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ラ・ラガス~創造魔法で異世界を生き抜く~  作者: タツノオトシゴ
水天一碧の広大な場を駆け巡る
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魚・魚・魚

「それで…マディーさんは何故こんなところに?」


航海技術なんてものなんてそもそもなかったし大半の国は自国のことで手一杯で手を回すのはあまりない印象だったから海に移動するのはあまり考えられない。でもあっちには傑出者と呼ばれる人がいるからやろうと思えばできるのか?考えに考えたのだがどうやってここに来れた理由が分からない。


「私をここに連れて来たのは黒髪であそこで手を振っているグリエって人、すごく強いらしいのだけど戦ってところとか見てないし私でもまだ分からないの」


「えーっと…マディーちゃんをここに連れて来てからずっとめためたに言われて少し萎えてるグリエです。これから始まる『星海祭』に用があるからそれまで待っていただけなのに…」


「これから始まる『星海祭』…」


黒髪で短髪、薄茶眼に小柄な体型で真っ白な肌。ぱっと見魔道士とかに見えたが常に飛ばしてくる同じ人間族(ヒューマン)からすれば異常なくらいの魔素量を発している時点で魔法にも精通していると考えた方がいいだろう。


そして可愛らしい姿から発せられる声はとても疲れていると感じさせるような物でありその際の姿はまるで幾つもの試練を乗り越えた者の顔で苦労しているんだなぁ…と内心思いつつ気になったワードを抜き出してポツリと呟いた。


何も知らされずに連れてこられたマディーさんに関してはそんなこと今初めて聞いてその怒りをグリエに向かって文句として言っているのだが当然自分もシグマリも知らない


「『星海祭』、そういえばそんなものもあったな…とは言ってもあれには相当の労力と時間がかかる儀式に近いものだ。始まるとなれば多くの民が都市と都市を動いて大量の資材のやり取りが行われる…そうすれば伝手から何かしらは入ってくるのに動かないのはおかしい…」


急に始まった情報屋イリューフからのマシンガントークに脳が死ぬ前にアウェルから必要最低限のことについて聞き出せた。要約すると『星海祭』というのは海の王に対する感謝を示すための意思表示であり海に溢れんばかりの星を灯すらしい。しかしそれに至るまでに火付け人という『星海祭』にとっては必須になってくるリーダーがいるというのだが…


「だが今ままで火付け人として役を担っていたコルトは今や動けぬ体となって祭を先延ばしにしている」


「なんで?他にもできる人とかいないの?やらないと駄目なこととかあるはずでしょ?」


マディーさんが途中から話割り込んできて重役の代理でやれなんていう提案は一理あるかもしれないが生半可なものではないだろうと考えられる。マディーさんの提案が出てから一瞬会話が途切れそれを聞いていたイリューフが頭を掻きながら理由を語り出した。


「お嬢さんの言うように代理の案も当然のように出た。しかし火付け人の重すぎる重役は代理にはとても厳しいものだ、なんせ守護者と戦闘を交え証として承り都市に星を灯す…そんな事を素人にやらせてみれば死ぬ事は目に見える事なんだ」


「じゃあどうするの?」


「どうもこうもすることがないのだ。一応そいつには息子がいると耳に入れた事があるがそいつが今どこで何をしているかすらも知らない」


マディーさんは平然と会話に入って進めているがその火付け人という役をずっとこなし続けていたコルトという人は守護者と対等に戦える事自体が頭から離れなかった。そもそも自分が戦って手応えがあまりなかった相手だと言うのにすごい奴だな…


「ジェバルさん、『星海祭』のこともいいんですがそれよりもお姉ちゃんとかルウェーさんとかの合流のために話を進めないとアウェルさんが作ってくれた機会を無駄にするのはあまり良くないと思うんですが…」


「確かにそうなんだよな…」


シグマリの言う通りどこにいるのかすら分からない他の仲間との合流に手を回すとしたらもしかしたら守護者らしい何かが出てくるのかもしれない。そんな事を考えるとやっぱり優先するべきものを考え直さないといけなくなったりなかったり…頭を抱える仕草を途中までして体を左右に揺らしながら天井を意味もなく見上げる


