町内攻防戦②
変光星による【起爆】以外に爆発を見たのは初めてな気がする、爆発よりも斬撃とかで攻撃されたり蟷螂の殴打に突拍子のない突進とかが多かったから全く爆発などの事は頭の中には無かった。火のついた矢はこちらに来た瞬間爆発による光による輝きが視界を埋め尽くすが影から無数の死累人が目の前で文字通りの肉壁となって爆発を防ぎ切ると跡形もなく消えていった。
『不意打ちの攻撃だったが…間に合ったな』
(ありがとう、全く反応できなかった)
【宝物庫】にいたテトが無防備だった所をウェールを生み出した時の死霊魔法を使って助けてくれた、さっきのフリデップがやったのは空間魔法の類の魔法だと思うんだけど…フリデップが一番多用しているのは付与魔法だからそっちの方向で簡単なやり方を編み出したと思うんだけど…魔力感知を使って吹き飛んで瓦礫へと変貌してしまった建物に視点を向けると焼き切れた矢が落ちていた。
四つの場所に多数の魔法を付与した矢を刺して一時的な空間魔法を施して上手い事誘われた感じだな、それまで感じさえもしなかったから認識阻害とか監視員位の立ち位置に上がっていればその位は企てることも出来るし冷静に考えると人の事を魔物とか想定してやる程の爆発の火力だったしもう一度言うが人に向かってやる事じゃない。
「え、今のを何食わぬ顔で済ましてる!?」
「フリデップ!魔物狩りとかに使うような物使って爆風で吹き飛ばすとか人にするもんじゃないだろ!」
「ジェバル君、後ろ!」
結果として手に握っていた変光星の火力の足しになっただけなのだが、魔力を流し込み口直しの【起爆】を数回掛けると危険を感じ取ったのか数回同じような速さの矢を飛ばすと颯爽とその場から離れて自分が少なくても小走りしないといけない場所に離れていくのを見つつ変光星を携えて追撃をしようと思ったが背後から掛けられたグリエさんの声で振り向くと屋根を走って氷から逃げるルーナこちらに向かって走ってきていた。
変光星を手放すと【起爆】をした意味が消えるから【宝物庫】から前もってガドマに頼んで造ってもらった投擲用の短剣を狙いを定めてルーナに向けるが魔法で動きを遅めた所に逃げた方向とは思えない方向から一本の矢が短剣を弾いた。
やっぱりルーナに攻撃をするんじゃなくてフリデップを追っていればよかった、振り返ると身を隠しながらも弓だけを姿を出して射貫いた技術に称賛してやりたいが、また今度だ。このまま安全な場所に移動して居場所を再び消して見当違いの場所から攻撃を仕向けて来るとなると流石に面倒なのだが、背後では逃げながらこっちに魔法を飛ばしてくるルーナの攻撃を変光星で打ち消している間にマディーさんが高げっきを仕掛けたがフリデップ同様に何かに掴まってその場から離れようとするのにグリエさんの【火球】が動きを阻害するとそのまま器用に自分達から離れていった。
すぐに二人がルーナの元へ向かったが振り返ってフリデップを見るが弓を再び構えて物陰から矢を二本飛ばしてくる。変光星の【起爆】で焼き切ることはできたがそれを見たフリデップは同じように物陰に入って姿を消したのだが、付与魔法によって壁に反射して跳ね返った大量の矢がまるで横殴りの大雨と変わらないような勢いだった。
【起爆】で同じように焼き尽くすことも考えたが相手は一本の矢をこんな風に増やしたり数多くの動きを重ねているからこのまま足止めされると時間を稼がれて今は賞金狩りだけだがもしかしたら他の挑戦者が戦闘に割り込んできたり、音を聞いてやって来るなんてこともあるかもしれない。変光星の型を【回転型】に切り替えて目の前に迫り来る矢に向かって刃を見定める。
