“蛇の抜け殻”との戦い④
「おうおう…生きていたか。【水浪の泡沫】まだ戦えるよなぁ…?そのお前の持つ剣はまだ紅く燃えてるからよぉ…いけるって言うことだよなぁ?!」
「お前は人を下に見る…蔑むような人間が人を救うとかいう戯言なんてもう吐くなよ?さっきの続きだ、今ここで徹底的にぶっ潰してやる」
奴の棍棒が勢いよく振り回されギリギリのところで変光星でカバーする。棍棒を叩き落としそこから棍棒を伝っていき首にまで動き変光星をフルスイングする。口で遮られてしまったが体から溢れ出る魔力を今、一瞬だけ変光星の【爆発型】の【起爆】に力を回す。すると爆炎を纏わせてパチパチと周りに音を出していた。歯が溶けていき唸り声をあげるが顔面に挙が飛んできて離れないといけなくなってしまった。
マディーさんはこちらを見てこの後起きる戦いを想像したのだろうか分からないが….部屋か ら出て講堂にある大きすぎる部屋の中には僕と 【暴食の乞食】だけになった。変光星に再び魔力を入れてないはずの記憶の中で創造した【剣闘舞奥義『闘気発斬乱れ突き』】の型の準備をする。剣身を極限に針のように変形するようにして肩・心臓・肝臓・腎臓・ 尾・膝・アキレス腱に向かって何度も無数の突きをかける。
「いいぜぇ!これこそが戦いだ!その覚悟に対して俺も礼儀を払うために喰ってきた人間の魂を力に最大限の技を繰り出してやろう!」
【暴食の乞食】を目前にして体内に膨大な魔力と力を感じた。棍棒は無造作に振り回され体に直撃する。攻撃に力を入れていたため防御ができずにいたが服の中にしまっておいたある物が身を守ってくれた。ありがとう、甲飆竜様。あなたのおかげであんな重い一撃を喰らわないでこいつに技術をぶつけられそうです。僕の身を守ってくれたのは甲飆竜が渡してくれたあの鱗が意志を持ったかのように壁として守ってくれた。一つも傷を付けずに体の大きさである鱗は落ちていった。
「これで死ななかったら褒めてやるよ!【水狼の泡沫】ゥ!!【剣斬豪:辻斬十屠龍】ゥ!!」
大きく十字型に斬られた空間は削れていくというか喰らうように進んでくる。【剣闘舞奥義『闘気発斬乱れ突き』】に向ける攻撃をデカデカしい体から十字型の斬撃に向けて綻びのある場所に突きを入れるが魔力の量に圧倒されながらも【身体強化:高速】と【怪力】を使ってバキバキに突いていく。【暴食の乞食】は他人の魂を取り込む度にだんだん体が蛇のように変わっていった…そんな中、心の中で集中をしていた僕は考えていた。
まだ足りない。足りない。足りない。足りない。 全然足りない!力が、欲が、希望が、信念が、命を燃やす覚悟が!
『今、この場を支配して自分を優位に立ちこのクソったれた大蛇に喝を入れてやる』
「この場を吹っ飛ばす!!マディーさん、身を守ってくれ!!そっちまで手を回すことができない!!【深海】!!!」
海は深く深く全てを飲み込んだ。講堂や門、アレドンキラ山脈から急激な滝が現れた。それは森までも侵食し辺りの動物までも飲み込んだ。それを上で見ていた竜は…
『地形を変える戦いは免れないか…まぁあの人の子ならば納得がいく…見せてくれ、ジェバル・ユーストよ。己の何をかけてそいつに打ち勝つのだ?』
自分も水の中に入り反応を遅れたマディーさんに空気を入れた膜を飛ばし目の前でまだ大きくなる蛇に目を向ける。変光星の輝きは衰えず、僕の道 を明るく照らすスポットライトのようになっていた。 熱く熱く溶岩のように水さえも蒸発させていき剣身は真っ白になっていた。
「まだだ!俺の戦いは終わらねぇ!!【止まらぬ悪食】!!!」
間のような薬を掴むように追い寄ってくる蛇に360度回り込まれようとしても切り倒してい き最後に【疾風】を使って体に推進力を与え蛇に成り変わった大蛇の首に力強く当て、最後の言葉を残す。
「最後だ【暴食の乞食】戦いの最後はこれで堪能してくれ【起爆】」
