犬の国に向かって進む二人と一匹
縄を解いて貰った所で部屋に女が入ってきてこの顔は見たことがある奴だった。確か護衛の時に現れてマディーさんの邪魔をした赤髪の女だ。こっちを見ていたら手を振りながらやって来た。
「あージェバル・ユースト!ウチの馬鹿が面倒なことしていなかったらよかったけど…見た感じ大丈夫そうだね。リーダーは一つ頭のネジが抜けているところがあるからねぇ…しょうがないんだけど可哀想な目で見てあげないでやって欲しいな」
「変な事を吹き込むな、それに今はいないから元に戻っていいと思うがなというか姿はこいつも見たことがあると思うぞ」
元に戻るとは何でしょうかね。元の姿がどんな感じだか知らない身だからそんなことを聞かされると身構えてしまう…何が変身していたんだ?女は目の前で見たことのある姿に変わっていた…おいおい、その姿は!
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「ふふふーん!目的地にやっと到着した!さっさとこの馬鹿みたいにデカイ竜の死骸を回収して戻るとしようかな?【亜空間:回収型】!って丸ごと回収したいところなんだけど…」
自分の横に作り出した亜空間は人体に掛けられている制限に貫通する魔法だからこんな感じに展開できるけど…その前にそれなりに強い人が後ろに立っていた。これはマディーちゃんがやられたのかな?しかし…相手に呪いがついているような気がしないしただ気絶させて来た可能性もある…そんなことがあったら師匠に治して貰えば何とかなるか!そんな風に捉えることが一番楽で済む話だよね
「お前は弱すぎて忘れかけたのだが……こうして目の前で生きているのを見るということは何かしらの魔法道具の効果からの可能性か…それすらも斬っておけばよかったのにな」
「私はまだ死ぬことのできないし死んだとしても上司が何とかしてくれるから問題は無いけど…また戦うなら私もケジメをつけないと」
「それより城の中にいた公爵はどうした?」
「目的遂行の為に殺したよ?魔法は強くても基礎に難点があったから発展版の魔法を使ったとしてもそんなのただ魔力を垂れ流して肩を飛ばしているような物にやられるとお思いで?」
私の首に剣を当てようとするがそんな物が通ると思うなよ?【亜空間】から一回だけしか使えない諸刃の刃のような不良品を取り出す…これには『剣帝』もこれを見た瞬間後ろに下がって警戒 をし始めた。確かにこの剣は本当にエゲツない能力を持っている…まるでそんなものずるいじゃん!って言いたくなるくらいの能力を持っている
「来ないの?こんなにも簡単に死ぬような人間がすぐ近くにいるけど腰抜けにとってはそん なにも怖いものかしらこれは」
「はいはい、ちょっと落ち着こうね?馬鹿みたいに行動するともっと馬鹿になるからやめときな。それに一回切りの使い捨てなのに能力が桁外れに強いんだからこの魔剣はしまっとこうね?それと今彼と戦ったら相当面倒くさいから放っておこう、ね?」
目の前に出てきた上司…いつも何故か仮面を付けているのがカッコいいから私はいいけど…危ないところで命を全部吹き飛ばすところだった。いやーすぐにこれ出しちゃうのは良くなかったなぁ…もうここは上司に任しといて今はマディーちゃんとか生き返らせる冒険者を探しに行くか!
