甲飆竜④
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「クソクソ!なんで見えていないはずの攻撃をポンポンと止められんだよ!」
苛立ちながら剣を振る。普通だったら五回以上は死んでいるはずなのにこいつが魔剣を使わずに何一つ顔色を変えずにいるのが腹立たしい…
「これも忌まわしき眼のせいだ…」
あいつの右目の色が違うと言うことは…そう分かったぞ、あいつ何気に魔眼持ちの人間だったのか…ならこっちだってそれ用の戦い方だってあるんだからな! 剣を片手に持って集中して魔力を練り始めていき…
「【剣闘舞:波動斬】!」
空中に幾つもの斬撃を斬り刻みそこから生み出されるのは…グレン・リチューがさっきまで練っていた魔力の塊がそこに詰まっていた。今にもはち切れそうな斬撃は目の前にいる用心棒の急所に向かって目に見えない程の速さでぶつかるようになるが…
「【剣護絶:魔倒防】」
勢いのある斬撃は蜘蛛の糸を断ち切るようにバラバラと散っていき…逆に用心棒が生み出した型 の違う斬撃を諸に喰らってしまった。そこで意識が途絶え起きるのは少し先になるだろう…
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「あっぶねぇ…もう少しでお陀仏になるところだった…」
体の下には雪が積もっているところに落ちていた。保険として魔法でクッションを作っていたが問題はなかったようでようで安心だ。体を動かし無事に動かせることに感謝しながらすごい顔をしている傍にいた賊三人組と目を合わせる。
「あっ…驚かせてすいません。その…お詫びとはなんですがこれをどうぞ」
少し離れながらにオーブのようなものを渡す。 そして思いっきり爆発させる。やっぱりいいね芸術は爆発だ。今三人に渡したのは魔石に自分の魔力をふんだんに埋め込んでおいたジェル特製の魔石である。なんかしら魔力不足があった時にこれから魔力を吸収して戦うことを想定して作ったのだが…それ全てを変光星の【爆発型】の様に爆破させるつもりはなかったが絡まれるのはめんどくさいので使ってみた。
うわーと遠くで聞こえるが実験をするための尊い犠牲なんだ申し訳ない…そんじゃ今近くにいるギルマスの元に移動するとギルマスが地面に顔をつけて気を失っていた。
「あれ?ギルマス寝てるの?」
もちろん振りでやっているのなら許さないので面を指で突いたりあれこれして起こそうとしたが全く起きるような気配がないので近くにいる人に話しかけようとするが男は首に剣が当てようとしてきたのでその前に氷の壁が自分の身を守った。 この人は急に僕の命を取ろうとする人なら手加減する必要はないよな?新星を片手に持ち後ろに下がった男の顔を見る。
「不思議だ…君にはどうやっても勝てる未来が見えない…何故だい?」
「人のことを痛みつけるような人に精神論で負ける理由なんてこれぽっちもないでしょ?」
よく言う。彼がこの言葉を発している時には新星から圧縮した【白銀世界】が新星から【解放せよ】して狙った目に当たっていた。一瞬の出来事で痛みなどが全くなかっただろうが左目は消すことができた。もう片方の右目は気になる点があったので魔法を打ち込まずに【鑑定】だけして後ろに下がる。
未来視の魔眼
数秒先の未来が見える眼。何万通りもある未来を先取りするがそれだけではないだろう。
うーん…未来が見えてるのに今のは避けられなかったのはなんで?そう思うが眼が片目見えなくなったことで男は呻いていた。
「ハハハ…今一瞬だけ動いたのは視えたのに…対応ができなかった…これは一旦こちらから引かしてもらう…また本気で戦える時を楽しみに待つ…」
魔法瓶を地面に叩きつけてその場から消え去った。にしても未来が見えるかぁ…自分にはあまり必要ないかな?未来を見つけ出すのが一番だと思うからね、ギルマスの肩を持ち上げておんぶをするマディーさんとラステルさん、ボリトルがいるかもしれない場所に歩き始める。ギルマス結構重い…ダイエットさせるようにしよう…
