自由を求めて歩き続けるその先は 其の一
やっとあの地獄のような質問攻めから抜け出すことができた…かなり時間がかかったしそしてこんなにも面倒なことになったのに逃げ出した奴なんて知らない顔をしていやがった。それにしてもこんなにゆっくりしていて大丈夫なのか?すごい心配になってきた。
「はい、皆さんがいることですしこれから行こうと思っているところなんですがここから北にあるでっかい洞窟に行こうと思いますがどうでしょうか、理由としては単に魔物をぶっ殺したいだけなんだけど」
「んー、シグマリはお姉ちゃんと行きたい?」
「私はイプロお姉ちゃんと久しぶりに一緒に買い物をしたい気分です!」
「俺はお前に付いて行くと決めたからな、洞窟に行こうと勝手にすればいい…だがめんどくさい相手には即行で逃げるがそれでもいいなら何も言わない」
なんなんだこいつ等…やる気なさすぎだろ。シグマリに関してはなんでここに来たのか分からないし考古学者に関しては犬の国の建築物を熱心に見てたり調べ始めたりとどうしようもないのが現状である。こんな奴放っておいてさっさと行きたいところなんだが…
「ルウェー、近くにいるよな?」
「感じるだけで五人以上は確実にいる…どうするジェバル、殺すのは楽だがそうしたくないのだろ?こちらは右をやる…お前は数の少なそうな左をやれ」
ガッテン承知、よく分かっているじゃないか、しかしこちらもやると決めたらそれに従うまでなのでねお店の軒先を掴んで屋根の上に上がるのだが…久しぶりだなお侍さん。笛の音に呼ばれて来たみたいだけど邪魔されるのはこちらとして嫌ですからね、精一杯足掻いていこうと思うよ
「やはりお主は目の前に立ち塞がるのか…いざ尋常に!」
侍が目の前で注意を惹きつけておきながら巧妙に隠れているなんて侍として如何なものかと思うのだがどうなんだよ…一応それっぽくしておくために【宝物庫】から変光星を取り出そうとする手を止めて新星を取り出す。久しぶりだけど忘れた訳じゃないから堪忍な、街の被害を出さないためにも新星を取り出したんだからサクッと終わらしてパッパと洞窟に行って目標達成する。完璧なルートだ…それに向かうためには…侍さんをどうにかしなくちゃだ
相手が居合斬りをする構えを取るならば…剣闘舞で受け止めて進ぜよう。空気が張り詰めた瞬間に空気を裂く鋭い斬撃が飛んでくる。それに対して自分は目の前に十字を剣で斬り置き飛んできた斬撃をスパッと切り落としていった。
「【闘雷】…闘気を薄くしておきながら維持をして外部からの攻撃を斬るオリジナルの技だったがうまくいくもんだな」
「ッ!ならば、こちらにも秘策がある!【白斬】」
真っ白な斬撃がだんだんと近くに来るのだが…かなり遅くないか?そのまま横を通り過ぎていったのですぐに侍に目線を合わせると軌道を変えてこっちに飛んできた。魔法なのかな?それとも他の何か…技術という可能性もある…気づいていないふりをしているけど影にいるボディーガードがそのまま黙っている訳にはいかないと思うけどね
影から出て来る際に剣の突きだけで【白斬】を止めてそのままゆっくりと剣に吸収されていった、なんだその強そうな魔剣はどこで手に入れたんだろう…
「【琰律】…我が主に不意打ちは通じさせん!」
「死累人…目の前にいる侍と戦っていてくれ、殺さずに戦闘不能にすればいいから」
承知!と言って侍に飛びかかりにいって家をガシガシと壊していったのだが…これどれくらいの費用になるのかなぁ…なんか代用できるのなら創造魔法でなんとかするけど今は遠くからチラチラと様子を窺っている女に集中しておこう…姿は見えないけど必ず視界のどっかしらにいるはずなのだが…いない。今一瞬二回光が見えたと思ったら足に矢が当たりそうになっていた…これは喧嘩を売っているのか?なら上等だ、今したことが後悔しないように立ち回るんだな!
