甲飆竜①
すごいな、傑出者って。そう思えるほど全くAランク冒険者の出番がありません。ゆっくりと目的地に進んでいるのですが王様→騎士団→冒険者→傑出者という順番になっていて、なんかしら魔物が現れると傑出者が対処するという形になっているのです。しかし、特別強い魔物とかになってくると冒険者に譲るというのだと、傑出者の方々も死にたくにないけど冒険者を捨て駒みたい扱われるのは悲しいね。
王様は神輿みたいなのに担がれてゆっくりと歩いているのだがいつも魔法を使いながら移動 している自分にとってはすごく遅いから眠くなるが王様の目の前だしちゃんとしないとね。
「君が…【水浪の泡沫】であっているよね?」
「ジェベルでいいですよ、なんかそっちの呼び名は堅苦しいので」
傑出者の方から話しかけられた。男性で身長は然程変わらなく茶髪だった。見た目は失礼だけど弱そうに見えるけど何に特化した魔法が使えるのか少し楽しみである。何様だ…?僕…
「じゃあジェバルと呼ばさせてもらうよ。僕の名前はフリー・ギョリエ。フリーって呼んで欲しい」
目的地まで辿り着くまで色々と雑談をしながら向かっていると、【探索】…が上達したのか分からないが【索敵】になり、それで薄々気づいていたが二匹の逸れ飛竜が待ち伏せをしていたのである。すぐさま戦闘態勢を取るために一人の傑出者が王の傍により結界みたいなのを展開していた。 こいつは特別強い判定だそうです。
「おい!ジェバル暇だったら手貸せ!」
はいはい分かりましたよ。手に持つのは新星ではなく両手剣を持つ。結構重いが手にはすごく馴染む…あれだけ探しまくったレスェーデン黄金石の価値がよくわかる。そしてこの武器の名前は…
「変光星【輝道】…お前の初陣よろしく頼むぜ…」
変光星【輝道】はその言葉に反応するように自分の魔素を取り込み元々白い剣身が赤く光り輝いていた。まず始めの一匹は逃げようとしているやつに焦点を向けておく。
「ギルマス!僕はこっちを叩くのでもう一匹を頼みます!」
ギルマスは頷きもう一匹に動くがマディーさんが一瞬こっちに来て氷魔法を唱えて飛竜の足を凍らせたのだがすぐ砕けてしまったのだが巨体であるため体の重心を支えきれずに倒れかけている飛竜を確認し、その一瞬を逃さずに魔法を使う。
「【爆炎】」
変光星【輝道】は幾万とある輝きに向かう道があるらしい。今使っているのもそうだ。赤く剣身を光らせているこの状態を【爆発型】炎魔法の威力が上がるような道になっている。飛竜の頭の上にまで跳躍して頭に思いっきり変光星をぶつけるとそこから発する炎は飛竜を纏い燃やし尽くしてしまった。あ…素材が消えちゃった…
「ああ……」
悲しみに暮れてる場合ではないな…ギルマスの方の援護に行かないと…トボトボと歩きながらギルマスの元に行った。
□
「凄まじいな…【水浪の泡沫】…聞いていたのは水魔法の特化したものだと聞いていたがあんな洗礼された炎魔法を出すとは…」
遠くで飛竜が消し炭になっているのを見つつ先程の魔法の使い方の凄さに見惚れていた。
「ニールさん。ジェバルさんは傑出者の域超えているんじゃないですかね」
後ろから飛竜と遭遇するまで【水浪の泡沫】と話していたフリーがやってきた。彼も迫力のある炎魔法を見て驚いているのだろう、かなり顔が青ざめていた。
「謎なのだが、あの魔剣は誰が造っているのだろうか…俺のオンボロの剣をあんな風にしてくれないのだろうか…」
しかし、彼は魔法の質はすごいのだが…それは魔剣の能力で引き出されているのではないのか?という考えが頭に湧いてくる。実際この世界では魔剣で強くなった者も多々いるが…フリーは気づいていなかったがゆっくりと歩いている中でも【探索】の上位互換でもある【索敵】をしつつフリーと話している部分を見ているとそうとは考えられない…どうなのかは全く分からない。
遠くでは【雪薔薇の高嶺】が飛竜を凍らせていた…彼女も以前会ったことがあるがかなり強力になっているな…もしかしたら【特級】に近しいものだろう…冒険者なのに凄まじいな…
◆
駆けつけた時には飛竜は氷漬けになっていた。 マディーさんは殺さずにそのまま氷を溶かして逃していった。すぐに列の体勢を元に戻してまた歩き始めた。それにしてもすごい火力だな…【爆発型】。型って言うくらいならまだまだ他にもあるのかもしれないな…この件が終わって街に戻ったらウェルドさんによく聞いておこう。
『祖ヨ…イキテオラレマシタカ…』
今聞こえた声に辺りを見回すが聞き取れなかった。それに何かを周りの人が言っている気配がなかった。空耳かな?気にせずさっさと進もう。




