不意打ちには気を付けて
「後ろだ!ガドマ!なんでこんなとこに生息してるんだよ!」
「兄ちゃん…そんなことを俺にも分からない…ただあの馬鹿が巣を突くなんていうことをしなければもっと楽になっていたかもしれないな…兄ちゃん!そっちに三匹行ったぞ」
【宝物庫】から取り出すのは新星、そして目の前から目線を変えずに飛び込んでくるのは三匹の蟷螂達、一匹は真っ直ぐ飛び込みながら鎌を振りかざしてくる、それに対して振り落として攻撃を躱したところで両隣から様子を見ていた蟷螂が跳ねるように飛んでくる、何でこんなに身動きが軽いんだよ!後ろに後退しながら変光星を取り出して【恒久】で殻ごと削り取っていく。危険だと判断したのか攻撃をやめて守りはじめたので構わず攻め込みにいく
「ちょこまかと動きやがって!!魔法を打ち込もうにもこのままだと大きな地響きになって他の奴がくるかもしれないからここで食い止めるぞ!そっちで何とかして蟷螂の奴等を止めることはできないか?」
「おう任せておけ!後ろの方は粗方片付けることができたからな.さぁ!逃げてないでかかってこいよ!【固定視線】!」
辺りに広がるような覇気のような何かが至る所に伝わっていき跳ねながら逃げていっていた蟷螂がこちらの方に視線を向けると先程と同じようにぶつかろうとするが斧を構えるガドマと変光星を真っ直ぐに振って一点集中に飛ばした剣身はそのまま殻を貫いて絶命させた
「よし…さっさとシグマリとお前の弟に会いに行くぞ何があるか分からないからな…」
この大きな空洞の中で視線を上に上げるとびっちりと引っ付いていた同じ蟷螂が降りかかって来た。どうして…面倒なことが降りかかってくるんだよ!変光星を振り回してガドマと自分の周りを守るために行動したのだが…何だか様子がおかしいぞ?全く攻撃してこない?驚いて振り回していたのを止めてしまったのだがそれの理由が何なのかが分かった
「こいつは…でかいな…」
◆
そこには近くには全てを溶かすと言われている深紅の色の溶岩が今にもこちらに垂れて来そうな状態で自分一人が魔法と変光星を多用しながらどうにかこの先の道の活路を模索する。自分のいる場所はいつ死んでもおかしくない状況で天井から振り落ちてくる炎の球が運命を定めているような気がする。
「こっち側の体勢を絶対に変えるなよ?!【恒久】の範囲からは絶対に逸れるな!」
シグマリが一生懸命に動いてくれているのだが、 ここまで来ると何もしない方がいくぜんかマシな気がする…砕き切った岩をどかして三匹を外に出しておく、これで心置き無く体を動かす状況に持っていくことができた。
しかし、これからの動きが大変になってくるぞ?なんせ相手は古代種の魔物…見た目は美しい蝶の姿をした何かなのだが…
「見た目がデロデロで全く綺麗だなんて分からねぇ!」
相手はこの火山に住み着くとてつもない強力な魔物…そんなちっぽけな攻撃ですぐにへばるとは思えないしここから蝶のところに行くには溶岩の上に浮かんでいるあの小さな足場を伝って行くしかないが…到底無理なことだ、ここは慎重に相手の行動を読みながらのことをしないと本当に死ぬからな…こんな状況でも笑みを浮かべてしまう自分が少し怖い。
「それにここでくたばったら海上調査になんて行けないからな…こっちも持久戦だったら嫌と言う程やって来たんだ、やってやるぞ!」
まだ足場は安定している中でこんなにも綺麗な光景を見るなんてな…下には危険だが唯一の煌めきとしてここを照らしてくれているし上から来る岩にも気を付けないとな…後手に回るといつかは大差をつけられてしまう。
こんな強靭な体を少し労りながら目の前にいる美しいはずの蝶に向かって一言大声で言い放つ。
「さっさとその翼を使ってここまで上がってこいよ!!」
蝶はその言葉と同時に大きな火の玉…溶岩の塊を飛ばしてきた。当たったらひとたまりもないだろうな…変光星と首にぶら下がっているネックレスを強く握りしめて覚悟を固めた。
◆◆
静かでシンとした感じが体から感じ取れる。近くにあるのは半壊した建物や跡形もない建物などが人のことを待ち望んでいるようにただ聳え立っているだけだった。ここにいる住民が言うには『海の王』がこの安住の世界を作りここにやってきた者達に言われてきた。
「誇りある戦士のジェバル・ユースト…こんなにもドデカい輝刀流魚を討伐するなんてな…もしかしたらそのまま試練を突破できるのじゃないか?」
「馬鹿言え、その神殿に立っていたあの守護者を見ただろ?絶対に無理だしあのガッチリとして体に刃も通らなそうな奴なんか今本気で戦闘になって動けなくなったらお前らがやばいことになるって本能的に分からないか?」
