“蛇の抜け殻”との戦い②
ふぅ…自分とマディーさんの周りにはその取り巻きが氷から溶けていても気絶していて伸びていた。講堂の中に入り数分、電撃戦を行い自分が殿を務めて相手をバッタバッタと切り刻んでいった。倒れている人間を掻き分けながら歩いていると見えて来たのは仰々しい装飾がついている扉が聳え立っていた。
まぁ…さっきも“鉄の森林”のデカさの門を溶かして入ってきたからな…分からなくはながこんなに頑丈に作る必要はないだろう…近くまで近づき 【怪力】で吹き飛ばす。大きな音が出しながら扉が崩れ落ちる。
「行きましょう…」
目の前に映るのは胡座をかきながら大きな山のような男がこちらを睨んでいた。その大きく真っ黒な目は普通の人間から見える目ではなく多くの人間を殺した悪者の目だ。入ってきたこちらの方をギロリと覗き込んで見ていた。
「おうおう、あの【水浪の泡沫】と目ぇ付けてた【雪薔薇の高嶺】のAランク冒険者がおでましかぁ…これはまた大物だなぁ…」
身長200オーバーの巨体がこちらを見ていた。その身長と同じくらいの棍棒をこちらに向ける。 口から出る声はハリがありこんな広い場所でも大声で話しているように感じる。
「お前らは確か…Aランクの冒険者だったよなぁ…ということはもしかしたら俺が喰った分の中に消息を絶った【神速の雷鳴】がいたかも知れねぇなぁ!ガハハハ!あまり味は覚えていないがそんなもの身につくようなことはなかったし今じゃどうでもいいことだな!」
大きな棍棒を何度も床に叩きつけて自らを鼓舞するかのように何度も何度も叩き続けた。段々と振るスピードを下げていき【暴食の乞食】は笑い続ける。それで、コイツは人を食って何が楽しいのだか、今でも口から垂れている血を見ながら睨みつける。
「そうやって睨むなよ…【水浪の泡沫】…これが俺のスタイルなんだよ。こうやって弱い人間を救ってやっているんだからよぉ…」
何が人を救うだ、ただ単にコイツは弱い人間から人生を搾取して自分の私利私欲だけしか考えていない奴なんてどうしようもないやつだ。
新星を構えて間合いを詰めて腹を斬りに動いた。【暴食の乞食】も大きな棍棒を振りかざしぶつかり合った。ぶつかり合ったことで起きた大きな衝撃波が辺りに広がり家具などはそこらじゅうに飛び交った。
「お前、どうしようも無い奴だな…そういう奴が僕の一番嫌いに感じる奴なんだよ」
一言だけ口に出し後はただ目の前にくるデカすぎる棍棒に対処しながら攻撃を与えていけばいい…そう思っていたがそんな甘くなかった…何度もぶつかり合う剣と棍棒のぶつかり合いに巻き込まれ たマディーさんは頭から血を流して倒れていた…
□自由の追跡者□
「おい、まだ二人は帰ってこないのか?あれから一切連絡がないぞ?」
受付にいる職員たちを集めて情報を集めていたがジェバルは朝からマディーの方は夕方から姿を消していた。そのことから今どうなっているかも確認取れない状況で頭を悩ませている中で息を切らせながら走ってきたB級冒険者から伝えられた連絡に言葉を失った。
『死累人が突然現れて村が何箇所か潰された』
どうなっているんだ?二人はこの事を察知して対処しにいったのか?こういう時どう部下に指示す ればいいのか、多くのことが頭の中を交差している。
「クソ…最近変なことが起こりすぎている…死累人の異常すぎる増殖…なんかしらの親玉がいるのか…?」
魔物の急な増殖はその特定の種族の暴走から起きていることでもある。だから、この一件も何か関わっていることに間違いはないはずだ。体はまだ回復できないため自ら戦いに参加することはできないが指示を出すことはできる、すぐに何十ものチームを収集して拠点を建てに向かわせ死累人と遭遇次第徹底的に排除するように伝えておいた。
「グレン…大丈夫なの?まだ、傷は癒えていないのに…」
「これが先代から守れって言われた教えだからな、どんな時でも皆の司令塔になれってな。お前もこれそうだったら来てくれ護衛の分の報酬に少しの気持ち分はつけておくから」
