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ラ・ラガス~創造魔法で異世界を生き抜く~  作者: タツノオトシゴ
水天一碧の広大な場を駆け巡る
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英雄譚に隠れる闇

あの戦いの中で自分なりに…もう少し上手く立ち回ることはできなかったのだろうか。あのジェバルのように魔法を多用することはできないがアレのせいで自分にしかできない魔法はあったのにいつも後から来る最悪過ぎるデメリットの方が頭から離れず十分に動けなかった。ただ、これを克服できるのなら何も考えずに動けると言うのに…


「ッ……!」


頭の中で愚痴を吐きながらも意識が段々と戻っていき薄目だがゆっくりと目を開けようとしたのだが全身にとてつもない激痛が走った。すぐに患部に手を当てようとするが両手首に鎖が掛けられており自由を奪われていてそれは無惨にも叶わなかった。

痛みで目を覚ますのはいつぶりか…目の前には当たり前のように檻が立てられ元々動けない身だがここまで厳重にされると魔力を利用して傷口を治癒できないじゃないか…痛むが我慢するしかないようだな。


「そこのお前…気ぃついたか?」


「あぁ……気持ち悪い程の痛みで頭がはち切れそうだしここは暗くて見えないのだが声だけなら聞こえる、お前もあの脳筋野郎にやられた口か?」


「脳筋……さぁ、分からないが海底都市に築かれている塔に居座っている守護者の誰かにやられたんだろうな。こちらもこちらでお前さんの姿が見れないがここまで守護者に対して反抗的で傲慢な口を動かせられるのは外部の奴等…というより希望でもある『お星様』なんだろうな」


暗くて見えないが自分から見て右手の方から声が聞こえる、同じ部屋にいるだろう男の声が異様に部屋に響いた。全く見えないというのに俺のようにペラペラと喋るものだ、こんな所に入れられるぐらいの者なら喋っている情報はかなり貴重な物だ。

何かしら得があるのならそのまま取り入れたいが取り敢えず今の会話で分からないことを聞いて探りを入れるつもりだが多少の得策はあるだろう


「それにしても………その『お星様』とはなんだ?知らない物が多すぎてな海底都市と言うのも未知だというのに始めから化け物に襲われたんだからそれくらい聞いてもいいだろう?」


「強引な奴だな…後々教えてやる。本当だったらあそこにいた奴等全員にこの事について事細かに教える事ができたというのに…氷の嬢ちゃんが外に出た途端に一瞬で後ろから麻痺を喰らって気を失ってしまった所為でそれが出来なかったのが悔しいな。情報屋なんていう大層な肩書きを持っているのにそれはどうなのやら…」


暗さに目が慣れて次第に見えるようになると床にどっかりと座り壁に体を掛けている男は頭を抱えて呻めき泣き始めた。俺は一人の男が泣いたことよりもそいつには俺とは違ってどこにも鎖等の拘束具が無いことに目が動いていた














ドデカ過ぎる図書庫で一旦アウェルとは別れて数時間が経ったのだが手元に置いてある資料だけでもとてつもない程の量だというのに他の使っていない机をいくつか使わせてもらってもまだ余るぐらいだ。前に『アルチャー』の本部の団員達が行き来するような通路には必ずどこもかしこも纏められた資料と本だらけで歩きづらかったりしているけど自分が彼等と同じようなことをやっている身になれば頷ける部分もある。それに『アルチャー』の団員やオルフィットがいたら永遠とここに居座ってそうなことになると思う、いや絶対に。


まず、自分はイリューフさんやアウェルから聞いた『星海祭』についてもっと細かく書かれている物があればラッキー感覚で探して持って来ると思いの外ある感じだった。他にも食料の簡単な栽培とか魔法についての探求…なんていう華比較的魚人族って自分優先な部分があるけど他の人にはあまり接触をしないみたいだと分かった。例外として家族や友人は別として考えるとだがそこまで考えないようにしておこう

素早く数十冊読んでいて特に重要と思われる感じた本は絞りに絞って三つ。一つは子供でも分かるように書かれていた絵本と文献の中でもかなりの頻度で出てくる『ヒルフ・フグチュリル』とかいう人が著者の魚人族の生活習慣や文化などが記されている物と奥の方に見つけた厳重な柵があって入れない方の場所に少し忍び込んで見つけた古びれた手日記が一番重要だと思っている。


「絵本に関しては魚人族と人間族に似た種族との交流に『星海祭』を一緒に行うと言う英雄譚っぽく纏めてあるようなそうじゃないような…最後は曖昧に締められているから結論を付けるのには難しい…」


ペラペラと捲っていくと天まで建つ塔に行ってそこにいる悪い魔物と勝負して無事勝てました!と過大表現している所から正に子供向けだと読み取れたりするのだがその話の途中には壊せないと明記された塔の一部を平然と破壊するほどの魔法を打ち込んだりしている時点で人間ではないような気がしてツッコミどころが止まらないのが絵本だった。


それじゃあ次に『ヒルフ・フグチュリル』が書いた結構な量の文献の中で一番『星海祭』について纏められている物は残念ながらそれらしいことは一個もなかった。ハッキリと言って生活から関係付けられることや見たものからの情報しかなかった。