「行ったね…いーやーごめんね?本当にウチの部下がこんなことをしていたなんて思っていなかったよ今からご飯奢るから許してくれない?というかまだこっちにいたんだ…もう違うところにいると思ってた」
「はぁ…今も昔も変わらずに仮面を着けているお前に会うとはな、奢りならあの極上の海鮮丼が食べたいからいつものアソコに行きたい、早く転移魔法を頼む」
「オッケー!それじゃあ行こうか!あ、あっちにいる彼も呼ぼうよ!久しぶりに食べに行くのもいいじゃない?呼ぼうよ」
「さっさと魔法陣を展開しろ」
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「お前…シグマリと同じ猫人族だったのか?」
「そーだよ?驚いた?こっちもシグマリを連れてるのを見た時はかなり驚いたもん…私は技術で人間であるのだったら何にでも化けられるからね、ちょっと悪いことは何度かして来たけどお芝居みたいなのやっている感じで楽しかった!」
「安心しろ、こいつには人殺しはさせてない…させるととんでもないことが自分に降りかかりそうだったからな。そこに関してはかなり敏感だから心配しなくていい…それに性格とか口調を時々変えてくるから対応に困ることが多々あるがこれがコイツの素の口癖だ…」
このシグマリの髪の毛を真っ白にした感じだな…こっちの方を向いてにこやかに笑ってくるし何個か魔法を飛ばしてきたがフードのおっさんがやっていた【隠魔滅】に似たような魔法を放つ、まだ名前をつけていないから曖昧な魔力の流れなんだが全部魔法を魔力として変換して逆にこちら側に吸収することができた。
「へぇ…今の魔法は興味深いなぁ…一度魔法を魔素というか魔力に変換して吸い込んでいた感じだね。そうだ私の名前は表向きはクレバで本当の名前はイプロルン、イプロでもいいよ?」
なるほどなるほど…ここまで色々と名前を聞いて来たあたりまだいそうだな…まぁ、今はクレバと区切ってちゃんと覚えておかないとガドマみたいに金槌かなんかで頭殴られそうだしな覚えておこう
一応これからについて二人と一匹で話し合って纏めてみると、とりあえず新しいパーティーとして活動することになったので成り行きで僕がリーダーになることになった。それでこれから向かうのは自分に用がある犬の国に行くことになったのだが…
「関係のないルウェー連れて行っていいのか?」
「ルウェーはいざとなったら切り捨てしても問題ないよ?だって前にダンジョンに潜っていて置いていったら大量の魔物連れてくるほどビンビンだからそんな変な心配は元リーダーにはあまり良くないと思うんだけどね」
「何か言ったか?」
今こうして三人で歩いているのだが…遭遇する魔物は大抵全部ルウェーが前に出て倒してくれている。それにしても剣の使い方が自分以上にすごいのがよく分かるしどんな奇襲に対しても眼で対応している。多分未来視の眼と魔力眼の二つが関係しているのだろうな…歩いている途中だんだん見慣れていると言っていて何のことか分からなかったが今になればどういうことかが知れた。
自分も戦わないとな、変光星を手にして空を飛んでいる蠅をでかくしているような感じの魔物に近づいてフルスウィングで当てて吹き飛ばしてそのまま足に力を入れて高くジャンプして近づいて止めの一撃を刺す。
「おーさすがシグマリを連れてるだけあるねジェバル・ユースト」
「そんなにシグマリを連れていることが凄いのか?その凄いって言ってくる基準がよく分からないのだが…何か関係があるのか?」
「んーそれは本人に聞くことをオススメします!はい、この話はおしまい!ほら、ルウェーが珍しく魔物に足止めされてるから手伝ってあげて?」
「オッケー…変光星は全然動けるよな?【起爆】アレってもしかして前に倒した玻璃蛙の亜種の荊棘針蛙だ、あのえげつないほどの硬さにはさすがのあいつも参るでしょ」
「噛み砕け…【淵明闘竜】」
足から出て来た黒い竜が飛び込んで蛙に引っ掻き付いたのだが飛び出るような針には近づけずにいたところだった…まぁ貫通できるような魔法というか人物がいたから対処できたのだが肉弾戦は全く通用できなかったから自分も今のルウェーのように困っていただろうと思う。よし…そのまま木を地面として踏み込み荊棘針蛙の足元を叩き込み変光星の溜まりに溜まった着火剤に点火する。
「よぉうし…吹き飛ばすだけだったら【起爆】してしまうのはありだがこの体表面にくっついている針が欲しいからな内面にある心臓を爆破するに限る」
【起動弾】、この小さな手榴弾の様な見た目であっても威力は【超煌弾】に近い物であれば火力に対してはとてつもないわけではないが変わり種としては素晴らしい物だな…さっさと素材だけ寄越して倒れてくれませんかね
蛙は爆発して針が飛び散ってきたことによって二次被害が起きた。魔法の使い方は気をつけないとな…その後ルウェーに怒られた。だって苦戦していたお前が悪いじゃん
"蛇の抜け殻”での戦いの前にいたクレバは本物だけど潜伏していたイプロルンの拘束魔法で動けなくなっていたところをルウェーが殺害…その際に捕まっていたとある男は恐怖のあまり逃げ出してしまったが二人はそいつがどこに行ったのかは誰も知らない。
ぶっちゃけ私にも分からない
白って何にでも染まるでしょ?そういうことよ




