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20 有力情報


「宝石をどこで見付けたか? あぁ、あんたらもあの冒険者たちと同じ口か? 宝石で一儲けがしたいってんなら辞めといたほうがいいと思うぜ、俺」

「俺たちは別に宝石が欲しいわけじゃない。寧ろ、何とかしようって考えてるんだ。そのためには宝石の保管場所を押さえておかないと」

「ふーん。まぁ、美味い飯をくれるんならなんだっていいけど。忠告はしたぜ」


 後のことは知らないと言った風な態度で、ホロはスープを飲み干した。


 実際、後のことは少年には関係ない。


 カーバンクルを見付け出し、宝石をすべて石に帰せばそれでこの件は解決する。


 関係性がなくなる。


 後のことは俺たちの仕事だ。


「えっと、宝石をどこで見付けたか? だっけ。俺が盗んできた所は林業家だったぜ。場所は――」


 ホロから住所を聞く。


「林業家。まぁ、当然と言えば当然ね。これだけ緑があって林業が栄えてないはずもないし、一番被害を受けてると言ってもいいわ。リゼスノロリアの森にも詳しいでしょうし」

「だな。自体の解決に一番力を入れているはずで、だから宝石を見付けられた」

「あの薄気味悪い宝石をな。なんであんなの盗んじまったんだろ」


 あるいはその盗みも宝石に魅了されたからなのかも知れない。


 まぁ、この街で生きるホロの生活の術というだけという可能性も高いけど。


「でも、あいつらかなり宝石を溜め込んでたぜ」

「どのくらいだ? 具体的には」

「そうだな……俺が座ってるこのベッドの上に山積みになるくらいかな」

「そんなに? ジン。ちょっと不味いんじゃない?」

「あぁ、思ったよりも深刻そうだな」


 すでに大量の宝石が確保されているとなると、この街の外に宝石が出回っているかも知れない。


 ただの観賞用ならいいが、宝石を利用して人を思いのままに動かそうという輩の手に渡っているかも知れない。


 これは悠長にしている暇はないかも。


 明日の朝、一番にリゼスノロリアの森に行ってカーバンクルを迎えに行かないと大変なことになってしまう。


「なぁ、もういいだろ? 質問には答えたんだ」

「ん? あぁ、そうだったな。ほら」

「やった、肉だ!」


 メインディッシュとなる肉料理を渡し、ホロはそれに即座にかぶり付く。


 まるで数週間ぶりのまともな食事であるかのような食いつきっぷりだ。


 単に食べ盛りなだけか、環境故か。


 それこそ俺たちには関係のない話だけれど。


「用事は済んだ。喰ったら帰って良いぞ」

「えぇ! こんなふかふかなベッドに寝かせておいてそれねーぜ。今日一日くらいここに泊まらせてくれよ」

「そこまでしてやる義理はない。ほら、帰った帰った」

「あー……なんだか気が遠くなってきたなぁ。宝石の後遺症かもなー」

「こいつ……」


 情に訴えかけて来やがった。


 事情を知らないホロにしてみればただの仮病だろうが、カーバンクルの宝石のせいで体調不良が起こった可能性が万分の一でもあるなら俺は要求を拒否できない。


 元を正せば俺から召喚魔法を奪ったクレストのせいなんだけど、責任を感じてしまう。


「言っておくけど、あたしの部屋に男は一歩だって入れないわよ」

「言われなくてもわかってるよ。というか、選択肢にも入ってないから」

「そ。ならよかった」


 ここは俺が折れるしかなさそうだ。


「わかったよ、好きに使え。俺は椅子で寝る」

「やったー! ふかふかのベッドだー!」


 体調不良はどこへやら。


 ベッドが壊れそうなほど跳ね回っている。


「はぁ……」


 まぁ、有益な情報も入ったことだし、その代償ということで手を打とう。


「朝飯はないからな」

「ケチ!」

「窓から放り投げてやろうか」

「おやすみなさーい」


 布団を被って姿を隠したホロにまたため息を吐く。


 逞しいことこの上ないな、この子は。

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