「ルーフさん、お話のところすいません!急に大型の魔物が現れて街に被害が!」


「なっ!?お前ら見張りとかそういうのは機能していたんだろうな?それよりも街の被害を最小限にするように動くように伝えておけ!」


「分かりました!」


魔物?ここは“悪食”が来ないだけで普通の魔物はやってくるのだろうか…突如会話に入り込んできた若い魚人族がその報告を偽名であるルーフに伝えるとすぐに店から出ていき多分だが魔物の対処に行った。そもそも魔物が現れて大事な話を邪魔されるのは困るのでゆっくりと席を立って【宝物庫】から新星を取り出してアウェルとシグマリと共に店の外に出ようとしたのだがマディーさんとグリエさんは何やらイリューフと話を続けていたので何も言わずに通り過ごした。店から出て広めの道路に出ると目の前に大きな魚がとんでもない速さで突っ込んできていた。


「シグマリは左右に設置系魔法をいくつか展開しつつ今突っ込んできている奴以外の近づいてきた巨大魚にカウンターして欲しいのとアウェルはそのまま一緒に行動して被害を最小限に努めるぞ!」


その言葉を聞きシグマリは【疾風】を使って素早く開けた道路を横切り建物の路地裏に向かって移動をして暫くすると姿を消した。シグマリの姿が消えるのを確認した後に目の前に飛び込んできた巨大魚に向かって新星で受け止めて身動きを取れないようにした後アウェルがすかさず合いの手として手にしっかりと握った刀剣で巨大魚を斬りつけていき瞬く間に息の根を止めていた。一息ついて空を見上げると何体か同じような物体が飛んでいるのが見えた


「それにしてもデカすぎる魚だなぁ…他の所を見るにうじゃうじゃ飛んでいるの確認できるし海底都市って何か節目とかが来るといつもこんな感じなのか?」


「海底都市にそんな可笑しな旬などはないいつも時と祭りが過ぎるだけ……ん?それよりもこの巨大魚は輝刀流魚(ジョクトリニ)ではないか…?!こいつを焼いて食うと頬が落ちるくらい美味しいし私の好物なんだ。それが視界の半分を埋めるほどの量ときた。ジェバル…少し手を貸してくれ!海底都市の珍味を狩り尽くすぞぉ!」


地面に転がった巨大魚がアウェルが好きだと言い張る輝刀流魚だと気づくととんでもない速さで家の壁をよじ登っていき空を飛び回っていた輝刀流魚にがっつく様に飛び跳ねて「目の前に好物が泳いでいるなんて奇妙なものだ!」と叫んでいた。自分は足元に【岩石弾】を創造して異様に高い建物の壁を上り詰めると大量の輝刀流魚の中に入り込んで剣を振るうアウェルの姿がいたのが確認できた。


「ここの海底都市にやって来るまであんなに静かな奴だったからそこまで気にしなくていいと思っていたのに多分好物のことだと思うけどそれになった途端急変するなんてな…いや、“悪食”に襲われた時も何かと勘違いしていた感じだったかもしれないからなんとも言えないな」


「さっきすごい勢いで空を飛んでいた巨大魚にしがみつくアウェルさんを見たんですが何があったんですか?大きな声で“飯ィ!”って叫んでいたんですが…それとジェバルさん手を引っ張ってくれませんか?」


遠目でアウェルの方を見るとまだ仕留めていない輝刀流魚に向かって剣を振り落とそうしている所だった。アウェルの奇行を冷ややかな目で見つつ近づいてきそうな魚を探しているとシグマリが壁をよじ登って手を伸ばしていた。あれだけ高い壁よく登れたな…


「それにしても魚の量が多いな…アウェルの奴が斬りつけているって言うのにまだ数が減っていないのはおかしな話だな…」


「道中で二体に挟み込まれましたがそこまで強くなかったので質より量で攻め込んでいるような感じで何がしたいんだかよく分からないですしそこまで危険視する必要はないのでは?」