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「ふぅ…これで六人、致命傷は避けての戦闘になるとここまで手間がかかるなんてな。それにしても考古学者の…」
「オルフィットです」
「オルフィットは逃げたりしないのか?武器を持たずにここで突っ立っているなんてとてもじゃないができることではないが…」
オルフィットは鞄の中をほじくり返し始めたので少しだけ待っている間に良からぬ気配を感じた。これは…降霊術師の【授ける恩恵】互いの等価交換の際に起きる対価と恩恵が成立した時に起きる魔法だがこれを使える人間は滅多にいないのだが…それができたと言うことは!砂埃を立てながら着地して来たのは監視員として名を立てていて通称ボスと呼ばれることもあるピール・デウェルドだったな…両隣にいるのはその贈り人と魔獣 士か魔霊士のどちらかだったきがするな…
「おう、監視員昇格まで後少しだったルウェー君こんなところで何をしているんだ?敵は後ろにいるはずなんだがもしかしてそっち側についたって感じか?そうかぁ…結構見込みがある奴だと勝手に思っていたが少し残念だ。しかし、規則違反のことをするのならお前も敵として戦うことになるがいいか?」
「言うのが省けた…【淵明闘竜】監視員とは一度戦いたかったんだ。オルフイット…一旦後ろに下がっていろ」
突っ込んでこずに後ろに下がって注意を引くが右から魔力の流れ…しかしこれはダミーだな、砂埃に紛れていくつか飛ばしていた魔石が意図的に割れて垂れ流し状態になっていることから本命は左!魔獣士が放った魔獣は見た感じ上級…噛み付くように顔を近づけるが顎を蹴り上げて動かなくしておく
「ほら、お望みの戦闘だぞ?ドンとかかってこいや!」
地面から姿を現したピールの首に剣をかけたのだが一瞬にして引っ込みやがった。次はどこから来る?魔力の感じ、未来視の眼から映し出されるものは…眼で見たものの異常さに体を震わせ国の外に出るために転移魔法陣を起動して近くの森に移った…今の未来は異常だ。
《地面に空いた穴から淵源に生まれた黒い竜が飛び出し息吹を吐きながら辺りを焼け野原に変貌させる》
そもそも竜を捕捉できるほど賞金狩りは聞いたこともないし魔獣士なのか?それなら完全に近い程技量が高い魔獣師に近いと思うのだが…それよりも淵源という単語は今まで見たことがないなどういうものかは知らないがこの状況を脱することができるのなら良かったがジェバルや二人の猫人族に負担をかけることになってしまったな…オルフィットを地面に置いて未来視のことを伝えると狂ったように頭を掻きむしっていたが気にしない…それよりも近くの木の側から出て来たピールに拍手を送られた…
「すげぇなぁ…今の判断は悪くないだけど一つお前さんは今ミスをした、ここは洞窟の近く…ある魔導師二人があれこれとして溜め込んで強化されまくった魔物の巣窟の近くに来てしまった訳だがどうする?一人お荷物を背負っている状況で俺と魔物…どう対処する?」
だんだん近くからヒシヒシと感じるこの魔物の強さは尋常ではないし…このボスに対抗するには…考えている所で後ろにいたオルフィットが肩を叩いてきた、今忙しいんだ後にしてくれ鉄剣でなんとかする訳にはいかない相手だな…魔力を固めて手を地面につける…
「【召喚魔法:剣】…久しぶりだな巍巍【竜闘刃】少し力を貸してくれ、目の前の敵を倒したいんだ」
地面に刺さったままの剣が動き出すように手にしがみついて体内にある魔力を吸い取ろうとしてくる…今まで色々とあったが貯めていた分の貯金はかなりたっぷりとあるしここからまだやって来るから魔力枯渇に陥るのはなさそうだな…それじゃあ、少しの間溜まりに溜まっていた押さえつけられない衝動を敵にぶつけるとしようかまずは足を踏み出す所からだ…意識が遠退いていくのが感じるがまだ駄目だ…抑えておかないと
「これは大物だったな、しかし願っておいた【贈物】はまだ遅れて届くからな!お互い頑張って踏ん張り合おうじゃねぇか」
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ここからは遠いけど…必ず矢が飛んでくる方向が全て違うのが気になるしどこにいるかも分からない…【索敵】を使って探そうとしたが至る所に純度の高い魔石が散らばっているせいか感覚がブレるのが手痛いのだがもう少し…時間をかければなんとかできそうなのだが…矢が身を隠すためにいた障害物を貫通して目の前を通過してきた。そんな猶予をくれるほど賞金狩りは優しくはないってことか
そんなら強制的に出て来るようにするために特別な魔法を瞬間的に出しておいた。後はこれが相手に効くまで色々と動くようにしておくために少し嫌がらせをしておこう
「空中にある水をこうやって立体的に形を持つだけでもこんな風に狙って来る人間ならまぁまぁの嫌がらせになってくれると思うのだが…」
街の至る所に【水球】を創り出しておいたのだが…雨のように降っていた矢がピタリと止まった。この感じ…効果はあるようだがここで止まっている訳にはいかないからなゆっくりと屋根の上から降りて移動を始めた所で後ろから矢が飛んできた。かなりの上級者なんだな…楽しくなってきた!頭脳プレイを始めようか…変光星を手にして
「変光星!【恒久】だ!廻れ廻れぇ!」
蛇腹剣に変形した変光星を振り回して壁にぶつかると同時に跳ね返る…物は壊さないように配慮しながらは難しいがこれのおかげで飛んでくる矢は簡単には当たらないし姿は見えにくくなるはずだ…後はこのまま時間をかけておけば大丈夫だろうな、さぁ…近接戦闘をするのならかかってこいや!その前に遠くの方から爆音が聞こえたと思ったら…?それにしても体がデカすぎやしませんか?手を止めた瞬間に矢が飛んできやがった、危ねぇ…




