わせ声で言いました
「うへえぇ~!!そっ、そんなに怖いの……」
それを聞いたマルコは、びっくりした
「…あっ、あの~せっかくお二人を安全にここまで連れてきてくれたんだから、あとで兄貴に会ったら、きっと俺たちのために、少しはとりなしてくれるんだろう?(^ ∀ ^lll)」
「お姉さん…助けて……」
この時、二人の顔には『救難信号』がかかっているようだった
「えっ?!いや、なんで私が(=д=;)…?!それに、最初に見ず知らずの不審者を、あの『偉大な王様』に会わせてはいけないと言い出したの方は、いったい誰なのかしら~」
「?!そっ、そんなことが…いや~気のせいだろう、きっと何か聞き間違いとか…さあ、どうぞどうぞ^^」
口ごもって返事をすると、子どもたちは慌てて後ろに回り、彼女たちを押しながら強引に前に進みました。
「ちょっ?!ほら押すな、自分たちで行けるから…それに……(この子たちをそこまで怖がらせるとは、あの男って、いったいどんな存在なんですか)…」
「ねぇねぇ、入り口の上にかかってるの看板になんて書いてあるの?」
マルコが指さした方向を見て、紅は答えました
「うん?あぁ~あれは神の文字で、そこに書かれているのはこの塔の名前、つまり『熾烈鳳煌殿』だ」
「熾烈…鳳煌殿……か…」
姉妹は前方の巨塔をちらりと見てから、また歩き出しました
熾烈鳳煌殿——
ここはまさに南の守護者とその眷属たちの居場所である。立派な神殿は巨大で頑丈な岩に囲まれた。しかもこの塔が唯一の建物なので、この山地の周りではとても目立ちます。そして塔のてっぺんには、関系者以外立入禁止の謎の部屋が設置されているらしい。
まあ、もちろん、それだけじゃない…
『…へえ~なんだか中が広そうですね……お…お邪魔しまぁ~…?!あついいいいい——!!!』
リシアが入り口に到着し、神殿の玄関に足を踏み入れようとした瞬間、巨塔の防衛システムが急に起動し、見えない空圧が床から押し寄せ、彼女の靴は一瞬で燃え上がりました。
「?!あっ、忘れてた……」
「えっ?!ごめんなさい、いま切ってきます…」
それを気づいた蓮ちゃんは、すぐ神殿の中に飛び込んでいきました
「あつあつあつあつ・・・」
リシアは震える声で叫びながら、あわてて靴についた炎を消そうと蹴り飛ばした。そばにいた紅は、片手ですばやく彼女の足をつかむと、燃え続ける炎を自分の手に取りつけ、そして大きく振って消えていきました……
「ほら、もう大丈夫だ。これくらいの火では死なねえから、落ち着け、巨乳牛…?!」
「てめえ……よくも私たちを馬鹿にしてるだよなぁ!もしさっき足じゃなくて頭から突っ込んでいたら、人生終わってたじゃないですか!」
リシアは慌てて自分の足を相手の手から離すと、彼の服を引っ張って叱りました
「…チッ!…はいはい、俺のせいです。急に忘れてしまって、すみません……ったく、これでいいだろう。わざとじゃねえからなぁ~」
「…そういう問題じゃ……」
「なあ、蓮、さっきの機能はもう切ったんだろう。兄貴に連絡したか、今どこにいるの…?!もしかして…俺たちのこと怒ってるんじゃ…」
今まで両手を伸ばし、大広間の中心に置かれて、通信機能を備えた巨大な結晶に触れ、神殿の防衛システムを解除した蓮は、急に感知モードから目覚め、目を開けて紅の疑問に答えました。
「はい、これで安全を確認した。兄貴はお風呂で…今お客さんを連れて行くように指示されて…怒ってないみたい……」
「そっか、ならよかった~……?!って、やっぱ気が付いたのか、こいつらのこと!!はあ~まあいい、んじゃあ行こうぜ。靴のままで入っても大丈夫だ…」
手を離したリシアは、紅が堂々と大広間に入っていくのを見届け、そして二人に案内されて、フェニスのいる場所へと向かいました。
◇―――――――――――――――――――――――――――――◇
「…ほら、着いたぞ。さあ、中に入る前に、お前達の荷物と靴をそこへ置いてくれ」
紅は隣の物置を指差しながら、冷たい口調で二人に言いました
「えっ?!いや、君の兄さんはまだお風呂でしょ?いま直接入ったら…なっ、なんかちょっと……」
「はあ、何か悪いの?別に服を脱がせて、兄貴と一緒にお風呂にするわけじゃねえし、そんな資格もねえよ、お前ら。」
「誰が見知らぬ男と一緒に風呂に入るもんですか!たとえ私たちに命令しても、絶対に脱がしませんから、このバカ!」
「…ったく、じゃあ何を心配するんだ?ほら、もうこれ以上ぐずぐずするな、早くしろ。だいたいお前らも、さっきから早く兄貴に会いに行きたいだろう…」
「?!…分かってるわよ、少し待ってて…」
自分たちの荷物と靴をおろした姉妹は、二人のうしろをついて、風呂場の戸口まで来ました。そして二人はその前にぼんやりと立っていました…
「うえぇ~なんだか急にドキドキした……ねぇ、お姉ちゃんもそうだよね?」
「えっ?!えぇ~(いよいよ彼に会うのか…この地を支配するの王者なんて、いったいどんな男なのだろう…仙人みたいに長い髭を生やしてたのジジイとか、それとも実は巨人だったのか…しかも初めて会ったのは、こんな場所ですなんて…うわあぁ~ますます緊張してきた(꒪﹏꒪;)…」
「よお~お帰り、兄貴!修行はうまくですか?」
紅が門を開けた瞬間、暖かい湯気が風に乗って隙間から吹き出してきて、それから、紅葉絶景が楽しめるの癒し温泉が、姉妹の視線に刻まれました。
「…お邪魔しま…うえっ( ºΔº )?!」