心配そうにしてくれたラステルは体を支えてくれたが、これも仕事だと言っておく。コイツはかなりの長い付き合いだからこういうところで気にかけてくれるだけまだマシって奴だな、声を大にしながらこの場に残っている冒険者や職員にこれからのことについて話をしておきそれを聞いた冒険者はギルドを大急ぎで出ていはついていく奴の選別をしていた。そんなところで支えてくれていたラステルから治癒瓶を飲まされた。
「これはかなりの効果が見込まれる治癒瓶…本当はなんかあった時に用意しておいたけど今回は特別だからね」
「いいのか?見るからに高そうだが…」
「昔のよしみなんだから気にしないで…まぁ…あとでその分のことは返してもらうけどね…」
体の調子が戻ってきて立ち止まるラステルに少し恐怖を感じたが顔を覗くと少し赤らめていた。見るな!と肘で鳩尾を押し込まれ少しの間動けなかったがそれは彼女のご愛嬌だったということで、すぐに馬車に乗り先に行った冒険者の後ろを追っていくように馬を走らせた。
◆
屋敷の中では一人の男が創り出した多くの魔法が飛び交っていた。【火炎球】に【水嵐】、【暴風】、【岩石弾】…普通だったら死んでしまうような量のありとあらゆる魔法を辺りに巡らせて相 手の行動を封じ込めようとするが何回も失敗に終わっている逆に巨体な体から構築される魔法の方がこちらを圧倒しているまでもある…その魔法に一回当たってしまったマディーさんは気絶してしまい、今は安全圏に避難させてここで戦っている。しかし、ここで行われている戦いはどう見てもそこが安全だとは言い切れない…相手の牽制をしながら【氷壁】で周りを覆い被さっておき絶対外部からは壊されないようにしておいた。
「おいおい、すごいなぁ!すぐに吹き飛んだ女のことも安心させてやるなんて優しいなぁ!それにそんなちっこい体でどれだけ魔力を持っていやがる!お前すげぇよ!俺の栄養分になればもっと強くなれるだろうなぁ!ガハハハハ!!!」
言葉と同時に振りかざされた棍棒はとてつもなく重くメリメリと地面がひび割れるほどの圧がかかってくる。どんなことしたらこんな力になっているんだよ!【身体強化:加速】を常時使ってこんなにも差があるのか!新星はもうボロボロになっていてこれ以上使うと折れてしまいそうだから鞘に戻し変光星を取り出す。コイツに生半可な攻 撃は一切通じない…初めから【爆発型】で行かしてもらうぞ…
【暴食の乞食】の棍棒を無理やり弾き飛ばして地面を強く踏み出し腕に飛びつき【爆発型】を起爆させる
「【起爆】!」
剣身が火がついたように燃え上がり【暴食の乞食】の腕を思い切りよく爆発させる。動力を過剰に取った【暴食の乞食】の右手は吹き飛んで壁にピッタリと腕と血がくっつく。そのままの勢いで奴の体も吹き飛ばそうとするが【剣護絶:魔倒防】のせいで近づけずに逆に吹き飛ばされてしまった。
しかし、今まで負荷がかかってうまく使いこなせていなかったがこうやって体を動かして極限まで体の炉を動かし続ければそれに応じて剣に灯る炎は生き物のように蠢いていある、自分の体の動力を動かし続ける。しかし、動きが止まってしまうと炎の負荷はかかる。
「ブハッァアア!!!!」
自分の血が口から吐き出てまともに立つことが出来なくなってしまう。延々に吐き出る血は滝のように溢れ出てきた。魔力の循環でゆっくりと体の修復を促す、やっぱりここで治癒魔法が使えないことがネックになっている。
「腕が吹き飛ばされてしまったのは予想外だが…その調子だと死んじまうけどまだまだ他の攻撃が残ってくれるんだろうなぁ…?右腕を吹き飛ばされたとしてもまだ左腕がある…それにまだ どっちも死んでいないんだからまだ戦いは始まったばっかしだろぉ!?【水狼の泡沫】!!」
脳にとんでもない衝撃を与えてしまい軽い脳震盪で動けなくなっている所を魔力の波動で体の意識を放してしまった。
(まずい…このままだと…マディーさんが…)




