欲とは
私の名前は無い…たった今生み出された【死累人】だ…主の命を受けて目の前にいる人間と戦っているのだが『死んではいけない』と言う重い縛りで捨て身をしようとしていたのだが思うようにいかない。
「こいつは魔物か?さっきの奴が二階に行く時に置いていった奴だ!囲めばすぐに終わるぞ!かかれ!」
私の技術は生きているのか?生きているのならその場の動きは全て見通せるのだが…問題なく使えるようだ。かなり正確に生み出してもらったおかげでこんなにも動きやすい体だとは…
『闘嶽真流:捻れ竜』
片手に持っているただの剣を振り回すただの盆暗には通じないことを見せつけてやる。体に流れる血のように闘気もそれ相当の量が流れそれを体の外に出し竜の姿に変貌させて体や剣ごと喰らいつく。
「僕の部下に手を出す度胸は認めるけどこれ以上攻撃されると迷惑なんでね、僕がここで戦うとするよ」
階段から降りてきたのは一人の子供のような人間だが背中に隠している縄のようなものが気になる。しかしただの棒だけで何とかできるような相手では無いことが分かった、両手をつけて主の技術を貸してもらおう…作り上げる刀の名前は…『燦澹』と名付けようか…
「すごい刀だね…まるで何かしらの王のようだね」
「主から産み出されたただの【死累人】だ」
◆
「その言葉に込めている圧がとてつもない物だが…こちらはいつも戦などで戦っていつ死ぬか分からぬ身だからな…その言葉は強いがそんな所で使う物ではないと思うがな」
「さっきも言っているだろ、僕はディベトルリンに用があるだけだ、そのまま退いてくれればいいだけなんだが」
うまくいかないことが起きることは今まであまりなかったがここにして多く出てくるとはなそんなにラ・ラガス…人生は甘くはないってことか…なら強行手段を使うだけだ。さっき魔法士がこっちに拘束魔法を打ってきたから鎖の耐久力を上げればそのまま身動きが出来ないようになるだろう。
「【咎める鎖】シグマリ奥に行くぞ」
「分かりました…いいんですか?これだけで」
「安心しろ、魔力だけで構成しているがさっきの糸女みたいにすれば耐久力が上がることが分かったからそれを実行しただけだ」
今、自分はかなり感情的になっているだろう。このことを率直に喋って言うのは簡単なのだが一歩通行の言葉のキャッチボールをしてただ殺すのに手が走るのは実に簡単なことだ。しかし今こうして自分と違う意見を持つ人間から何も客観的な意見を聞きもせずに倒そうとしていたのが駄目だった。侍と後ろにいる魔法士の行動を阻害してそのまま横を通り過ぎていくが刀や魔法で何とかしようとしているようだがもっと身動きが取れないようにしている
「今こちらが対処できないことは十分知ることができた。今回はこちらの負けだ。またどこかで会えるなら話をしたい」
最後の言葉には何も言わずにそのまま無視して行った。何も知らない子供が大人にしょうがないと優しく声をかけるようにだった…その言葉から逃げ出すように厚来始めたが賞金狩りには遭遇しなくなっていた。
「ジェバルさん…」
「大丈夫だ、今は目的に向かうだけだ」
そのまままっすぐ道に進んでいると扉を見つけてのでそのまま足で鍵が掛かっている扉を吹 き飛ばす。知っていたけど朝から女とイチャコラしやがってそのまま目線が合う時にはシグマリがディベトルリンの手の中に捕まっていた。
「お前!シグマリを離せ!」
変光星で腕を切り落としたのだがもう片方の手に回し舐めるようにシグマリの方を見ていた。魔力を集中して糸のように伸ばしてシグマリだけを【宝物庫】の中に入れることができた。ひとまず安心できるがさっきの速さが異常すぎだ…ロケットのエンジンみたいな瞬発力が出るこいつには気をつけないと…
「おい、お前さっき手にいた獣人族はどこにやった?お前の手に強すぎるほどの魔力を感じる…テメェが奪いやがったな?」
「そんなことは無い…それよりもその趣味の悪い物は何だ?」