変光星は剣の主、自分を心地よく使わせてもらう人間に感謝を表すように首を爆破する。飛び散った血からだんだんと魂が飛び立っていきみるみる 【暴食の乞食】は絞り果てていった。体にかかる衝動は止まらないが【深海】の発動を止め圧縮し【水球】ぐらいに小ささに変える。そのまま大蛇諸とも圧縮して潰した。
「はぁ…やっと終わった…こんなに強いなんてなぁ…」
跡形もない場所のところでゆっくりと赤く染まった水を捨ててゆっくりと体の調子を戻す。戦っててあんだけ血が出るに出まくっていたのにもう体が再生していたのが不思議だ…マディーさんの方はギリギリまで耐えられたそうでこちらにやってきた。
「ジェバル…あんな魔法使えるなんて…本当だったら倒せるのなんて夢みたいな格上を倒すなんて…」
「自分の切り札を使わせるなんて大した奴でしたよ…それじゃあ…帰りましょうか…疲れたので戻ったらゆっくりと…」
呼吸も落ち着いてきた。体も傷一つなんともない。服はボロボロだが対して気にするような物ではない…ゆっくり立ち上がり山を下ろうとすると強そうな死累人が現れた。やめてくれよ…こっちは疲れているんだからさぁ…一応変光星を構えて有り余る魔力をこいつに向けて放っておく。
「おぉ…常に“闘気”を纏わせる力をお持ちの上に…なんという圧倒的な魔力量…素晴らしいですね…挨拶が遅れましたね…私の名前はトリュ。我が主が貴方様をお呼びと言う事で参りました」
礼儀正しい魔物だな…急に攻撃がくるかもしれないマディーさんも警戒をしている。このまま、何もしなければいいのだが…と思っていた時期が僕にもありました。目の前に映る場所が変わっていた...
「さぁ…こちらへ【水狼の泡沫】ジェバル・ユースト、この扉の先に主がおります…【雪薔薇の高嶺】はこちらで私とお話でもしてましょうか」
石でできた大きな扉が触れてもいないのに勝手に開き奥の玉座に一人の男が座っていた…奥に向かって歩いているとパタンと扉は閉まり青い炎が室内を照らしていた。
「久しいな…我が友よ…元気にしていたか?」
んーと誰?知らないし分からない。この状況どうすればいいんだ?
□
「戻ってきたか、【金堂犬】…戻って来たところで悪いのだがアイツとタッグを組んでこの窮地を脱して欲しいのだが…」
金色に輝く犬は嫌そうな素振りをして影に潜ろうとするの見た主は手に丁度いい骨があった。これはここにくるまでに出会った竜を討ち取った時に取っておいたようの物だ。骨を見た瞬間に口から涎が垂れる。金堂犬は主からの言う言葉に了承し昔から共に切り抜いてきた【銀堂猫】が影から出てきた。
『どっちが多く潰せるか勝負だ、それでいいだろ?ワンコロ!』
『いいだろう…また負けて泣くんじゃないぞ?クソ猫』
二匹が颯爽と飛んで行くのを見てゆっくりと振り返り冒険者の街”自由の追跡者”のギルドマスターのグレン・リチューと顔を合わせる。
「これで、なんとかなるだろう…それで、さっきここに来ていた死累人はなんなんだ?かなり知性のあるように見えたのだが…」
不思議だ…今まで死累人の王なんていなかったはずなのにいつから現れていた?普通だったら分かるのに…何故だ?
「まずはこの状況を脱する為に動いてくださりありがとうございます。この傷がなかったら戦いにいけるのですが…それよりもあの死素人はトリュと名乗っていました…何故なのか分からないんですがうちにいる【水浪の泡沫】に用があると言ってきて…
不思議だ…私も彼に用があったのに先を越されるとは…いったいトリュと言う魔物は何をしたいのだろうか…
とあるどこか…
『お?なんか血のいい匂いがするなぁ…うまくやってこうすれば!』
得体の知れない流動体は念力で血を運び吸い込んだ…
「今、変なことしましたか?」
女にガン飛ばされるが知らないふりをしておこう…ここを脱するために気の緩んだところを!




