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金魚は孤独が好きなのか?

作者: 久賀 広一

ある日、気まぐれに飼いはじめた金魚が、一匹になってしまった



三匹いたうちの二匹が死に、孤独にただよう出目デメキン



小さめの20リットルの水槽も、いくらか余裕が感じられる



一週間が経ち、二週間が経ち、一ヶ月が過ぎたころ、孤独にエサをさがして水槽の底をつつく魚を見て思う



「おまえ寂しいか? また仲間増えたら嬉しいのか?」



以前、一気に買い足したら、ストレスのためか元々いた金魚が死んだことがある



だから、今回買うのは一匹だけ



「仲良くやれよ」



袋のまま浸けて水温を合わせ、新しい友人を入れてやる



頭の真っ赤な丹頂タンチョウ



元気に泳ぎ回って、水槽に活力を与えてくれている



もといた出目金は、どうなのだろう



「どこ吹く風?」それとも「寂しくなくなった?」



分からない。分からないが、その出目金は、二週間後には死んでいた



…おい!



そこまで辛かったのか? ゆうゆうと孤独に泳いでいた頃は寂しくなく、たった一匹増えただけで死ぬほど窮屈だった?



ウチのは20リットル水槽だから、「10リットルにつき金魚一匹がいいでしょう」というネットの情報基準は満たしていたのに!?



…分からない…



理解できたのは、これから最後の一匹になってしまった水槽に新しい魚を投入するのは、即座にしなければならないということ



時間を置いて一匹に慣れてしまえば、もう他の魚は受け付けなくなることもあるということだった…



だがしかし、遠出して買いに行く気がしない…



だからゴメンな? 新しい丹頂タンチョウ



しばらく(おそらくは永遠に、死ぬまで)、主人と一匹でやっていこう



何も気にすることがない、悠々ゆうゆうとした孤独もいいものさ



縁があれば、手に入るものもあるし、ただ命に誠実に、ゆっくりと生きていこう



と、思いながら「やっぱりコイツは寂しいのかな?」と爆弾を投入することに迷いながら、エサをやるたびに、悶々とする毎日であった…











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