まぁ、必ずしも書かれていることなんて事は無いので時間を無駄にせずに次の手日記みたいな奴をじっくり読まないと…

それまで読んでいた文献を全部空けておいたスペースに置く為に椅子から立ち上がってゆっくりと運んでもう一度椅子に戻ろうとしたところで背中を叩かれたので多分アウェルが様子を見に来て来れたのだろう


「アウェルか、そっちは何かいい物でも見つけ…?」


「お兄ちゃん、机を埋め尽くす程のすごい量の本を読んでいるんだー!見ると難しそうな本しかないしさっぱりだけど見たことのない服装だったからこの辺には住んでない人なの?」


振り返って見るがアウェルの姿もなく何もいなかったのだが目線を落とせば小さな男の子がそこにいた。机の上に大量に乗っかっている本を見て驚いているし何なら自分の羽織っている薄汚いローブを引っ張っていたりしているのだが自分とアウェルと一緒に図書庫なんて入った時には誰一人としていなかったし集中していたとしてもこんなに元気なんだから分かりやすそうな気がするが気にしても意味はないな、まずは質問されたら返してあげてここから離れさせるようにするように努力しよう


「あーえっと、君の言う通りここ近辺には住んでいなくて『お星様』とか言われているんだけどここにやって来たからには少しでも海底都市について知りたくてね」


「『お星様』!?『お星様』って空から降りてきてすごいことしてくれる人たちのことでしょ?だったらお兄ちゃんすごいことできるの?」


「一応大きめの魔法とか使えるけど場所が場所だから今見せるのはちょっと難しいな」


俺達から見れば()から落ちて海底都市に降り立ったと言うのに魚人族にとっては()から舞い降りた『お星様』みたいな解釈なんだろうな。目をキラキラと輝かしている子供に空から降りてくる『お星様』がヒーロー的存在のような夢のような存在が目の前にいるのに喜んでくれるのは嬉しいものである。だが子供であろうと何を言ってくるか分からないのは変わらないのでいつも通り警戒はしておくのがベストだと考える


「へぇ…『お星様』ってやっぱりそのすごい魔法で塔にいる魔物を倒すの?それに友達が言っていたんだけど急遽明日に『星海祭』があるって言っていたからお兄ちゃんも出るの?」


「守護者じゃなくて魔物なんだね……あ、うん一応出るって自分の仲間から伝えらているけどここに来てすぐだから『星海祭』でどんなことするかって聞いていい?」


海底都市四つで行われ祖である『海の王』に感謝をするために体現化するのが『星海祭』、子供達にとっては毎度毎度火付け人と呼ばれる英雄が各都市にある塔に入って()()()()を懲らしめるという優しい言葉を被った“倒す”と言う言葉に闇を感じられるがそれは置いておこう。

それはそれとして今この場に急に現れた男の子がいてくれたことによりさっきまで曖昧だった絵本の内容と多少同じように話が進むと言うこと確信を持つことができたのは大きなアドバンテージになった。アウェルやイリューフさんは塔に入って守護者を倒すなんてことを言ってすらいないのに平然としていたことに何とも言えない。


「それでね?それでね?悪い魔物と戦い終わって塔に火を灯したら帰って来るんだけどその時に英雄様達を見るんだ!前はすごい強そうな人が傷だらけになったとしても戻ってきたら僕達に手を振ってくれるんだ!」


「へぇ〜」


身振り手振りのオーバーな動きに戸惑いながらも男の子の話を聞いているのだがやっぱり憧れって言うのがあるからそういう輝きを放てると思うんだよね。前の自分なんてかっこいいなって思う人と同じようなことをしようと思う謎の衝動に駆られて逆に怪我をして親に叱られるなんてことも多々あった。それが目の前で起きているのなら是非ともその清らかな心を保ち続けて欲しい。


「それでお兄ちゃんは『お星様』って言ってたよね?」


「うん、さっき『お星様』って言った言った」


「それで何だけど…英雄様の出てる絵本のお話の途中で『星海祭』の中でも強い魔法使いみたいな人が空にお星様を一瞬で広げたって言うのがここに描いてあるんだ!だからお兄ちゃんもこういうのできると思うんだけどできる?」


「………それってキラキラ光る星が出るような魔法って事であってたりする?」


「うん、そう!」


にこやかで大きな笑顔を作る子供の口から出てきたとんでもない無理難題をさっきの一瞬で奇妙な沈黙から、顔から尋常じゃないくらいの汗が噴き出してきた。頭の中で燕の子安貝というかぐや姫が出してきた無理難題を突きつけられた時のあの求婚を申し込んだあの人達のような気分になって驚愕という致命的な一撃を食らって乾いた笑みが零れて引き攣った顔をしていた。

喋りながらさっき隣の机に置いておいた絵本を持ってくると塔の上に人がギリギリだが立っていると魔法から星を撒いているような絵を見せられたのだが…星を生み出すなんていう魔法なんて一回も使ったこともないし見たこともないのにどうすればいいんだ?

夢を見る少年の輝かしい光に昔を思い出すジェバル…

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