その選択が運命を分ける
「だってよぉ…イーパス。今まで戦っていた時には気づかれていないのに人間相手にした時は気ぃ抜いていたか?たった一瞬でそれを見抜かれるとは…もうちょっと修行するべきではないかぁ?」
「もっと精進できるように頑張りたいと思います。それでやるんですね?」
知らないうちに王の隣にイーパスがいた、やっぱりこの言葉が最高の答えだったようだ…緊張した中での空気だったが本当によかったです。イーパスはこっちの方をじっくり見ていて王の側に座布団みたいな奴に座っていた、胡座で座っているが結構様になって見える。
「一瞬だけだったのによく気付いたと思っているよ!ジェバル!」
こんなに大きい部屋なのに耳がキーンってなるのがおかしくなるってどんくらいの声なんだよ…イーパスは満足そうな目でこっちの方を見ていた。するとだんだんと徐々に姿を消えていった。王はこっちの方を見て一本のキラキラした装飾の短剣を自分の前に投げてきた、畳が勿体無い気がするけど多分隠れたイーパスを当てろっていうことなんだろうな刺さった短剣を引っこ抜いて持って後ろを向いて素早く投げた。
「合格だぁ…ジェバル・ユースト。俺等が見込んでいよりもすごくかったなぁ…」
投げた短剣がイーパスの腹の部分に当たりそうになっていたのだが何故かギリギリで止まっていた。これも王様が使うことができる魔法なのだろう…見たことのない魔法だがそれが使えるようになるのはまだ先になりそうだな、イーパスは止まっていた短剣を掴んで隣にいたシグマリに渡していた…その際に耳打ちしていたので流石に話は聞くことができなかった。
「本当にそんなことあるの?イーパスお姉ちゃん…」
「万が一のためのものだ…多分使うことはないだろうが念の一応だ」
短剣と鞘をイーパスから渡されたシグマリはゆっくりと収めて服の中に入れていた。イーパスはそのまま部屋から出ていったがその際にこちらを向いてにこやかに笑っていた。何に対して笑っていたんだろうか…よく分からないやつだ。
「それでぇ…ここに呼んだわけだがぁ…おめぇさんに頼みたいことがあってなぁ…聞いてくれるか?」
ノーという立場ではないのでな迷わずイエスと答えたのだが言われたことに開いた口を閉じることが出来なかった。それはあり得ないでしょ…そのまま王との話を終えて今はガドマのところで新星を回収しに来たのだが…またイーパスがいた。さっきからよくお前とは会っている気がするのだが…
「お、兄ちゃんも来たか…まだ昼間だが俺は仕事が早いからな!ほらよ!兄ちゃんの武器はそこにあるぞ」
ガドマが指差す方に新星ともう二本双剣のようなものが箱の中にあった。もしかしてこの双剣って…ガドマの方を見るとニコッと笑ってその武器について話を始めた…すごいリズムに乗りながらである。
「まず、そいつの真名だが…その使った竜の鱗の意志が強すぎて名前にかなりの捻りがあるんだが…【飌偏道】と【飭動途】と言うんだ、こっちの主張が強そうなのが【飌偏道】。鱗に秘めている竜の力…多分風の竜なんだろうな。その風魔法が発現するっていう代物でなぁ…鱗を溶かして型を取っていたんだが…炉の火を何度も消されるっていうことがあったんだが…何とか抑えることができたから良かった良かった。そんでこっちの大人しめなのが【飭動途】でさっき言った【飌偏道】の抑制装置みたいなやつだ。兄ちゃん分かったか?」
すごいな…こんな強そうな奴を使えるのはまだ先のように感じるがどこかで使えるようにしておかないとな、それはそれと触って感触を味わっておこう。手に持ってみたが何だこれ…軽すぎないか?軽々と振り回しているとガドマがやっぱりかと言ったのでそれについて聞いてみたら
「兄ちゃんの技能というか…まだ経験が足りないっていうことだな、武器はいつも使用者のことを見ている、未熟者に触られる程弱い武器ではないと怒っているんだと思う」
あーはい…最近使っている魔剣等の性能に頼っていることもあるんでそこのところはちゃんとしようと思います…王様はちゃんと見ているんだな…一旦【宝物庫】に入れておいてすぐに出せるようにしておこう、イーパスはマジマジと双剣を見ていた。次は何ですか?