「やめましょうよ、ジェバルさん…アウェルさんさっきの戦いで消耗しているんですから今は休ませてあげましょうよ……それにジェバルさんもずっと動きすぎですから今のうちに体を休ませておかないと!」
「オルフィットは?」
「あれは例外です」
確かに研究馬鹿のオルフィットは例外だ…本当の例外だし体力お化けでもある、なんせこんな弱肉強食の世界でランランと生きているのってあいつぐらいしかいないでしょ…それにここまで何もない地平線が見えるほどの場所なんてそうそう見ないからな、この静まり返った。夜を楽しもうっと
しかし運命はそうはさせてくれなかった。
「おーいシェバル!この異色悪い魚共を魔法でどうにかできないか?何度も攻撃を入れようとする のだが全く届いている気がしなくてな…」
「何で戦闘しているんだよ!それに魔物をこっちに引き連れてくるなよルウェー!!夜の海は魔物が大量発生するから動けないんだから大人しくしてろって何度も言っただろ!」
近くにまでやっていたルウェーの後ろにいるのはとんでもない量の小さな魚達、しかも一匹一匹が生存本能として姿を変えて今では自分自身が刃となって危険な存在に立ち向かう異世界版スイミーのような物であった。
すぐに立ち上がって【爆発型】で【起爆】する、段々と燃え上がっていき今では計り知れないほどの炎にまで成長した。早速馬鹿を回収しに行かないとな…
「シグマリは追いかけられているルウェーの救出をしてくれこっちもうまいことするからよろしく頼む」
「勇敢なる同じ戦士よ!我はどうすればいいかのだろうか?!」
「状況がやばくなったらすぐに逃げてくれ、お前が死んだら案内人がいなくなるだけだからな」
海の戦士はこういう強敵にも立ち向かうもんなんだろ?お前がそう言っていたじゃないか
□
はい、少し時間を戻して今は猫の国で王様とお話をしている所です…まずは無事帰れたことを報告するのと魔物の群れや黒竜について話したのですが、 黒竜に関してはかなり意欲的に聞いてくるので何か関係があるのだと思います
「それで、あのワンコロがその場を預かったってことか?」
「そうですね…一回攻撃を加えたのですが急に変な攻撃で体がものすごく重くなってしまって危ない所を助けてもらいました」
「そうか…黒竜はどこかに行った…というよりも飛ばしたんだろうなあのワンコロの奴かなり絶好でいいタイミングを逃しやがって」
凄い怒っていらっしゃる…しかしそこまで口から黒竜の単語が出てくるのならそれほど影響力の強い魔物…というか存在だと分かる。そのまま報告は終わらして今はガドマの鍛冶場にいるのだが…ルウェーと話し込んでいるところにやって来たのだが手に持っている鉱石は提供というか好きに使ってもらうために渡したんだけど有効活用してもらえたら嬉しい限りである…
「おう!兄ちゃんから貰った鉱石というか宝石も多いんだが…そこんところは弟の方に任せているから安心しとけよ?」
「弟?」
「そうだ、うちの弟….イオルンドはすごくてな?中々いない宝石技師なんだよ、そいつに菫鉑蟷螂と桜鉑蟷螂の殻だけど体内にある鉱石を見せたりしたら興奮してずっと部屋に引き篭っていつになったら出てくるのか…それに兄ちゃん二人のお陰で多くの鉱石と宝石が集まっていって物足りなかった倉庫の中身が今は輝いて見えるぜ…」
そうか、それなら必死こいてルウェーと死累人に任せた甲斐があったな…自分はずっと犬の国で復興作業をしていただけだし大半が合間合間に動いてくれた二人のお陰である…というかこんな蒼い宝石なんて童狛蟷螂ぐらいだけだと思っていたけどそんなことはないんだな、ルウェーは話が終わったんだかすぐに鍛冶場から移動してどっかいった途端ガドマは僕のを組んで耳に囁くように声を掛けてきた
「ルウェーには今、練習用の新しい武器を作っているから後回しにしてくれと言って専用の武器の作成を断ったのだが…理由があってな?俺には鍛治のために必要な鉱石と炎が欲しい…そして弟のイオルンドは山のようにある宝石…しかも効能付きのが欲しいのだ」
「効能付き?頼み事というか行きたいところがあるんでしょ?そんな感じから見て」
「よく言ってくれた、俺と弟はこれから宝石の国…そして技巧の国とも言われているドワルポンドに行こうと思っているがそこに行くまでに貯蔵用の魔石として華蟷螂を借りたいと思っているのだが…イーパスは軍事力を上げるとか言って動かすわけにはいかないからジェバル・ユーストにお願いしたいのだが…どうだ?」