首に飛んでくる圧縮された空気を躱して新星を構える。奥の方に見えるぐったりとした人間がチラホラ見えるのだが…見ていて気分が悪い。そもそもそんなことをしているこいつが怖すぎる。
「俺の女だ、コレクションしているんだよいいだろ」
聞いたのはこちらだが聞きたくないことだった。本当に聞きたく無いことナンバーワンのことだった。多分中身も無くなっているからあんなにぐったりとしているんだろうな…魔力も一切見えないからな。
「俺はこうやって女を集めたいんだ。周りの奴からはそこに関してはかなり欲深いとか言われるが知ったことはない、ただそうしたいという願望が自分の体を動かしている理由なんだからしょうがないだろ?」
「だったらシグマリは別にお前の物では無いはずだろ!なんでそんなことをする!」
気づいた時には壁にぶち当たっていた。何だ今のは…全く見えなかったし変光星と新星はすぐに【宝物庫】に入れておいたからよかったのだが…クソ今のは何だ?体ができすぎてノロノロしていたと思ったらあんなにも早く動けるなんて…素早さ特化の人間なんて今までいなかったからな…ゆっくりと立ち上がると同時に腹にインパクトが走るっ!一旦見えない拳を一瞬だけ感じ取って避けることができたのだが次くらったらマジで抜け出すことができなさそうだな
「人間なんて欲がなければ何をする理由がなくそのまま朽ちていくからな、欲のない人間なんていないはずだ”強くなりたい”とか“生き残りたい" "勝ちたい"たったこれだけの考えだけでも欲だ。テメェにそれが無いのならただ動くゴミ屑だ」
その言葉は前の僕に刺さる言葉だな…全く協調性がなく欲がなくただ流されるような人間だったから色んな奴に全く人間扱いされなかったのだろうな…しかし、このジェバル・ユースト…俺は違うはずだ…俺には欲があったんだよな…
「俺にも一応欲はあった。だけどそれには遠すぎるから諦めていただけだったようだ」
「ほぉ?面白いなテメェの言う欲は相当面白そうだが…弱すぎる人間には用は無いんだわ、早く獣人族を出して死ね」
デカすぎる壁を登るには極端に二つの方法がある努力で何とかするかそもそも壁ごと吹き飛 ばすことだ。まずジェバル・ユーストのしたかったことを今ここでしよう今まで良い子ぶる ことは止めだ。双剣を手に持って息をするように自身の魔力を解放して行く。
「その欲の為にはお前をぶっ飛ばさないといけなくなったからな!【飌偏道】、【飭動途】!暴れるために力を使わしてくれ!」
【飌偏道】は気の済むままに言うことを聞き形状が変わり亀裂のあったところが伸びて剣のような長さになった。そこからとてつもない程の風魔法が溢れ出して台風のように暴れ狂い天井や壁を破壊しながらディベトルリンの元に近づくがスレスレのところで避けられてしまったので双剣の中に戻す
「なんつ一物持っているんだお前…大昔暴れに暴れた天災に近しい物だなしかし、そんな武器を制御できていないのに倒せると思っているのか?」
深呼吸だ…落ち着いて体に急激に回る魔力を抑えながら今にもはち切れそうな血管を闘気で補い何とかすることができた。この緊張感をヒリヒリと感じるのがいつでも死が隣あっているそんな感じがしてどうにもできないがまたいい。
「思うように武器を動かすのも使用者の特権だろ?」
構えて足元に音がしないほど早い風が駆けていき避ける暇を与えずに抉り取っていき体勢を崩したディベトルリンを【宝物庫】に入れてシグマリを出す。【飌偏道】に【飭動途】を叩き込み元の長さに縮まりその場に倒れ込む。
あーしんどかった。やっぱり俺より僕の方がしっくりくる、あんなにも感情的になったけどこの世界にやってきてから溜まっていた気持ちの栓みたいなのが飛んでいって楽になった。それよりも女の人間をコレクションする趣味というか飲みたいなのは狂っていると思う
「さっきまで様子変でしたけど大丈夫でしたか?」
「大丈夫大丈夫、一階に置いてきた【死累人】を回収したら帰ろっか」
シグマリを抱えてもう一度来た道を戻り始めた。