【恒久】を施し、囲んでくる矢を一斉に弾くのも手であるが、今は最短でフリデップの元に向かう事に手段を変える。変光星を振り切り目の前に向かって刃を飛ばし突き当りの壁に刺さったのを感じ取り矢先を起点に刃を巻き戻す。体勢を維持するために、矢からの攻撃を防ぐために風魔法での補助を受けながら無数の矢を駆け抜けながら【宝物庫】から新星を取り出して再度フリデップに攻撃を仕掛ける準備を整える。
体を地面スレスレの所を滑って矢からの攻撃を最小限に抑えて移動していたのだが何となくスケートのように氷の上を盛大にすっころんで尻餅つきながら滑った感じだったがそんなスリルを感じながら移動をして矢を避け、壁と衝突する前に変光星を片手で思い切り引っ張って刃先を抜き出してフリデップが姿を隠した左手の道に視点を向ける。
「他の挑戦者?いや今は関係ない【解放せよ】!」
賞金狩りでもない一人の剣士との交戦を挟んでいたようで安全地帯に送り出されたようで弓を構える前に新星の格納庫に入っていた【雷撃】を放つ。振り返ったフリデップはそのまま【雷撃】に当たる所だったが手前で剣を取り出して魔法は対処されていた。
「弓兵が剣を扱っていけないなんて言う決まりは無いからね!」
「随分と戦い方を変えたもんだな!」
あの一瞬で剣を取り出しているとなるとグリエさんが使っている【亜空間】を習得しているのか…変光星を再度【恒久】を施してフリデップに向けて矢先を飛ばす。飛ばす前からこっちに走り出していたフリデップは手元に持っていた一本の矢をこちらに飛ばして変光星の刃に当たるとウェールの扱う【王の権威】までとはいかないが攻撃を弾き返してきた。
変光星の刃が完全に戻り切るまで【恒久】を施す事ができないのだがとんでもない速さで近づいてくるフリデップを睨みながら新星を持ち互いの剣をぶつけ合い、様々な箇所に向けた刃を新星で対処するがフリデップの持つ剣が何度もこちらの攻撃を防ぐと先程の矢のような攻撃を弾かれた状態にさせられてそれに合わせて防御の出来ない箇所に攻撃を差し込んでくる。
攻撃自体は矢先を戻した変光星を使って対処しているがこちらが決定的な攻撃をしようとする度に攻撃を弾かれて逆に自分が押されてしまうこの状況は中々厳しい、無理矢理攻撃を通すために手数を増やそうと魔力を込めなおそうとすると危険だと感じたのかフリデップ自らが戦いを切り上げこちらの様子を窺っていた。
「ジェバルはやっぱり賢者の石に興味があって争奪戦に参加したの?」
「まぁ、そんな所だな!」
「剣士見習いに容赦ないな攻撃にする攻撃じゃないでしょ!」
軽口を叩かれてそれまでの容赦ない攻撃を止めたフリデップの動きに警戒を高めながら最小限の言葉を返しながら掬い上げるように変光星を滑らせフリデップに刃を向けるが体を後ろに倒していたからだろうか剣が吸い着くように変光星の刃を弾き後ろに引き下がったフリデップはこちらに文句を吐きながら剣に魔力を込めると削れた剣身を修繕しているように見える…
ひとまず、今の戦闘で使った魔力を回復しようと変光星の魔力回路から取り出そうと試みるが【宝物庫】に入れた筈の賢者の石が今着ているコートのポケットの中にいつの間にか入っており理解が追い付かず再び【宝物庫】に戻すがどういう理由かすり抜けてしまう、さっきまでの戦闘で使った魔力は既に戦闘前の状態に戻っているのだが知ってはいたがやはり賢者の石はとんでもない効果を齎すんだな…
『竜だけが存在する【宝物庫】に留まるのはつまらないと判断しましたので空間魔法の干渉を打ち切らせて貰いました』
「へ?」
「どうしたんだい、ジェバル。急に余所見なんかしてさ!」
