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ラ・ラガス~創造魔法で異世界を生き抜く~  作者: タツノオトシゴ
水天一碧の広大な場を駆け巡る
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水天一碧に飾れ、幾万天の星々 其の十二

「ルウェーとグリエさんには親友がどうこうって言っているのにアウェルを連れ去る理由がどこにもなくないか?」


「確かに…何十年も姿を見せずに何をしているのかは私にも分からなかったがあの時目の前に現れて一緒に帰ろうと言ってきた時一瞬誰だか分からなかったんだ、声とかはそのままフィレグな筈なのに中身がどうも空っぽというか…」


 自分が言った事に対してアウェルは俯きながらその時の事を話してくれているのだが外面や声、そのフィレグっていう守護者と面識があるアウェルでさえこの反応ってことは何かあるのは確定だろう。守護者がどうこうされて本人じゃないことなんてあり得ないと思うのだが絶対にないと言い切れる自信もない。


「他に異変は?」


「異変というなら異常なほどの魔力操作だろうな…グリエ殿達と顔を合わせている最中ルウェー殿だけ感知させる様な微量な魔力や相当近づかないと分からなかったのはおかしい」


「確かにあの時急に現れた悪食という奴はグクェフで遭遇した時のと丸っ切り同じでキードゥの塔付近に移動していたから動いたのだが…」


 静かな室内の中で自分が喋った事に反応して返ってきた言葉は不穏すぎる何かを感じるし薄々感じていたがあれだけ物静かに鎮座していた廃墟を見た時だって普通だったらあり得ない削れ方していたし、その削った張本人とタメ張った時なんてあの変光星の【起爆】などの攻撃を物ともせずただ物量で潰しにくるあのゾンビ戦法を一回だけ体感して筋肉馬鹿と同様の取り敢えず力一杯攻撃すれば相手は死ぬ!の精神を身に付けていると思っていたのだがそうはいかないようだ。

 聞けば魔力操作があり得ないほど長けていて一回遭遇して警戒されていたルウェーを平然と引き離すためにダミーなんかを作って動かしていたしとんでもない奴だ。火力に関してはあの筋肉馬鹿ほどではないだろうと思いたいが肉弾戦も魔法共に並行して戦えるとなると正直どうしようか頭を悩ますしかない。


「それでその…フィレグがいそうな場所って分かるか?それとも悪食みたくそこら辺空中を泳いで移動していたり?」


「いや…自分の住処に戻っているはずだ。彼女が引きこもっていた時もレヴィレット神殿にいたから今もあそこにいるだろう」


「レヴィ…何て?」


「レヴィレット神殿だ、彼女の家でもあり守護者で例えるなら塔と同じ機能を持つ場所…彼女が地上に行き戻ってきた時にもそこにいたから間違いないはずだ」


 レヴィレット神殿ねぇ…大層な名前だし大事そうにしているから形は残っているだろうし塔と同じ機能をしているってことは中は数十倍の広さを持っていると考えてもいいってことだな。頷きながら話を聞いているが地上がどうのこうのとまた聞きなれない単語を喋っている、というか守護する立場の人間がフラッと地上…陸に上がったのか?それだったらここにいたパーラの住民達は溜まったもんじゃないな。


「この話は今は止めておこう…私の心臓が持たん。それより今は何時だ?」


「……?もう少しで十五時になるが何故時間を?」


 顔色が悪く下を向いていたアウェルはこっちを向くと今までの話からして関係がない時間の事を気に始めて、ソファから立ち上がって移動の準備をし始めた。訳も話さずに動き始めたのに驚きを隠せないのだがアウェルが壁に立てかけていた刀に手を伸ばしながら喋り出した


「一時間以上前からここに居座っているとなればそろそろここから動いた方がいい、さっき本体はレヴィレット神殿にいると言ったがここにいる大半が戦ったことがある分身体が来るかもしれない、急遽だが準備をしてくれ」


 気持ちを落ち着けるために必死で伝えるのが遅れてしまった、と言っていたが考えてみれば初めて悪食と遭遇した時だって周辺の偵察で一杯一杯だったのにそこを突くように守護者の分身体が数で跡形も無く押し潰しにきていたと考えれば納得できる。アウェルの言葉を聞いてグリエさんが上で見張りをしているウェールの元に動いたがその時地面が揺れる衝撃が身を包んだ。

