甲飆竜②
あれから何ともなく山の麓付近に腰を降ろして仮拠点を立てて置いて交代しながら見張りをしている。冒険者用(男性限)のボロボロテントを立てて中に入り仮眠をとっているとギルマスじゃない…えーっと…
「【神速の雷鳴】だ…そろそろ覚えておけ【水狼の泡沫】」
そうそう、ボリトルさんが入ってきた。飛竜と戦っていた時いたっけこの人…覚えていないけどまぁそこまで気にすることではないか、一応なんでもないとだけ伝えてまた仮眠を取ろうとすると、また声が聞こえた。
『キヅイテイルノデショウ…?』
頭に言葉が響くということがないから気持ち悪い…何が「気づいている」だ。知らないもんは知らない…だけど男ってそういうのを知りたくなる生き物だからね、毛布を退けてトイレに行くという体で先に山の頂に登ることにした。よし実行あるのみ、テントを出て森の奥に行く。
「こんな時にどこ行くんだ?ジェバル」
ギルマスが声をかけた。トイレに、とだけ言ってその場を抜けていった、正直どこ行くんだ!って怒られるかと思った。
□
「行ってしまいましたけどよろしいのですか?」
「いい、これも時の流れだ」
ドゥーンが我にジェバルが森…いやこれから向かう山に向かったのであろうそのことを伝えてくれた。しかし、運命はそう簡単に変えることはできない。私が負ったこの呪いの目のようにな…しかし不思議だ、明日にはもうそこにはたどり着くことができるのに今になって一人だけで急ぐ必要はないはずだが…
「ジェバルは…お前から見て何か目標みたいなものはあるのか?」
目標というもので動く人間はそう多くいない、ただ自分の力試しで冒険者になることだって あるはずだ。それが理由でジェバルの起こす行動が何かに紐ずくならジェバルのこれからの運命が見えるはずなのだが…
「王よ…ただ我が師ジュダー殿と同様ただの暇つぶしだと思われると…」
ほぉ…暇つぶしか…ジュダーも昔は色んなところに奔放する鳥のようだったな…それも血の繋がりなのか…そう聞くとなんとなくそれに近い行動を見ることがあった。何かに取り憑かれたようにそのことに執着して一人で黙々とやっていることがある。それに比べてジェバルは魔法について熱心である飛竜を最も簡単に灰に変えた時はジュダーと姿を合わしてしまった。
「まぁ…血が騒ぐのだろうな…もうすぐ来る準備しておけ」
「ハッ」
◆
風が強くなってきた。それに寒いから体がキンキンになるが変光星の魔力で体を包み込み今でもポカポカ状態を保っている 今この足で頂に立った時に何か懐かしい感じがした。
『キテクダサイマシタカ…?『―――――』デハナイ?』
目の前にいたのは王様がお話しすることになっている甲飆竜だった。クソでかいし絶対にコイツには勝てない、そう自分の本能が警報を鳴らしていた。大きな口を開いて喋るのはここにくるまで頭の中で聞いていた声だった。が、甲飆竜様は待っていた人物と少し違ったようで戸惑っていた。あとノイズで一単語聞けなかった。
「それで…何か用とかは……あるのでしょうか…」
一応ここに連れてきたならなんかしら用があるっていうことだよな?まじで言葉の選択のミスで潰されそうだから最善の注意を払う。
『イマオヌシヲ鑑定シタ…オヌシニハコレヲワタシテオク』
甲飆竜様は自分の鱗を剥がして5枚僕にくれた。それにこのお方も【鑑定】が通じるのかい… 【鑑定】されるのが全て無意味になっているはずの【観測者???の加護】の意味がなっていないんだが、守られない加護ってなんなん?一応甲飆竜から貰った鱗を【鑑定】してみると…
甲飆竜の鱗
いつもでもあの人を待つ…ここで人の歴史を見て学ぶのだ。昔の思いはここに詰まってる。しかし諦めなんていう言葉は詰まっていない、“志”が代わりに残っているのだから
あの人って誰ですか?目の前にお方に聞きたいが返答によっては潰されそうな気がするからやめておこう。
「ありがとうございます。大切に使わせてもらいます」
『イイノダ、コレモ『―――――』ノタメニダ。シカシイイノ?オヌシノナカマガオソワレテイルガ…』
甲飆竜は大きすぎる手を遠くの方に指を指す。その方向は王様達が拠点にいるところだった。【索敵】を使うと今戦闘が起こっている、襲っている奴は誰だ?
『イケ。ココニトドマルリユウハナイ。』
お辞儀をして素早く風魔法【暴風】で体を銃弾のように飛ばし王の元に飛んだ。
「我は動けぬ。命令は守らないといけないものと教えられたからな」




