死なる霊の王よ、同胞の屍の上に立つ 其の二
「まだ、死なぬとは…蛮勇だけと言った私の言葉を撤回させてもらう…しかし、まだ神の使いだとしたら容赦はできないからな…この霊法を使わさせてもらおう…死霊魔法【戻り咲く死人】…この魔法は昔の人物の力を使えるものでな…東洋の人間の技術でも見せてやろう…」
先ほどまでの姿とは全く違くてその構えからしてかなりの様になっている、見たことのない動きだがよければ問題はないはずだ…相手の手から白く実体のない刀のようなものが出てくる、相手の動きをよく見て対処すれば…ん?この動きは見覚えがある…ということは守るべきは急所!
「【剣闘舞奥義『闘気発斬乱れ突き』】」
自分がやる物よりも2倍3倍もの多さの突きが襲いかかってくる…お手本のように綺麗な動きで急所を狙ってきた。ここでも一時的にの甲飆竜の鱗が守ってくれた。2度目の感謝を…と言っている暇はないんだ。竜の物理攻撃に属性問わずに魔法をガンガン飛ばしてくるのは反則でしょ…こっちは創造魔法があるから増やせる分には増やすことができるけど、普通の人間がこんなに魔法をバカスカ打てるのは脳が異常でしかない。それに洗礼された剣術にお見事と言ってあげたいけどそれをこっちに向けられると何も言えないんだよなぁ…
空気を切るようにシュン…シュン…と耳に聞こえてくるから尚更怖い変光星を出したところで一瞬で粉々になりそうだから出そうにも出せない
「竜さんよ、ささやかながらプレゼントだ。【微塵嵐】」
ものを飲み込む嵐で竜に多少の傷をつくれることに成功してそれを継続して竜に当て続け変光星を出して骸骨と正面でやりあえる場を作ることができた。だが、剣術の密度では全くが立たずジリ貧が続いている。
「ここまでできるなら…【戻り咲く死人】…次は魔法の対決としようか…テト、そんな魔法なんて壊して戻っておいで」
しかし、テトは戻らずに僕の【微塵嵐】に手こずっていた。 竜は魔法を成り立たせている魔力をゆっくりと吸い込み出しやっとのことで抜け出したようだった。骸骨はものすごい形相で睨んでくるが知ったことか、あ!あの骸骨竜に治癒魔法かけてやがる!【輝矢】を飛ばすがその前に結界に阻まれてしまった。
うーん結界を張られてしまったら何もできないんですが…待って?負けて死ぬのは御免だよ?元にいた場所に戻って骸骨が玉座から扉の前に来るなんて一瞬だった…防御もできずにそのまま白い剣が体に当たりそうになり…生命の危機を感じ目を閉じてしまった。
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「私は…昔神聖国家にいた稀にいる孤児だった…本当だったら神聖国家は『神教』を信仰しているためそんな神の怒りなんて買うことはできませんので生まれてきた子供は大切に大切に育てられるのが普通なのですが私は運が悪かったようでね…捨てられしまったんですよ…だから孤児院にいた訳で私には家族が居なかったんです。そこでただ寄り添えるのは自分のことを守ってくれるのは最低限の愛情を降り注いでくれる修道女の人間だけでした」
ゆっくりと話し始め、少し遠くの方を見てトリュの過去語りを聞いていた。 神聖魔法の何らかの手口を聞けるとならと思っていたが…まさかの生まれからの話から?と言いかけたがかなり重そう なお話だから喉元で押さえといた…ここからどうなるかが気になってしまう…
「それからの少年時代は修道女から言われたことは全て守りそこから与えられる最低限の愛情を雛鳥のように貰って過ごしていた中で最高司祭のザッパー・ブギュリルという人物が現れたのです…会った時は七十後半のおじいさんでしたからね…今ではもう死んでいると思われますね…ザッパー司祭に何を見られたのだか分からないが本殿の方に連れて行かれ礼法など初めから全てを叩き込まれまして…神聖国家が崇める『神教』に入れさせて貰って毎日同じようなことを繰り返していたんですよ…」
すると、真っ白な服から一つの球体を取り出した。 見るからに綺麗で白く覗くと景色が見え てきた。トリュは覗いている私に手を出し見せないようにした。気になった顔をしたが全く見せようとする素振りを見せない。
「これは、個人の記憶が詰まっている物でね…絶対に見てはいけない…私が見れば喜びに満ちたものに、しかし他人が見ると狂気に見えてしまう…君にそれを見せてしまうと後戻りできないくらいのものになってしまうからね」
「こんなものどうやって出てくるの?」
普通に気になることだ、今の話を聞いていると急にこんなものが出てくることなんてあり得るはずない。ましてや私には全くそんな物が出てくるなんてことはなかった、それはやはり本殿に何かあるのかもしれない…
「簡単な話ですよ…司祭が記憶をこの水晶に移すんですよ、そうしたら中身を確認して人を振り 分けるんですが…司祭の目には自分と同じ幸福そのものしか見ていないんですよね…本当に謎だった…そしたら急に私は司祭に呼ばれまして…次のことを言われました…」
『現実から目を逸らして、言うことを素直に行動するものは不幸になる…やはり君は私と似ているな…そんな君にこれを見て欲しい』
「そう言って司祭の水晶を見せられました…私は司祭とは違うから普通に狂気を見せられました見てて辛かった…しかし、脳に刻まれるんですよ。神聖魔法が…」
司祭の水晶を見たら神聖魔法が使えるようになった? 何を言っているんだトリュっていう人物は…ということは私にトリュの狂気じみた記憶を見れということか?顔を正面に向けるとトリュがにこやかに笑った…そんなように見える。
「大丈夫ですよ…貴方にそんなようなことはさせません、 代わりにですがしてもらうことがあります」
「それは?」
「気になる人と共にいるとそれに釣られて上手くなりますから…」
ニコッと笑いながら言い出したのは馬鹿げたようなことだった。言ってきたことに呆れながトリュに紅茶のおかわりをお願いするとすぐに注いでくれた。
「本当に呆れたわ…何が気になる人ですって?そんなので上手くなったら誰も苦労しないわよ」
「しかし、私はそれで上手くなりましたから…【神からの祝福】これは私から貴方に贈り物です」
机の上に白い箱が置かれた。今のは覚えられるものが少ない魔法なのに…箱の中身を開けると氷の薔薇が一輪入っていた…え?なんで氷の薔薇なの?困惑しているとトリュはだんだん砕けて始めていた。
「もう時間が…私には一人の娘がいましてね、花に囲まれるのが好きでして…好きなお花が魔法の氷に包まれた薔薇でして…貴方にもその家族と一緒にいた暖かさを分けたくて…ここに一輪ですが…贈らせてもらおうと…老いぼれの話を聞いてくれて…」
体がバラバラと消えていく中、この氷の薔薇に思いが詰まっていた。最後にトリュが残した言葉は“ありがとう…ジュリー”だった。消えていったのはトリュだけではなく部屋もだった。真っ白になった途端、目の前の景色が変わり"蛇の抜け殻”の場所に戻っていた。贈り物の氷の薔薇は私の心の中にスッと入り込んでいく、その前に置いてきてしまったジェバルのことを頭によぎった。
「待って…?ジェバルは…今どこにいるの?」
ジェバルは骸骨とそのペットの竜と戯れてるよ
追記
1000PVもありがとうございます…これからも続きますのでよろしくお願いします。