 物にしがみ付く事ができなかった一同は壁などに叩きつけられていたが数秒間続いた衝撃に慣れすぐに【宝物庫】から新星を取り出すと見張りをしていた筈のウェールが吹き抜けていた壁をよじ登ってきた、ウェール自身はなんともなさそうだが服のあちこちに焦げているのが見れた。


「まずは皆さんに謝罪を…とんでもない速さでこちらに飛び込んできていた悪食に対処したのですがトドメを刺した途端露出した魔石が光り連続して爆発してしまったこととかなり遠いのですがかなり強い魔力を感じ取れました」


 ほう…魔石に魔法を込めてストックする方法を使う奴がこの海底にいるとは面白いのだがアウェルの言った通り何時間も同じ場所にいたらこんな感じに攻撃を入れ込まれるようになると学べたがそれでも不意打ちでこんな事をしてくるとは中々だな…分身体と言っても攻撃方法が突進で建造物を強制的に破壊することだけかと思ったらこんな活用方をされて攻撃手段、本体がどんな事をしてくるかの情報として役立ってくれるだけ助かる。

 それにウェールは遠くの方で魔力を感じ取れたと言っているからそれがおそらく本体の守護者フィレグなんだろうな…大元の場所は完全に割れた。今すぐにでも突っ込んでみたいところだが海底都市のノウハウなんて専らない外部の人間だ、まずはここをよく知っているアウェルの判断を優先する。


「想像したよりも来るのが早いな…ここを出て悪食の様子を見ながらフィレグがいるであろうレヴィレット神殿に向かうがいいか?まだ合流できていない仲間がいると言っていたがどうする?」


「オルフィットやシグマリ達が合流に手間がかかっているのには少し不安があるがあいつ等なら必ず合流できると信じているから大丈夫だ、心配をするのはいいがこっちもいつ攻撃が飛んでくるか分からない状況だから動くならすぐに動こう」


「そうか…それじゃあこれからフィレグがいると思われるレヴィレット神殿まで進む…それまで何回か分身体が邪魔すると思うが各自で対処してくれ」


 シグマリ達が姿を現さない以上残りの海底都市のザンクスで何をしているかさえ分からないがずっとここで待っていると爆弾持ちの悪食が今後飛んでくるとなるとこんな所でボーッとしているなんてできないので必ず合流できるのを祈りながら待つしかないのだ。考えている間にウェールが自分以外全員地面までの移動を済ませていた。


「大丈夫ですか?私だけでもここで待つことは可能ですが…」


「自分が決めたことだ、それに心配するような感じに見えてシグマリ達は自分が持っていない固有魔法?っていう独自の強みを持っているからそこの所は大丈夫だろ」


「それならいいです」


 ウェールがキッパリとした解答をして廃墟からすぐに降りて綺麗な着地をしたのに続いて自分も飛び降りると遠くの方から轟音が響き始めた。どうやら神殿には行かせたくないと駄々を捏ねている子供みたいだがこれくらい跳ね除けないと前には進めないからな…手に持っている新星に備わっている三つの格納(ストック)の状況を見ながら溜め息をする。


「残弾はあと二発、大事にとっておかないとな…」


 意外と魔法を格納するのに最近時間がかかるようになってきたんだよね、使い始めはすんなり格納出来たんだけど…もしかして武器にも反抗期ってあったりする?
























 守護者…海底都市に必ず一人はいるとヒルフは言っていたがその名を称する程の力を持っていた。強力すぎる魔法を駆使しながら近づいて攻撃しようとも洗礼され尽くした体術、武術は今も私達を苦しめてくる。

 塔の試練を受けるにあたって人数を私とシグマリ、オルフィットだけで挑むなんていう事をしないで『アルチャー』の団員を引き連れて数の暴力で強硬手段でもやればよかったと今更思うけどそれはそれでどうなっただろうか…


「お姉ちゃん、前!」


「【岩石弾】!」


 こんなこと考えていると知らない内に大怪我でも負うことだってあるから変なことは考えないようにしておかないと…それよりも今の攻撃は魔法で対処してよかったのよね?今まで物理攻撃が通用しなかったり魔法攻撃が発動したら魔法構築が突然弾けて爆発するとかいう逆に本人に牙を剥くなんて事が守護者との戦いが続いていて精神の削り合いを永遠としているのだ。

