桜鉑蟷螂
「すごいな、ジェバル・ユーストは…私は闘気を元々使うことができないから魔素で代用しているのにあんなに綺麗に纏えるなんて流石だな…良かったなシグマリ。あいつに付いてけばお前の夢は叶うだろうな」
「そうですね…ジェバルさんは不思議な方なんですけど、必ず成し遂げるっていう意志が強くて子供の時にあった男の人と似ているんですよね…」
蟷螂が弱々しく倒れていく姿を見たお姉ちゃんはすぐにジェバルさんに近づいて魔法瓶を渡していた。私もジェバルさんのところに移動していたら二人に桜のような色の菫鉑蟷螂が鎌を振りかざしていた。
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直前に変光星を手にしていなかったら危なかったぞ…しかし何なんだ?次はハナカマキリかなんかか?ピンクというか桜のような色合いだな…新種の蟷螂か?イーパスの方を見ると冷汗をかいていた…そんなにヤバいやつなんか?
「おい…イーパス。こいつは菫鉑蟷螂で変わりないんだよな?」
「あぁ…菫鉑蟷螂なのは当たっているが…コイツは雌だな…まさか繁殖期の奴がこんな浅い所で何をしていたんだ?!」
垂直に降りてくる鎌を受け流すことができたがイーパスは掠ったのか首から血を流していた。後ろに下がって回復をしていたがかなりの出血量だこっちに引き付けて何とかしないといけないようだな…というかもしかしてコイツが桜鉑蟷螂って奴か…
王様に頼まれた事…というのは「桜鉑蟷螂の核を持ってこい」というものだった。聞いたことも見たことはないのであんまり実感が湧かなかったがそいつを持ってくれば褒美をくれるというので出てくるまで待って狩ろうと浅はかに思っていたがイーバス が反応できずにダメージを受けているということはかなりヤバい奴なんだな…
「ジェバル!そいつは菫鉑蟷螂の雌なんだが繁殖期になると雄の菫鉑蟷螂を何匹も喰う程のヤバいやつだ!普通のやつよりも何倍も凶暴だぞ!」
いつも通りではないノリで話しかけてくるあたりやばいのだと思うのだが…この時を逃したらすごい後悔するような気がする…それに手負いの奴を逃してくれるほど優しそうには見えないからな…シグマリに目で合図を送ってイーパスを安全なところに移して貰っておこう…
「蟷螂野郎…いや、桜鉑蟷螂…どっちかが動けなくなるまで戦おうじゃないか…今凄い楽しくなってきたんだ」
変光星を手に持って【起爆】を同時に三回使って暖めて【身体強化:高速】を使って体を宙に浮かして桜鉑蟷螂と同じくらいの目線にしてから戦いは始まった。
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「イーパスお姉ちゃん…大丈夫ですか?今回復魔法かけますからね…【上位回復】…」
首からダラダラと流れる血をいつも所持している手ぬぐいで押さえながら回復魔法を唱える。一瞬の事で対応ができなかったお姉ちゃんは魔力で出血を抑えようとしているのに全く効果がなかったのだが回復魔法が効いてきてゆっくりとだが出血も治っているようで良かったがまだ完璧に治っているわけではない…もっとちゃんと魔法をかけるようにしないと…ゆっくり深呼吸をしながら回 復魔法をかけていた…遠くで聞こえる音がジェバルさんのことが心配になる。
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「いいねぇ!そのゴツイ鎌!あんなに硬かった生えている水晶体を粉々にしながら回れるってなか なかのもんだ!ほら!これも美味しいぞ!【超煌弾】!」
「Gyogaaaaaaa!」
大きな声を聞いて起きてきた桜鉑蟷螂が何体も自分の首を狙って鎌を振るが同じ同類の体にゴスっと当たったりして砕けているのだが全く桜鉑蟷螂には傷一つ付かないのが凄いなしかし…相手は蟷螂だけじゃないんだぞ?
