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ラ・ラガス~創造魔法で異世界を生き抜く~  作者: タツノオトシゴ
水天一碧の広大な場を駆け巡る
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水天一碧に飾れ、幾万天の星々 其の十六

 牽制として放ったであろう真っ赤に染まった刃は【血の権力者】に攻撃を加えるべく近づこうと試みて動いた俺とアウェルの動きを完璧に止めさせた。動きを止めさせるべく撃った当人は変わらず濁り濁った液体を何度も自身の体に還元し続けこちらの様子を何度も窺っているようだが…


『いいのか?記憶では親友という立場に立つ魚人(アウェル)よ。大事で大事で仕方のない少女の身体を君は何も考えずに斬りつけるのはどういうものなのか。まぁ…横にいる見知らぬ男に怪我させられた事には何ら変わりのないが』


「他人の身体を取り込んだ癖してその言い方にはこの会話で回復する為に時間稼ぎをさせて欲しいと自分から言っているのには変わりないだろう」


『……そっちの人間族(ヒューマン)はよく知っているな、私達について知っている者はそれ程多くはいないのだが誰を始末した?』


()()だ」


 スゥー、どうするか悩んでいる隣で目を見開いた状態のまま刀を力強く握っているアウェルが深呼吸する音が聞こえるほど廊下は静かなのだがそれに反して先程から溢れ出るアウェルの魔力に反応する刀が妙に動いているように見えて気が気でなかった。

 先程言った通り私怨しかない【血の権力者】が目の前にいるから今でも斬りつけに飛び出したい所なんだが相手は守護者フィレグを取り込んだと言っていた。“悪食”の姿で喋る【血の権力者】だが今まで戦ってきた奴とは圧倒的な圧を感じる…以前倒した奴の一体はただ連続して魔法を撃ってきて寄せつかせない動きだったりもう一体は接近戦で首しか狙わない割に動きが不明な点が多かったりと戦闘方法としては滅茶苦茶なんだが一貫して両者とも倒した後に素体となった生物が生きて出てきた。暫く様子を見たが異変はなかったので大丈夫だと思うが…


 今目の前で動いている“悪食”がフィレグの姿をしていたのなら彼女がそこで生きているのは間違いないはずだ。だが、話をするほど知性のある【血の権力者】に取り込まれてしまったフィレグを完全に取り戻すとなると色々と話が変わっきてしまう…どうするべきか


『来ないのか…ならばこちらから仕掛けるだけだ』


 何もしないと読んだ【血の権力者】は赤黒い“悪食”の小型版でも言えばいいのだろうか…かなりの数を飛ばしてきたのに対してアウェルは構わず刀を振り払おうとするのだが俺が巍巍【竜闘刃】で止めて一緒に後退させる。


「離せアウェル!ルウェーもアイツに用があるんだろう!?何故逃げるようなことをするんだ!」


「アイツは守護者であるフィレグを取り込んだ、確かにそう自分から言ったんだだから尚更警戒しないといけない訳だ【血の権力者】は取り込んだ奴の能力を大抵使役することができる、言ってる意味は分かるよな?」


「ということはフィレグの力を…?」


「そうだ、お前が言っていた【透過】やらそれ以外のだって使えることができる。まぁ…制限はあるだろうが」


 他にもいくつか話している最中に後方から飛ばしてくる斬撃を見定めながら同じように避ける、本当だったら避けずに真正面から弾き返したい所だったのだが相手には物を通り抜けることはできないとんでもない切り札をいつでも使う事ができる。飛ばしてくる斬撃だってアイツの一部だ、ないとは言い切れないがそういうこともできてしまうのも頭の中に入れとかないとな


「そのまま、ニ階に行け!アイツらの元に向かわせてやれ!」


「分かった!」


 さっきの遊び部屋でウェールが戦っているのを考えて挟み撃ちの形に持ってくのだけは避けたいし同じ階で別れたジェバル達の方に連れて逃げるのも余計混乱させてしまうだろう。そのためにブラフだがアウェルに安全に戦えるだろう場所に【血の権力者】を移動させる為に先導して貰っているのだが後退している時に耳打ちしておいたお陰で順調に動けて良かった。

 階段に足をかけている中物凄い勢いでこちらに飛び込んできた悪食は再度こちらに向けて刃を飛ばすとそこから小さいながらも小型の悪食がこちらに特攻してくるが巍巍【竜闘刃】で地面に叩き潰して階段に上がらせないようにする。


『二体も潰しているのもあって動きは中々だな』


「敵の言葉には素直に喜べないな…言っただろう?お前らには私怨があると忘れさせたとは言わせないからな」


 斬撃を飛ばすが攻撃は当たらずに床にぶつかったのだがかなり力込めたのだが床に傷一つ無いのはどれだけ頑丈なんだろうか…それはともかくこれで相手がフィレグを取り込んだことは確定した。実際に通り抜けられた時の悪食の表情は見るからにこちらを嘲笑っているようだったから尚更だ。

 そのまま踊り場にまで上がった所から振り返って階段を登ろうか迷っていると右の壁からアウェルの手が姿を現した。すぐに手を引っ込めるのを確認することができた、駆け上がろうとした所で再び眼が視せてきた。


