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ラ・ラガス~創造魔法で異世界を生き抜く~  作者: タツノオトシゴ
序章
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大地を踏みしめた、しかしここは…

「おい!早く立ってくれ!ジェバル!お前が伸びていたらマジで俺たち死んじまうからよ!」


 微かではあるが傷だらけの身体に響く誰だか知らない声が目覚めを促す後押しになった、後頭部に耐え難い痛みが全身を包むがゆっくり目を開くと視界に真っ先に映ったのは土…?なんで倒れているのかはさっぱりだが立ち上がろうと試みるも手足が痺れてままならなかった。


 頭を必死に動かすと視界はぼやけて見えなかったが茶色の化け物が暴れ小刻みに揺れていたがその化け物を前にして二人が立っていた。身体が痺れて倒れている理由も訳分からなく容赦無く襲い掛かるような圧に推し潰れそうで逃げ出したい僕の心と裏腹に今ここで踏ん張ってこの状況を数少ない友達の危機を何とかしないといけない自分の知らない何かが気持ちをより一層煽る。


 手足が痺れて仕方がないのに何故立ち上がれたんだろう、不思議と力が入りふらふらしながらゆっくり立ち上がると名の知らない友達が睨み合いをしていた後ろでゆっくりと立ち上がり自分よりも数段大きい猪のような動物に向けて手をかざす。


「【創造魔法(クリエイト)】」


 手から何かが蠢く感じがあったが今までに感じたことが無く変なその一瞬だけ気持ち悪く血の気が引くような脱力感みたいなものがかざした手から起きたがそんな事は一切なかったと身に起きた奇妙な出来事も何事も無く不思議に思いつつも自分の直感に身を任せた。


 何処にもない所から創り出された岩は少しづつ回転を加えながら銃弾を飛ばすらように空気が回転が掛かった岩を力強く押し出し周りに轟音を響かせながら猪の頭を吹き飛ばし遠くにあった木を数本折ってようやく勢いが止まった。


 静寂が森林を支配し頭が吹き飛んだ猪が力無くズッシリと地面に倒れるとあれほど親しみがあったように感じた二人が急に見知ぬ誰かに感じた瞬間、何か言われているが何も聞こえずに倒れてしまった。




 大陸の中央に位置するアストラル王立国家に属す数多くの領地の中、国境線の監視と南に植生を広げる鉄のような鋼鉄さを備える鉄の森林から現れる魔物の撃退を兼ねて国家から辺境伯の地位を贈呈された『剣鬼』の肩書きを持つジュダー・ユーストを筆頭に起こされたユースト辺境伯領地の屋敷の一室、机を介し向かい合うようにして座わるジュダー・ユーストの前に立つ息子の友達とも言える二人の子供に事情聴取に当たっていた。


「それで…あれは一体どういうことだ。リューヅ」


威圧的に言葉を二人に掛けてしまったがジェバルと二人に頼んだ物にしては予想外な事過ぎる、鉄の森林で鍛冶士に造らせた斧が大木に通用するかの確認も兼ねての物だったのだが…万が一の事を考えて三人で行動するようにしたのだがやはり四人ほど連れてくべきだったか?しかし、今領民を動かすとなると他に不都合が発生してしまうな…


「私とジェバル、そしてポールと一緒に頼まれた斧の確認に鉄の森林に行ってちゃんと大木に少しですが削られた跡を確認できたので報告の為に戻ろうとした際にビックボアの不意打ちにジェバルが吹き飛ばれてしまって…」


「それはジェバルの具合から見て判断できる……そこで何があった?」


「吹き飛ばされてピクリとも動かなかったジェバルが地魔法の【岩石弾】に近い魔法を使ってビックボアの頭を飛ばしたんですよ」


「ジェバルが地魔法だと?訳の分からんことを…」


 ビックボアは最近根絶やしまでは行かずともかなりの数は仕留めたつもりだがまだ息を潜めていたのもいたか…悪知恵はそこいらの魔物が関連しているのもあるだろうが領地付近には迂闊に近づかない筈だが何が原因だ…?リューヅの言葉から出来得る限りの考えを探していたのだが最後の一言に疑問を隠せなかった。


 ジェバル自身が水魔法以外の魔法は扱うのに難儀していると前々から聞いていたがあの事件が尾を引いている事もあってそこまで魔法に興味があるという訳でもなかった…余計頭を悩ませるだけで事実かどうか疑いを抱いてしまうが…


