借りは一つ作った
「それでまだ見つけられねぇのか!」
壁にグラスを叩きつけ周りに悠々と座っている賞金狩りたちは興味のなさそうにしているのだが…こうやって部下である俺らが尻拭いとして怒られなければならないんだ。嫌そうな顔をするとそのまま顔に拳がぶつかるがそのまま首根っこを掴まれていたせいでそのまま何度も叩きつけられる。
「テメェ…その目つきには躾が必要そうだなぁ!」
何度もやられて息が続かなくなった時に殴るのを止められてそのまま壁に向かって投げつけられる。
「次の日には連れてこいよ。いいな!」
「ディベトルリンーそんなに部下のことを叩き合っていると裏切られちゃうよ?」
赤髪の女が小刀を手の上にくるくると回して遊んでいるのを見たディベトルリンは机を力強く叩きつけて女を黙らせるが拳の周りには無数の傷がついていた。
「そうするのは人の勝手だからいいけど話を切り上げるようなことはやめてほしいな。まだ君は監視員になったばっかしだそんな事を繰り返しているといつかは報復しにくるからそれくらいにしておくといいよ」
「バレト…オメェも対した力を持っていないのにここにいるのが不思議だよな?部下共のポイントの横領は禁止事項だぞ」
「失礼だなぁ…そのまま口を動かしていたらズタズタに切り込んでいたのに…いいやそのままやってやろうか?」
何人もの監視員が対立している中這いつくばって部屋を出たのでその後何があったか知らない。
◆
「お主ら…まだ酒でも飲んどるのか?」
入り口にお爺さんがやってきた。かなりヨボヨボで気合いで立ってるんだなーなんて思っているがお爺さんはゆっくりと話し込んでいた二人の元に寄ってチラリと若者に見せた獣のよ うな目に警戒心を高めた。なんつ一目で人を見ているんだか…
「ヒドリム・ホルップさん!いえただ二人で愚痴を言い合っているだけなんで、邪魔でしたらここから出ますね」
「いや、それは人間として賞金狩りの立場として監視員の命令にはちと酷すぎることもあるからのぉ…そういうのはいいのだがそこにおる侵入者には気付かずにおるのかが気になってな?」
やべ、バレてる。姿を表す前に水のように流れるような太刀で首に飛んできた所を横から黒い竜が守ってくれていた。この黒い竜は…すぐに竜の出所を見るとルウェーがいた。
「爺さん…連れの者が失礼なことをしてしまったようだ、すまない」
「ヨッホッホ…お主の連れだったか、かなりの強者を連れているようで…特にその目が昔見たことがあるが勘違いじゃったのぉ…すまぬな失礼する」
老人はそのままバーの席に座って度の強そうなお酒を頼んでいた。体には触らないのか?と思いつつもゆっくりと店から出ようとするとこちらを見てニヤリと笑っていた。本当に何をしたいのかよく分からないな…店から出てそのまま隣にいるルウェーは歩き続けていた。
「それで、これを理由に一緒に組めってことか?」
「いいや、そのことは諦めたしお前が自分からそれを拒んだんだ、それについては何も言わないただ借りを作ったということだ。必ずお前は約束を守るはずだからな」
なるほど、いつか返さないといけない状況を作ったということか…まぁできることならやろうと思うが一つだけこいつに聞きたいことがあった。
「お前はディベトルリンっていう賞金狩りを知っているか?」
「あぁ…知っているとも悪名でかなり有名の監視員であり賞金狩りだからな。今お前がどこかしらで連れている獣人族を探して色々とどこにもついていないただの賞金狩りにまで迷惑が起きているからな」
シグマリのことで部下にまで手を出してるなんて横暴な野郎だな…それにしてもこいつも賞金狩りということは前見かけた女もそういうことなんだろうな…それよりも獣人族ていうから猫人族のことについては知らないことが分かる。結構好都合なのだが猫人族について知られたら自分が何されるか…男は暗すぎる道を歩いていたのを止めてこちらの方を向いてきた。