「確かに、その手の方が後々楽に動けるからな…使うタイミングを外さずに今やっとくのが正解か…【闘志の果実(アドレット・アプ)】」


『木の実…?』


 目の前に生み出された果物を握り潰すことで自身の身体に魔力回路の回転を速め、今自分が一番欲しい魔力(需要)魔力回路(供給量)を増やすことで強制的に問題点を解決する…確かジェバルは魔力を大量に消費するから剣や魔法道具を介して魔力回路を重ねているとかイプロのやつから聞いていたがまぁ…あの莫大な魔力量から出せる魔法なんて考えられないほど強力すぎる気がするがその分消費量が少なく効率がいいってことだろうな。

 それよりもこの持続期間はそこまで長くはないので延長するか、どうするかの見極めが連続的に必要になるがその為の眼だからな…その都度視れる先を見定める。


『見た目は何も変わったようには感じられないが奇妙な事を言った後だ、何かしらはしたに違いない』


 喋っている悪食を放っておいてすぐに階段を上り終えると後を追うように刃を飛ばしながら接近してきた。すぐ様弾き返すことができたが【透過】は適応されないだろうか…自分が弾き返して壁にへばり付いた血痕が魔力を帯びて喉元に風穴を空けるべく牙を剥いてきたが弾き返した時の体勢では同じように弾くのは難しい…そこで【淵明闘竜(レグリード)】を召喚し盾となってもらい防ぐことができた。

 悪食…【血の権力者】に注意を向けているのを確認した上で無意識からの攻撃とは性格が悪い。ジェバルでさえもそこまで卑怯な事は……いや、ジェバルならやりかねそうで怖いな…しかし、咄嗟の召喚でも完璧に組み立てることができたのはやはり【闘志の果実】のお陰だ、早めに使って正解だった


『次は真っ黒な竜?さっきの果物といい召喚士に近いものだろうか』


「他の奴からはよくそう言われている、だが正解ではないし攻撃をどうにかする為に盾として召喚させたくはないのだが今だけはコイツ等も許してくれるはずだ」


『そう話している内に黒い竜は完全に回復しているのにおかしなことを言うのだな…そもそも魂の定着が儘ならない魔法を媒体とした生物に配慮する必要もなかろうに』


「他者を取り込むことでしか生きながらえない奴が言う結果だけを求めるような考えなんか全く聞いちゃいない、俺が召喚した【淵明闘竜(コイツ)】は俺自身の価値観で決めるだけだ」


 【血の権力者】だって話している間にも隠れながら張り巡らされているのに言えた物ではないだろう…血痕から血痕に渡り続ける刃が迫り来るが目の前から来る攻撃は自分自身が、奇襲をかける攻撃に対しては【淵明闘竜】に任せて集中する。攻撃が続いている中縫い編むようにして飛び込んでくる変化球もあるが魔力を帯びているのには変わりないので対処は可能だ。

 深呼吸して周りを流すように見てすぐに巍巍【竜闘刃】に魔力を流し込み血飛沫の霰を吹き飛ばし足元を狙った血痕から飛ばしてくる攻撃は【淵明闘竜】に任せて前進して右側面をなぞり描く様に剣を動かすが重々しい感触がなかった。


『警戒はしているがそのまま突っ込んでくるのは吝かではないのだろうか』


「些細なことでも突っかかってくるなんて他人の物で楽するそっちの方だろうにな…重ね掛けだ【闘志の果実】」


 右手に生み出された真っ赤な果実を同じように握り潰し砕く、その前にあった魔力回路の数は三つ…ジェバルと同じ位にはなれただろうか。大量の魔力が身体中をどんどんと流れていき魔力分配の心配は無いに等しい状況に持ってくることができた。相手側の放つ攻撃を垣間縫きもう一体の【淵明闘竜】を召喚させてきに気にし続けていた飛び交う血痕攻撃はこの二体に任せて目の前で蠢く悪食に専念する。

 人数不利と感じたのか攻撃の動きを見せながらも後退した悪食は体を変形させて悪食の頭が三本の蛇のような姿へと変貌を遂げた、それに変化したところで何をしてくるのか分からないが警戒をすることには変わりない。剣を構えて当たるか五分五分の動きに移ろうとした時に眼は未来を視せてきた。


『消しとばしてやる』


「【封竜門・双】」


 恐ろしい光景を視せて来たがこれがあるとないとではこの後の作戦に支障が起きる…近づいてきた俺に殺すべく蛇に変化した三つの口から特大サイズの魔力弾をこちらに向かって吐き出されるが背後の警戒を任せていた二匹の【淵明闘竜】を合わせて造り出された円状の門と衝突すると弾き返す事はできないが後ろの自分には当たらないように受け流すことに成功すると元の二匹へと戻り再び後方の警戒に戻った。

 悪食の方はこちらの完璧な防御で何事もなく攻撃の姿勢になっている俺を見て驚いていたがすぐにその驚きも消え去るとウネウネと動く頭の周りに魔法が次々と生み出されこっちに向かって何度も撃ち込んでくるようになった。


 何か企んでいるのか?見るからに先程までと動きが違うし明らかにこちらを殺しに回って来ている、さっきまでの差は…


「さっきまでは取り込もうと考えていたがこのままだと手加減だと危険だから諦めたのか…要するにやっと俺を補食対象として認識したってことか」


『惜しい、実に惜しい。その珍妙な魔法がただ何もせずに手に入るのなら相手を油断させた所で奪えれば良かったのだが…たった今考えを改めた。殺してから喰う』


「やってみろ、抵抗云々なら一番の得意分野だからな【丹念の果実(セニン・ルーベ)】」


『赤色の次は青色の木の実…か』


 魔力の準備は概ね順調、並行して身体能力の準備にも取り掛かる。

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