表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラ・ラガス~創造魔法で異世界を生き抜く~  作者: タツノオトシゴ
水天一碧の広大な場を駆け巡る
132/180

水天一碧に飾れ、幾万天の星々 其の三十三

 英雄武器、その名を冠する武器は全て一人の古きから世界を渡り歩き続け尊敬を込めていつしか【勇者】と呼ばれるようになった人物から造り出された物の総称であり今世では『アルチャー』の支部団体や数多くの組織が保護、または私物化され模倣杖と似たような運命を背負っている武器となっている。


 【勇者】の名を背負う身であって造られた理由は仲間を、人を守るために扱われる筈だったのだが英雄武器(彼ら)は自らが起こす破滅が主の理念と真逆となってしまうことには到底許せるものではないが主が行方を晦ましたがいつしかこの世界に馳せ参じ均衡を取り戻すと信じている。『アルチャー』の記録管轄には特段多く【勇者】について記している。


 中でも【勇者】レルトと親密な関係があった国では「いつか来る最悪に【勇者】様は全身全霊を掛ける」と口合わせでもしたかのような返答をして国王自らが【勇者】を崇めるようにしていたため国に常駐していたその言葉を聞いた三神教の教会と揉め事を起こす位の影響力があるのだ。


 先程も述べた事とは真逆の事になってしまうのだが、英雄武器は【勇者】()()の武器ではない。真髄を知らない不届き者であろうと必ず持つであろう人間の意志に応じて力を振るう。しかし、彼らは所有者に()()()()()()()()()、将又己の主のために所有者を操るか…常に権利を持っているのだ。





「宝剣ポラリス?」


「勇者レルトがその時使っていた英雄武器(ランリットドゥールー)だと思うが今思えばそうポンポンと手の内を晒すような手をしてよかったのか分からねぇな」


 前から押し寄せてくる人混みを避けつつ念のため【静寂(サイレント)】を使って自分とシャールペントの会話だけを強制的に周りに聞かせないように心掛る。周りの声は気にせずとも入ってくるので聞き漏らしとかは早々起きないようにするがそれに関してシャールペントは一言も発する気配がないのでそのまま会話は続く。


 英雄武器…勇者が造った武器の総称だとかなんとかとしか頭にないが遺されたというより自然に遺されている話がこうやって舞い込んでくるとは勇者様が何故海底都市に来た事や自らの手の内でもあり隠し種に近いものを見せつける理由も分かるかもしれないからそこら辺は話をよく聞くしかないな。


「宝剣ポラリスは勇者レルトが造ったものなら必然的に自分の戦闘スタイルに合わせるけど特徴的な所はあると思うけど覚えているか?」


「大抵のものは全部斬れてた。障害物も下位系統の魔法さえも問答無用でスパってな、お前ら『お星様』が使っている魔剣は何かしらの土台(ベース)があるだろ?」


「宝石やら秘めているのをそのまま自身の武器に仕立てているだろうが勇者レルトの英雄武器は望むように造り出された感じがしてな…」


 実際武器の製作はガドマに任せっきりな部分はあるが例外がありつつもどれも自分自身が持ってきた魔物の素材というのもあってその魔物の特性を搔い摘んだようなものは多くあるがそれを無視出来るとなると武器としての個が考えられないほどの脅威となる訳だが何故それを見せつけるような手段を取ったのか理解できない。

 ただ、勇者レルトという存在を海底都市に『海の王』に誇示したかった?そしたら一人だけで訪れば十分だろうからこれは違う。他に理由を探すとするなら宝剣ポラリスを出したくらいか?


「そんな化け物みたいな宝剣ポラリスが実際に使われた所は見たのか?」


「あー二回だけならある」


 横に視線を送り天を仰ぎながら昔の出来事を思い出そうと試みているようだがここまで正確に答えが出るってことはやっぱりそういう記憶器官とかあるのか?もしくはそういう魔法があるのか、途中で終わった戦いでもまだ手の内を残していそうな感じがするが…どうだか。


「一回目は海底都市に来てから終始ずっと黙っているけど多分勇者レルトよりも格段に強い同じ人間族との『お星様』同士の模擬戦だな。引くに引けない状況下で使っていたけどその『お星様』に対しては何の有効打でもなく綺麗に攻撃を返されていた」


「何でも斬れる宝剣ポラリスでも?」


「模擬戦だからなそれにお仲間の『お星様』斬ってどうするんだ、いや結構激しめの戦闘だったから普通に使っていた可能性もあるのか…いやもう古い記憶だから曖昧なのかもしれねぇ、二回目はただアウェルとフィレグの奴に見せびらかしてた位しかないな」


 思い出しながら言葉を選んでいたシャールペントだが最後は実際に戦ってみれば分かると如何にもな考えを口に出したがその模擬戦相手として勇者と対等以上に戦える『お星様』は一体何をしたら出来るのやら…


「まぁ、俺と真正面でぶつかりまくったり『お星様』全員が【血の権力者】と戦ったのに今ピンピンしている時点で化け物だって事を証明したお前等が宝剣ポラリスを親父からくれって頼みこまれたら多分渡すだろうな」