【宝物庫】にいるテトと話している時みたいな魔力を通しての会話とは別に無機質な声が頭の中に響き不可解な出来事に思わずフリデップの攻撃を対処していた剣を止めてしまいそのまま横に振っていた攻撃に当たりかけたが自分の魔力が賢者の石を通して流れていく攻撃箇所だけに【風盾】が出現し一先ず助かった。
フリデップは今の対処できるってもう人間じゃないじゃん、反応速度どうなってんの?なんて愚痴っている。確かに今攻撃を止めるのに何かしらの防御魔法を使おうと考えていたが頭に聞こえたあの声に気を取られてそれ所じゃなかったんだ、冷や汗が身体を伝っていくのを感じられるほどの事で頭から離れなかった。
新星を【宝物庫】の中に戻しておいて変光星だけをもってこっちに向かって再び矢での攻撃を試みようとしている姿を見つつ『起爆型』に戻して【起爆】を行い近づいてきた矢を燃やし尽くしたのを確認して【超煌弾】をばら撒き一旦フリデップの視界から消える事だけを頭にしていた。丁度細道が横にあったのでそちらに走ってさっきの疑問を解消するべくポケットの中に入っている賢者の石を手に取って魔力を流し込む。
『……何か不思議な事でもありましたか?私は誓約者であるジェバル・ユーストの身を守るべくただ魔法を使っただけに過ぎませんが』
『……私は『忠義』の賢者の石。誓約者ジェバル・ユーストに勝利への導く存在なのですが、そのもう少し魔力をこちらに流してくれませんか?想定した以上の魔力量でしてそれまで何度も【叡智】をしたのですが…』
『竜の契約による竜の系譜の繋がりの元である存在に拒まれ続けて…死霊竜テト、何故服従?対等の関係ではなく?誓約魔法などではないとそのような回答が出るとは思えない』
物自体が普通喋ると思ったら結構喋るな賢者の石…小難しい単語ばっかり言いやがって何を伝えたいんだか…いや、今それ所じゃないんだった。細道を走りながら手元の賢者の石が頭の中でペラペラと呟き続けていると後ろから大きめの魔力が動いたのが感じ取れた。フリデップが何かしらの攻撃を仕掛けてきたか?嫌、でも後ろは後ろでも遠くの方から感じ取れたからウェールが何か大技でも放ったのだろうか
ヒュン、と音を立てて入り組んだ細道を上手く避けてこちらに飛んできていた。【水球】で撃ち落としつつも勝手に魔力を遠慮なく自分の物にするのだが吸い取った分の魔力を倍以上にして戻して有り余った魔力を遠慮なく先程の爆発やこれまでの戦闘で負った怪我を回復魔法を使って治すと誓約魔法がどーだこーだと言っている。
(『忠義』?その賢者の石はさっきから話しかけて来るけど何故今話しかけてくる?さっき十分話す機会があった気がするんだけど)
『やっと返答が来ました、理由は簡単です。人間族にしては異常すぎる魔力量に単に驚いていたのもありますが空間魔法の【宝物庫】にいた死霊竜テトがこちらの干渉を拒み続けていたため進展がなかったのですが…』
『身を守るために魔法を使用したお陰で隙が生じ、やっとのことで誓約者との繋がりを持つことができました』
凄い誇らしげに話しているが普通に魔法を使った瞬間干渉が弱まったからそこに付け込んだって解釈でいいんだよな?さっきからテトが何も言わないし多分本当っぽいが…分からない点が多いこの賢者の石の言葉に聞き入っているとまたも背後から魔力を込めた矢が飛んできたのを魔力感知で感じ取り迫り来る矢を撃ち落とそうと変光星を構えようとすると何の前触れもなくその場に【水球】が現れて飛んできた矢を取り込みそのまま跡形もなく消えたのだ。
『もう一度名乗らせていただきます。私は『忠義』の賢者の石、誓約者の貴方に最大限の援護と導きをさずける存在です』