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交互に連続して相手を追い詰めていく。女もさっきまでの威勢を抑え今は攻撃に対する防御だけに集中しているようだ。時々【振り出し】を中途半端に起動させて相手の困るように動かして苛立っている顔を見れたのはよかった。
「マディー!横から挟む!」
「いいわねぇ…そうやって二人で積極的に攻撃するなんてこうやって戦うことなんて久しぶりだし楽しくて滾るわぁ…」
マディーの氷魔法を真っ二つに断ち切り私の放った影からの奇襲にも防がれた…まだ手は残っているがこんなやつに真似されてしまうほど簡単でかつ強力な技を見せるは悪手だ。
「楽しかったわぁ…リーダーが戻れって煩いからまた二人と殺し合うのが楽しみね」
そう言って魔法瓶を割って姿を消した。体にかけていた【振り出し】を解いたことでかなりの負荷がかかりそのまま倒れ込んでしまった。王様の元に行く前にというよになんかしらの組織がこんなことにいるのが不思議だわ…そう考えるが体はパタッと地面に倒れ込みそのまま意識を手放してしまった。
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「ほぉ…お主は不死身の存在なのか?」
首がゆっくりと胴体にくっついていきめきながら立ち上がる。男はため息を吐きながらこちらを向く。ドゥーンは大剣を構えて警戒をしていた。
「一回死んだ者ですからね…それにしても今の騎士団のお方はかなりの強さですね…それに馬車の後ろにいる方々もお強そうで…お名前をお聞きしても?」
「ドゥーン・スペリスクだ…貴方様の名は?」
ドゥーンでさえも警戒するこの男は一体誰だ?こんなにも魔物のような気配がするのがこうやって話ができるのはなかなかいない…それに今一回死んでいると言うことは…
「私の名はトリュと呼ばれていました。記憶がまだあやふやなので確証はありませんけど…」
「それでお主は何のようでここに来た」
ここが一番知りたいことだ。人間ではないのにここに来る理由が分からない。警戒心は解かずにドゥーンがトリュに近づく。トリュは動じずに深く頭を下げて淡々と話を始めた。
「私は、我が主からの命令でここにきました。その命令とは黒髪の男を連れてこいと言う者でし て…その男に心当たりありますか?」
「いや、ないな」
ある…多分ジェパルのことだろうな…しかし、何故ジェバルなのだ?最近名を馳せる様になったとはいえ死累人がなんの用がある…
「左様ですかまた違うところに移動して探すとします」
そういってゆっくりと地面の中に潜っていき何もなかったように静かだった。
「どうするか…」
「これから傑出者を散開させて冒険者達を呼んできます。王はフリーと二人で甲飆竜様に会ってきてください。多分届きますのでそしてここからすぐに“自由の追跡者”に戻りますので手短によろしくお願いします」
傑出者のフリーが近寄ると目の前の景色が変わり山の頂に移動し甲飆竜に会いに行った。
剣闘舞:波動斬
剣に一時的に魔力を込めて振りかざす時に波動を出すことができる…突きもすることが可能。剣闘舞はかなりの汎用性があるため長い歴史の中でかなり重宝されている。
初級→魔力を剣に纏わすことができる
中級→空間上に魔力を出した時に形状を変えることができる
上級→中級の威力を数倍出しながら目で見えないほどの波動ができる
特級→剣闘舞奥義『情報規制』を使うことができる。常に『闘気』を纏うことができることが条件
帝王級→剣闘舞秘義『情報規制』
帝王級に成った時に"情報規制”から入手。
神級→そこまで行けたら人間やめたこと誇っていいよ
ギルマスは上級です。普通に強いです。ただ相手が悪かっただけ
フリーの魔法は動ける場所が狭いので多少動かないと行けない。