「それに多分だがここから南にいるのはなんかしらの獣人族がいるのだろう?お前もそこの王からディベトルリンに何かしろと言われたのだろう?動きが単調すぎるからなよく分かる」
そこまで読まれるとは…全部あってるけどこいつは告口するのか?するようだったらこの場で戦闘するのも仕方ないのだが…どこかに武器を隠していそうだし最終手段としては双剣を使う可能性も出てくるが…笑いながら歩き始めた。何したいの?こいつ
「見た感じ言われてきたようだな、しかし俺の方から何か言うつもりはこれっぽっちもないからな。ただ生活するために仕方なしに賞金狩りをしているだけだからな」
「それは本当か?」
「本当だともら俺は先生のやり残した未練を代行としてやっているだけだ」
こいつの先生なんて相当捻くれた人物なんだろうな…そんなに強かろうとも自分のために使わずに他人のために使う…それも今の自分と似ている部分はあるが一緒のことをしていると嫌ではある。
「一つだけ言っておくとすると獣人族を餌にして殺せばいい…あいつは相当女を好んでいるからな、いい女であれば隙を見せるだろう」
見たこともないただ賞金狩りの報告だけでシグマリのことを狙おうとしている奴の執着はめるけどやられた方は最悪だな。それを止めるためにここにいるのだが…こんないい情報を手に入れられるなんてラッキーだな
「早くお前は宿に一旦戻っていろ…今はこうして話すことができるがどこで耳を傾いているか分からないからな」
「こんなに話しているのにか?」
「俺はただ独り言を言っているだけだ…それに今も姿を消しているのにそんなことを言われても説得力がないように感じるのだがそこに関してはお前にしか分からないことだ」
そりゃ、他の賞金狩りが出てきて会話を聞かれたらおしまいだからな…礼としてはなんだが菫鉑蟷螂から取っておいた菫鉑晶臓岩をあいつの懐の中に瞬時に入れていてそのままこの場から抜けて一旦屋敷に戻るとするか。【身体強化:高速】を使ってまた半日かかる道を駆け始めた
「いいの?リーダー情報提供しちゃって賞金狩りで生活するとか言っていたけど」
「それ相応の物はあいつから貰った…さすがだな面倒で太刀が通らない菫鉑蟷螂を倒していたか」
夜の光を反射して輝く菫鉑晶臓岩はクレバに渡しておく。俺が持っていたとしてもどっかで無くす可能性があるかもしれないからな…
「え?くれるの?やったー!」
■猫の屋敷内■
身体能力が上がったおかげで日が昇り始めたくらいにはここにくることができた。真っ暗なガドマの鍛冶場の中で静かに待っているのだが、床で寝ているガドマを見つけたので弄ってみようと思ったのだが目が思いっきり開いてびっくりした。
「んー…兄ちゃんか…急にこっちに来たっていうことはなんかあったのか?」
「うーん、それなりに正解。シグマリを連れてこうと思ったついでに預けていた変光星を回収しにきた」
寝起きのガドマはあくびしながらふらふらと動いて奥の部屋に行ってから数分して大剣である変光星を持ってやって来た。
「こいつはいくつもの輝く道を持っていたんだ。桜鉑蟷螂の輝菫鉑晶体岩で【爆発型】以外の道が開けたはずだ。兄ちゃんがその道を見つけてやってくれ、そして核から作ろうと思うのだが兄ちゃんは何がいい?」
「あの小さい核で何が作れる?」
「例えば盾とか…短剣ぐらいなら」
なるほど使い道があるということなんだな…それじゃあ何を作ってもらうかを伝えて自室に戻るとゆっくりと朝食を食べているシグマリがいた。
「あ、おはようございます!ジェバルさん!戻ってきてどうしたんですか?」
「ちょっとお前が必要でここに戻ってきた。さっさと行くぞ」
野菜を食べていたシグマリを抱えて全力ダッシュでもう一度賞金狩りの所に行くことにした。もう一度行くからそれほど時間はかからなかった。食事途中で外出されたシグマリはかなり不機嫌そうな顔をしていたので少しの間何も聞き入れてくれなかった。
菫鉑臓岩:菫鉑蟷螂の体に埋め込まれている臓器はとてつもない硬さをしていて溶岩であろうと溶けないと言われている。