「駄目だなぁ…危険はいつもあるんだから注意深くしておかないと」



アウェルばかりではなく多方面を見回して宙を泳ぎ続ける輝刀流魚と呼ばれる巨大魚の大群を見ながらシグマリと他愛のない話をしていると不意に後ろから声を掛けられた。すぐに後ろを振り返り新星…いや【宝物庫】から変光星を手に持ち仁王立ちする鰭を体から生やしている魚人族が立っていた。全く魔力に反応せずに急に現れた…何者だ?


「自分から注意深くしろって言ったがここまでとはな…お目当てのお星様はここまでとはやはり化けもんだなぁ…旦那さんにはやめとけって言われたけどこんなのに戦わない奴はいないからなぁ…少しだけ遊ぼうぜ【流転:覇】!」


「シグマリ、お前は後ろに下がってろ【起爆】!」


シグマリをすぐに後ろに下げて変光星に大量の魔力を入れ込んで火を付けて飛ばしてきた斬撃を下に向けて叩きつける。耐えきれなくなったビルは当然の様に崩れていくのだが相手の魚人族はそれすら関係なく瓦礫を足場にしてこっちに飛び込み拳で殴りかかろうとしてくるので素早く体勢を取り戻すために【超煌弾】を前方に打ち込む。


「うおっ!!なんつー火力だ、だがもっと遊べるだろぉ?こんな炎退かしちまおうか【流転:亡】!」


「ぬがッ!?炎が!?」


一瞬体を吸い込まれるような力がかかったと思ったらすぐに消えたのだが変光星に灯っていた炎が弱まっていた。こんなところで火力不足なんてことになると困るのですぐに【起爆】を数回行いながら首に飾っていた〔秘華の炎導〕を握り締め、使用すると何にも関係なく起動する【起爆】に安堵しながら相手の動きをよく観察しながら変光星を振るう。足場が完全に崩れ落ち地面のついた状態での戦いが始まると相手の拳の勢いがさらに増した気がしたが自分も体に残っている魔力をどんどんと燃やしながら攻撃を続ける。

右、胴を殴ると見せかけて頭。そして綺麗な右ストレート!ゆっくりと体の動きをよく観察して攻撃を捌きつつ入れられる攻撃をどんどんと相手にぶつけていく。変光星の熱が上がっていきその熱が〔秘華の炎導〕に吸収されていく。相手の攻撃を跳ね返して体勢が崩れた所を見て足から【氷結世界】を放ち完全に動きを止めて近づく


「いいねぇ…わざわざ近づいてくれてありがとなぁ…?たっぷり拳を体に入れ込ませてやるよぉ【流転:覇】!」


身動きが取れない状況でここまで動けるのかよ!斬撃が自分の体を一瞬抉っていき()()()()()()()()()。一応体を瞬時に横にずらして正解だった、近づいた時の悪寒が半端なかったから自分の勘に感謝しつつすぐに間合いを取って警戒をしておく…相手の体を凍らせた【氷結世界】は今も体の動きを鈍らしてくれているからいいけどあれがなかったらどうなっていたのやら…【宝物庫】に手を伸ばして魔石を取り出してすぐに砕く。さっきの炎が弱まるのと同じ感じか?だけど口で喋っているのは始めに攻撃したのと変わりがない…任意で攻撃の技を変えるなんてことされたら対処の仕方だって変わってくる。


「いい、すごくいい。こんなにも動けると多少本気を出したくなってくる…もっと遊ぼうかお星様!確か『燃えている時が輝いて見える』ってどっかで聞いたことがある!」


氷をいつの間にかに溶かして動ける様になっていた魚人族は体についていた鰭を全方位に飛ばして魔力の感知から外すと体に魔力を溜め続けてこちらに眼差しを向けていた。こちらも四回ほど【起爆】した変光星は嬉々として燃え上がっていた。

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