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7 召喚魔法


 計画は上手く行った。


 魔法を奪うアーティファクトは正常に作動し、召喚魔法は僕のもの。


 幻獣さえ僕の支配下だ。


 事情を尋ねてくる邪魔な部外者もいるがその辺の誤魔化しは知人が、そう知人がやってくれている。


 僕は何の気兼ねもなくただこの最高の魔法を楽しめば良い。


 幻獣の力でシルバーからゴールドランクの冒険者にも直ぐなれた。


 プラチナランクになって名声を得るのもそう遠くない。


 何一つ良いことがなかった人生を歩んできた僕はようやく勝ち組になれた。


 ただ一つ懸念があるとすれば、それは――


「幻獣が召喚に応じない?」


 ケインは怪訝そうな顔で僕を見つめている。


 仲間にそんな目で見ないでほしいものだけどね。


「今までにそういうことがあったかい? という話さ」

「なんでそんなことを聞くんだ? まさか」

「不測の事態に備えてさ。僕はまだこの召喚魔法を得てから日が浅い。万が一、そんなことが起こったら大変だろう? 万全を期したいんだよ、僕は」

「……さぁな。俺の知る限りじゃそんなこと一度もなかったぜ」

「そう……じゃあ、召喚した幻獣が言うことを聞かなかったりとか」

「まぁ、それはあったかもな。だからジ――あいつは初見の幻獣を仕事では使わない。事前に一度は必ず確認してたよ」

「なるほど、よくわかったよ。ありがとう」

「……あぁ」


 ジンから召喚魔法を奪った時、残りの二人を誘ったのは気まぐれじゃない。


 そのほうが面白そうだと思ったのは事実だけど、真の狙いは別にある。


 それは元の持ち主だったジン以外で、この二人がもっとも召喚魔法に詳しいからだ。


 一番近くで見続けてきた二人なら、なにか問題が起ころうともヒントを貰える。


 そうでなければジンの腰巾着だった特別優秀でもない二人を誘ったりしない。


 必要なことが全部聞けたら適当にパーティーを解散しようかな。


「それにしても……」


 早速、問題が起こった。


 神狼マガミが僕の償還に応じない。


 一度は応じたのに、それ以降は一度も僕の前に現れなくなった。


 ケインの話を聞く限りだとマガミが僕を拒んでいる可能性が高い。


 飼い主が変わったことがよほど不満らしい。


 他にもそんな幻獣がいるかも知れない。


 だが、一度は召喚に応じるならやりようはある。


 リスクになるが初見の幻獣を仕事で使おう。


 なに、多少言うことを聞かなくても幻獣に敵う魔族や魔物はいない。


 幻獣なんて幾らでも召喚出来るんだ、使い捨てにしたって構わないだろう。


 だが、鬱陶しいな。ジン。


 あいつのせいで召喚魔法を十全に扱えない。


 あの時、殺して置けばよかったかな。


 殺していても現状に変わりはなかっただろうけど、憂さ晴らしにはなる。


「ごめんなさい、遅れたわ」


 集合場所の公園にフィアが現れて全員が揃う。


「いいよいいよ。どうせ仕事なんて直ぐに終わるんだから」

「えぇ、そうね」

「じゃあ、揃ったしお仕事をしに行こう」


 何もかもが上手く行く。


 世界は僕を中心に回っていると実感できる。


 僕がこの世界の主人公だ。

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