というと…技巧の国とも言われるドワルポンドに行くついでにあの洞窟に行くってことなんだろうな…理解したのだがそれなりに戦えるのか?疑問に思っていた時に部屋の扉が開いた。中に入って来たのはシグマリぐらいの大きさの猫人族で首からポーチを掛けていて腰には二本の剣をかけていた
「兄者!こちらの準備は出来たのだが…その人間族の者に話を通して貰えただろうか!」
「兄ちゃん…紹介しよう、宝石技師でもあり剣に恵まれた剣鬼のイオルンドだ。剣に才があるっていうのに宝石に一目惚れして最高の宝石技師になるって言っている」
「へぇ…そうなんだ…だったらイーパスと戦ったらどっちが勝つの?」
「我が妹の方が強いが技量なら負けてはいない!」
あいつどんだけ強いんだよ…剣鬼って聞いたからかなり強いと思ったのになんか弱っちく感じてしまうのはしょうがないことなのだろうな…ポーチから取り出した宝石を取り出して僕の手の上に置くと魔力の流れが急激に早くなってどんどんと循環が良くなっていった。
「これが効能のある宝石…魔技装と言って宝石の奥底に眠っている力を呼び起こした装飾品となっている、これは峯閏鈺から造り出したもので効能としては魔力の循環を速くするという物です…これからいろいろとお世話になるので友好な関係にしたいので私からの贈り物です」
「ありがと…とうかこんなのもできるのなら桜鉑蟷螂とかを使って何かできたりしないのか?」
「強力な魔物や高密度の鉱石、宝石になるとその分力を引き出すために求められる技量の桁が凄いことになるんですよ…私はまだまだなので何かしらの物を掴むために技巧の国に向かおうと思っているのですが…」
成る程、言いたいことが分かった。イオルンドは自分の技術を上げる為に向かうのなら納得だ、貰った魔技装を握って効力を試しているとシグマリもやってきて隙のある所で抜け出したのだが…宝石か、オパーズとかサファイアとかのことなのか?色々と考えてみるがそこまで考え込まなくていいか…その内どんなものかが分かるからないろんなところに繋がっている廊下をゆっくりと歩いていく
■
「よし!皆すぐに組み立てる人間とあの特注の魔石の準備をしておいてね?」
「「分かりました!!!」」
一際目立った衣類を着ている集団が急に造られた小さな港で今日もわいわいと騒いでいる。周りにいる住民は彼らのお陰でここまで発展できたので文句を言えないのだがこんなに張り切っているとは思えなかった、つい最近までは全く作業が続いていなかったのだが何があったのだろうか…
「教授…昨日まではあんなに本調子じゃないって言っていたのにこんなに動いているなんて変なもの食べましたか?」
「ひどいなぁ…ルウェー君とかクレバさんとかがこうやって魔法とか筋肉で何もかも解決しているから思っていたよりか進みがよくってね…それでテンションが上がっているんだよ!」
「それよりも誰が船の起動をして座礁させたんでしょうかね…こんな魔法道具を動かす魔力回路なんてどこにも置いていないのに動かせるのは魔力をかなり持っている人ぐらいですよね…」
教授がそんなに魔力を持っていないってことぐらいは誰だって分かるしそもそもの運転技術なんて無いに等しい…そもそも講習会の時にこの人寝てたからできるはずがないって分かる…溜め息を吐いて資料を見ていると気になる部分を見つけた
「教授…この計画書に書かれていることなんですけど『海の中の生態調査』って何ですか?こんな研究調査なんて聞いたことのない単語なんですけど…」
「それは海上調査をするにあたって考えた自分の憶測の範囲のやつでね?陸に生命が存在するのなら海にも同等の存在がいるのではないかと考えていてね…近くの場所には全くいる気配がないからもっと奥の方にならいるかなってだけでね…それよりも間違いてここに持ってくるのは止めて欲しいなー自分の憶測が当たったらこれを公表するつもりだったんだから…」
教授は僕の手に持った書類を持ってゆっくりと見ながらそう言った…成る程我々がこうやって生きているのならそうやって生活しているという可能性を考えてそこから元締めがいると予想としてのことなんだろう…ちょっと引っかかる部分があるけど多分そこまで信じない方がいい考え方だろうな、最近教授の調子がおかしいからちゃんと休ませるようにしておかないとな…
「何かゴミでも付いてる?だったら取って欲しいんだけど」
「いえ?少し考え事をしているだけですよ」
「何かあったら言ってね?こちとらそういうのにも専門にしているような物だからね…というかオルフィット君も口だけじゃなくて手を動かして欲しいな」
前言撤回、そのまま体調崩してしまえこの野郎