「【白銀世界】」
氷で動けなくしたところを大振りで桜鉑蟷螂の首元を狙って何発も【超煌弾】で爆破していくのだが…ヒビが入っているのに割れやしない…何ということだ…菫鉑蟷螂を喰らうことでその分硬くなっている事なのか…?ならその硬いのを剥がさないとなぁ…【舞い踊る火粉】を使って体内にある魔力を燃やし尽くす…変光星の剣身が青白くなっていき体が少し動かなくなるところで魔石を噛み砕き生命は取り止める。
「この状態での【超煌弾】はやったことはなかったな…物は試しだ。ぶつけてやるよ!【超煌弾】!」
思いっきり破片が飛び散り熱風が飛んでくるがまだ内部までは行きついていない…しかしもう一発ぶつけようとするが熱で氷が溶けてしまったようで暴れながら菫鉑蟷螂を鎌でぶち壊しながら体を振り回した。
「おいおい、そう怒るなって…まだ戦えるからもっと動こうぜ?」
「Klieeeeeeee!」
魔法か何だかわからないのだが上に菫鉑蟷螂の腕を掴んで投げ込むとその場に穴が空いてピッタリと月日が当たっていた…なんでそこの所だけ空けたのか分からないがこの調子だったら潰しに行け る!体はまだ燃えるような感じはしていない…まだいける!
「二回目だけど強気に戦える!【舞い踊る火粉】!」
身体中に廻りに廻る魔素が炎で燃やし尽くされる。とてつもない程の力が溢れるが制御ができない…!体を踏み出すともう近くの桜鉑蟷螂を変光星でぶつけようとすると光のようなものを飛ばしやがった。その光線はギリギリのところで【宝物庫】から取り出して持ってきた新星で反射することができた。すぐに【宝物庫】に戻して片手で持っていた変光星の柄を握りしめる
「こいつ…月日を浴びてるかと思っていたらあれで魔素の回復でもしていたんか…すぐに閉じないといけないんだが…この凶暴で手がつけないこの状況で辿り着けるとは思えないんだよな…」
それに遠距離攻撃という新しい面倒くさい物を増やしやがったがそこに留まっていないと回復ができないと言うのなら邪魔するしかないだろ?変光星から出した【超煌弾】を地面に叩き込んで色々と叩き込む。硬すぎる岩などが弾け飛んで桜鉑蟷螂の体にぶつかり傷も多くなっていったのだが…
「おや?桜鉑蟷螂の様子が?」
殻がポロポロと剥がれていってだんだん落ち着いたが姿はボロボロだけど…なんか動きが早くなっているよな…動きはまだこっちの方が早いのだが…いつの間にか鎌の攻撃が横スウィングで飛んできたのでガードをするのだが重さが半端なくそのまま吹き飛ばされた。
「こいつ…月日で自分の体を強化していやがった!」
壁にぶつかる前に足で踏み込んで機動力を得る。 動き回れば体も暖まる…そして体に炎が回ってくる変光星もだいぶ熱くなってきた。ここでブッ放すとまだあれだからな、最後の手段として取っておこう。近づいて【起爆】するが前より硬くなっている…どうしようか…一旦後ろに下がってみたが状況は何となくあっち側に向いてきたような感じがする…
「そこで怖気ずくとは…まだ甘いな!もっと進み続けることを考えていないとな!ジェバル!【猫動流:乱れ突き】!」
横から颯爽と現れたのはイーパスだった。首元には包帯が巻かれていたが…致命傷でなくて良かった。後ろでシグマリがドヤ顔しているのが遠くでもよく分かる。後で褒めておかないとな…イーパスが細剣で桜鉑蟷螂に何発も突くと何発も奥の方に傷を何個も作って後ろに下がった。
成る程…あそこを使って起点にしろっていうことだな?それなら使わしてもらうしかないよな!変光星を十二回も【起爆】したことでだいぶ火力は上がっているはずだ…体には闘気と【白銀世界】も纏って体温調節も十分だ…それじゃあ仕上げといこうじゃないか!桜鉑蟷螂!
補足して説明させてもらうと菫鉑蟷螂は雄と雌に分かれていて雌の方が雄よりも多少だけど大きいし凶暴である。それに深い青色である雄の菫鉑蟷螂とは違って雌は少し茶色がかっているのが特徴的であるのだが…菫鉑蟷螂の雌が繁殖期にだけ姿を変えて薄い桜色になる。そこから桜鉑蟷螂と名付けられた。
繁殖期なので元々なんでも食べるが岩も食べるようになり、神経も苛立っているので慎重にならなければならない。
また月日に当たって光合成のような行動をすることがあるが体についている殻…のような物の修復になったりする。