「面白いな!その双剣は!私は大抵いつも鉄剣か細剣だからその奇妙な形をする魔剣にはとても興味がある!そうだ!後で一緒に洞窟に行こうではないか!そこに隠れてるシグマリも一緒にな!」
「ッピ!お姉ちゃん!分かっているんだったら邪魔しないでください!」
話が終わってからいなかったけど柱の後ろに隠れてびくついていた。どこにいったか分からなかったがそんな所にいたのか…武器を回収して鍛冶場とシグマリを置いていってその場を移動した。
「それで…こっちが服屋か…人間用のもあるよな?」
服屋に入ると猫用なんて物はなく全て人間仕様になっていたし普通にかっこいいのもあるし気に入った。奥の方にいると猫耳の男の人が新聞を読んでいたがこっちに気づいて近づいてきた。
「おやおや、人間のお客さんなんで結構久しぶりだね、何か用?」
「かなり服がボロボロになったから新しい服を買おうかと思っていて…」
目の前にはかなりファッション性が高そうな物が多くてそのまま引き返そうとしたが店員に捕まった。あれやこれやとマネキンのように使われて途中から無になっていたが一番しっくり来る物があった。
「ん?これがいいのかな?」
黒色の魔導士のローブみたいな物だったが気に入ったので買っておいた。多少お値段が張ったがこれもいい買い物だと思えばいいだろう…あとはシャツとか生活するのに必要なものを買い揃えておいた。新しい服に着替えローブを羽織る。心機一転して気分もお金の方もスッキリした思ったら待ち伏せされたイーパスに担がれた。途中でお菓子を食べていたシグマリもキッチリと回収されたのでこれから向かう先は多分洞窟だと思う。どんどん景色が変わっていき一瞬で洞窟の前にやってきた。
「よし、さっきも言っていたがジェバルも修行をすると言っていたのでな!ここでできる効率のいい方法を教えるとしよう!」
そう言って両手に鉄剣を持って大声で叫んだ。すると遠くからドスンドスンと聞き慣れた音が聞こえてきた、その正体は菫鉑蟷螂だった。知ってたよ?知ってたけどさ、そんな火力で倒せるのか?と考えてきたけど三匹ほど突進していたのが見えたのでシグマリと僕は後ろに下がったのだがイーパスは動かずに鉄剣を構えて何かしらの構えをしていた。
「【猫動流:前門】!」
蟷螂の一匹の動きが止まって自分があれほど攻撃をしても傷が付かなかったあの体に ヒビを入れやがった。しかし残りの二匹はこっちに来たので対処しないとな…剣闘舞奥義…というか闘気には他にも使い方があるからな…舐めないでほしい!
「闘気を剣に纏わせて一点集中でぶち当てることができればヒビくらいはいってほしいなぁ!剣闘舞『一閃投下』!」
新星で全く傷一つ無い皮膚にぶつけるが擦り傷程度にしかならなかった…剣の性能をあまり使わないでやるんだ…そうすればあのクソでかい蟷螂を隣で粉々にしている奴くらいにはなれるだろう…
「シグマリは一旦下がってくれ…単純な力で何とかしないと前には進められない気がするからな」
「分かりました!危なそうだったら魔法で引き付けますから!」
そう言って動いたのを全く相手のいなかった一匹の菫鉑蟷螂がシグマリに向かって突っ込んでいった…咄嗟に魔法で攻撃したが反応せずにシグマリの方に向かって行ってしまったが目の前にいる菫鉑蟷螂が邪魔で身動きが取れなかった。
「この蟷螂邪魔すんな!『連闘叢雨斬り』!」
剣撃を飛ばして何とかして離そうと試みるが全然動かない!鎌が飛んで来るにも新星を盾にして防御を取ったが吹き飛ばされて壁に埋まってしまった。シグマリがこっちを向いた時には蟷螂が鎌を振りかざしている時だった。
「心配するなジェバル。私が守るからな!目の前の菫鉑蟷螂をどうにかするのを考えろ!」
あいつ片手で蟷螂の鎌の威力を喰らっているのに普通にいられるのがおかしいんだよなぁ…壁を削りながら地面を踏みつけて顔面を叩き込んだ。多少は動きが止まったようだがまだ動くようだ…【身体強化:高速】で体を力いっぱい動かして足元から天井に素早く斬りあげる。
「我流でまだまだあれだけど【燕返し】だ」
さっきよりかは傷はつくようになったがまだ闘気の練度が足りてない…そして闘気を薄くするが均等にそして厚くする…言葉では表現するのが難しいがこの完璧な動作をすれば何か変わるかもしれない…空中にいる僕を狙って両方の鎌の先端を当てようとしてきたのでそれに合わせて闘気で新星を包み込み当て込むとヒビが入った…今、感覚が掴めたぞ、纏うと意味合いは同じなのだが包み込んでムラなく闘気を包むことができる。そのまま集中すれば硬すぎる皮膚であろうと綻びに突くことさえできれば!
「剣闘舞奥義『闘気発斬乱れ突き』!」
一点だけに集中して突いた攻撃は何度も当たり砕くことができた。素早く【宝物庫】から変光星を取り出し亀裂の入ったところに剣先を指して【起爆】する。身までは到達しなかったが周りにあった殻?みたいなのは剥がすことができた。このままいけば行けるぞ!