「本当なんです!ユースト伯爵!」


「ジェバルの事をよく気にかけてくれている二人が嘘をついているなどとは思わんが如何せん今までにない出来事で少々判断がな…」


「ユースト伯爵!ジェバル様が起きました!」


 最近姿を見せる機会が減っていた魔物が突如人里近くまでに近寄った事と今まで生きてきた中で見た事が無いほどの水魔法を扱いに長けていて他の魔法に関してそこまで力を入れているようにも思えないジェバルの事もあり事情徴収だと言うのに全く進める事が出来ずにいるところで屋敷に勤めているメイドが大きな声で知らせに来た。


「分かった。この件はまずは本人に聞いてからにする。二人にはもう少し話を聞かせてもらうからここで待っていてくれ」


「「はい」」






◇◇

「どこだここ…」


 まさかこんな言葉を言うなんて思いもしなかった、記憶が曖昧だがあの時身体全身が痛くて仕方なかったのに今は全く痛みなんか感じられないし…何なら頗る元気でもある。急に等身大程の猪が鬼みたいな形相で睨みつけられた時は全く身体が動かなかったのに…


 大きいベットから身体を起こして手足の痺れが無い事を確認して周りを見渡すとどこも真新しい物が映る、机の上に山積みになっている大量の辞書ぐらいの厚さの本たちに不思議な形をしている数々の道具が丁寧に棚の中に厳重に保管されており一種の研究室とかなのだろうか。


 気になった物を発見すれば素足でペチペチと歩きながら近づいたりと好き勝手しているとふと窓から入り込んだ日の光が目の中に入る、近くの窓から見た景色は中世ヨーロッパのような感じで何とも長閑だ。


 周りの物を触っていたからなのか頭の中で少しづつ理解し始めた事があった、この元の身体のジェバル・ユーストという人間の今までの経験のようなものが当然のように感じ取れる、ここは自分の自室と自分の魔力を制御するための魔法道具の研究室だったりと既視感のある空間だった。


 アストラル王立国家に代々仕えるユースト家の長男、周りの人からは水魔法の専門家(プロフェッショナル)や『水の化け物』だとか言われたりと水魔法と限定的ではあるが驚くほど称賛されながらも恐れられていたりと上手く掴めないが一番記憶に残っているのは水の中…?埋もれて息苦しい感覚が鮮明に残っていたりと理解できない部分が多いが気にしすぎると頭痛くなるし止めておこう。


「ジェバル様?」


 ただ呆然と机の上に山積みになっている本を何冊か手に取って本を読んでいるといつ入って来たのか分からないのだが金髪のメイドさんが部屋の中に入っていた時には自分はベットから出て歩き回っていたからか陶器を乗せたトレイをガシャンと落としたが固まってしまった。


 数秒経って我に返ったメイドさんは慌てながら部屋から出て行ってしまい粉々になって散らばった陶器とトレイを急に部屋から出ていってしまった。物落としてるけどいいのかな?流石に自分の部屋に散らかった物を片付けてさっきから気になっている事を確認する。


「鏡は記憶が正しければここに…あったあった。前髪がさっきから目に入るから薄々分かっていたけどやっぱり黒髪で目真っ黒…」


 ジェバル・ユーストがどんな人間だったのか…自分には彼が体験した経験と記憶が残っているのだが自分の姿を極端に見たがらないせいでどんな姿なのか分からないままだったからちゃんと見れてよかった。さっきのメイドさんは金髪に目の色が青だったから二本だったら外国人以外はあまり見かけない姿だったし確認取れてて本当に良かった。


「できればもう少し自分について分かればいいんだけど…」


 曖昧な記憶になりつつある中、何か鏡の前で出来たことがあった気がして身振り手振り色々な行動をしていると頭の中に一瞬で流れていった感じがして……その答え合わせとでも言うように簡略化された自分の情報が叩き込まれた。


ジェバル・ユースト


称号:【水の化け物】

技術:【創造魔法】【統治】【???】

加護:【水の神ウンディーネの加護】【観測者???の加護】

【観測者???の加護】の影響により相手からの【鑑定】に干渉されることはなく【露呈】もしくは【越覘】により表面上の情報開示を許可します。また、試練の強化が施されます。


この【観測者???の加護】と【???】ってなんだ?

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