「『海の王』が宝剣ポラリスを…?」


「【勇者】レルトの置き土産を親父が管理してんだよ、今の聞いてお前はポラリスが欲しかったか?」


「え?いや…気になるのは十中八九分かると思うけど自分にはもう相棒ともいえるのが多くあるから目の前に出されてもいらないな」


 自分の返答が面白かったのか豪快に笑うと【静寂】を外せと言われ言われた通りに解くとシャールペントはそのまま『星海祭』を全力で遊んでいるシグマリとイプロの元に走っていった。宝剣ポラリスの話を態々するくらいだから実際海底都市の『海の王』の手元にあるのだろうと予測できるがやっぱり自分には新星も変光星がある。


「『お星…ジェバル!!お前も少しくらい『星海祭』楽しんで行けよ!」


「そうですよ!ジェバルさんはもっと元気にいる方がいいですよ!」


 小難しい事は後回し、今は仲間が呼ぶ所へ行こう。






◆◆

「私の加護に【勇者】が置いていった宝剣ポラリスの譲渡か…」


 手が、それまで認識出来なかった動きが視界の全てに流れ込む。必要のない情報は全て【亜空間】で居座り続ける【緋岸竜の大鎌(ノブリューヅ・サイス)】に横流しするのだが物凄い唸り声と魔力が【亜空間】全体に響き渡るが気にせずに考え込む『海の王』を見て隣に座るマディーちゃんを横目で見るが気づいていない、気づかない方が実質的に正解なんだけど…


『必要のないゴミを押し付けるな、たかが目の前にいる男が力を蓄えているだけの過程を頭に直接見てしまっただけの話…気にかけている隣の女の方は竜との契約を結んでいないからそもそもスタート地点に立ててさえいない状態だ』


『しかし、今見えた魔力だけでお前が用意している【亜空間】にさえ干渉してきたぞ。認められた王は測り知れないな…あの狂王と呼ばれた奴の方が空間を介して覗いて笑うことができたが気を休めばいつでも首が折られる可能性が隠れていると思うと別格だな』


 たかがコンタクトを取らない緋岸竜がいつもは干渉が届くことが一切ない【亜空間】にまでも手を伸ばしてきた『海の王』に竜の存在がこんなに警戒するくらい力を蓄えているのは身に染みて分かった…でも逆手に考えれば『海の王』がそういう作業を中断するほど私が提案した案に真剣になってくれたとも読み取れる。

 確かに持ち掛けたのは『お星様』だからといってこんな我儘なお願いは厳しいだろう。争いを絶え間なく生み続ける模倣杖と同等の破格の性能を持ち合わせる英雄武器の一つ宝剣ポラリス、そして『海の王』ウンディーネの加護の要求と考え込むのも分かる。


「すまない、問われているというのに取り乱してしまった」


「ただ考え込んだだけなのに?」


「誰がこの置き土産を望まれる方に持ち運ばれるか、置き土産の行く末をただ視据えただけだ」


 『海の王』に反応したマディーちゃんが今まで動かなかった口を動かしたが出てきた言葉は確かに私たちの要望に応えているような返答だった。


「すまないが加護というほど大層なものは与えられないが大層な置き土産はある。閉ざしていた完璧な檻を完膚なきまで破って降りてきた『お星様』は私に色々と話をつけて()に取り組む中【勇者】から宝剣ポラリス(置き土産)を預かっている」


 『海の王』の隣で浮き続いていた宝剣ポラリスはゆっくりと机の上を移動してこちらの元に動き始める、そして『海の王』が決めたのか宝剣ポラリス自身が決めたのかマディーちゃんの手元に置かれていた。それまで蚊帳の外だと思っていたマディーちゃんは驚きを隠せず何度も『海の王』に理由を尋ねていた。


『契約者が求めていた事が一つ成し遂げられてスタートラインには立てたがそんなに宝剣ポラリスが手元に置いておきたかったか?』


(いや…これは上司が敷いた(レール)まだ私が彼女の力にはなれていない。結果として宝剣ポラリスは竜と関係がある者には興味を抱かないし例え手にしたとしても想像していたものと()()に英雄武器は成立する)


『竜が邪魔か?』


(全然そんなこともない緋岸竜(あなた)も歴とした(レール)一部分(ピース)なんだし私を支え続けてくれるのに邪魔なんて言えないし逃げられないのは確定なんだから)


『…………本当に面倒な縛りだ』


 【亜空間】に居座る緋岸竜との会話は目の前にいる『海の王』に聞かれているのかもしれないけど別に聞かれた所で竜がいるのを認識されてる時点でポラリスを渡すのは分かっていた筈だから気にしない。


「グリエ!これどうすれば…」


「英雄武器に選ばれたのはマディーちゃんでしょ?」


「う……ん」


「だったら今をもってポラリスの責任はマディーちゃんが背負わないと」


「えぇ!?」


 マディーちゃんが手にした英雄武器が『海の王』のいう最悪をどう凌ぐか、防ぐのか分からないけどこの切っ掛けが何かしらに繋がるんだったら貧血気味になりながら転移魔法で水圧を感じながら無理矢理ここに来れて良かった。

 さて、ここでやらなくちゃいけないことは終わらせてから後は戻るだけなんだけど船でここにやってきたジェバル君と共に行動した方が今は良さそうだね、結構巻き込まれ体質だから行動を共にすると少し心配な所が多いけどマディーちゃんが手にしたポラリスがどう動くかも見ておかないといけなさそうだから暫くは流れるように身を任せるとしようかな。【血の権力者】とかいうのに手を回して私も『海の王』みたく魔力の量増やしておかないと…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