 グリエさんが面倒そうな奴はマディーっていう氷魔法が得意な女の子とジェバルがなんとか回してくれるとか聞いていたからそこまで警戒していなかったけどこの有り様は流石にどうかと思う、この行き場のない怒りをデカブツに狙っているけど平然としているのを見てますます苛立ってくる。


「お姉ちゃん大丈夫?魔力切れだったら精霊さんにお願いして守ってもらうからその間にジェバルさんの魔石を削って魔力回復してもらうけど…」


「大丈夫!接近戦と魔力戦との交代交代でコツは掴んでいるから大丈夫…だけどシグマリこそ長時間の戦闘は慣れていないんだからヤバくなったらすぐに回ってね【火炎球】!」


 前線で休まずに戦い続けているオルフィットの底力には驚いたけどここまで長期戦は流石の私でもキツい、目の前で視界全面に映る真っ白の腹に縦模様を走らせている腹の部分からとんでもない速度でとんでもない回転率で飛ばしてくる魔法をどうにかしている…オルフィットがいうには腹魔魚(クジラ)なんていっていたけどあれだけ避けるのにも息が詰まりそうな場所だというのに笑顔で戦えに行けるのは狂気をも感じられる。


「それにしてもあの腹を見せてからずっと真上を向くようにしたまま動かないから警戒をずっとしているけど何がしたいんだか…」


「精霊さんが何回もオルフィットさんの援護に回ろうと動いてくれているんですがあそこまで行くのには覚悟がいるって言ってて…私たちは接近戦での術があることはあるけどそこまでの技量がないので魔力戦の時にオルフィットさん分のが出来ているといいんですけど…」


 しかし目の前で喜びながら私たちにすら見せたことのない魔剣を振り回しているのを見るに魔力が飛び交ったとしてもいつ組んだのか分からない魔法を的確に当てているところを見ると何も言えなくなるのだ。あれだけ試練が始まる前には興奮気味な割に緊張が取れていない不安定な感じだったのが可笑しく思える。

 それはそうと…ヒルフが言うに試練は守護者が満足のいく攻撃か致命傷を与えることで試練は終了するとか言っていたけどあの壁みたいな奴に致命傷を与えるとかになってくると難しいけど…満足させるような攻撃と言ったらなんだろうか…


 頭を捻りながら『守護者が満足する攻撃』というのを考えていると地面が大きく揺れる程強い衝撃が感じられた。守護者の方に目線を向けると大きな腹に一閃鋭く切られた後が残っていてその手前には雄叫びを上げながらガッツポーズをしているオルフィットの姿が見えた。


「やっと届いた!やっと届いたぞ!攻撃をしようにもそれを強制的に離してこようとするとんでもない魔法の密度で押し返られそうにもなったがそれもいい勉強になった!感謝するザンクスの守護者オ・ヌー!」


『ちょこまかと動いてうまいように魔法を避ける技は見事…それに遠くで援護している二人も見かけによらず元々の魔力量も常人ではないと窺える…これから先行われる攻撃はそう簡単には凌ぐことはできない【天雷】【逸轟嵐】…!』


 守護者が魔法を唱えたと認識した後は信じられないほどの強風が体を押していて油断していた私と一瞬で壁とぶつかりそうになったがシグマリの精霊がカバーしてくれたことでなんとかなったのだが…ゆっくり体を上げていると次はピリピリと痺れるような物を感じると隣に信じられない威力の雷が落ちていた。無意識的に自分の周りやシグマリにも【土壁】を作っていたこともあって被害は何もなかったが今の一瞬で何が起きたのかさっぱりだった。

 それよりもこれだけ離れていた自分達でさえもどうしようもなかったのにかなり近い場所でガッツポーズしていたオルフィットが心配で【土壁】から抜け出して守護者の魔法に気をつけながらオルフィットの方を向くとしゃがみながら魔導書を頭の上に乗せているなんていう奇行をしていると思ったら転移魔法で隣に移っていた。


「やっと攻撃が通用したのだと喜んでいたらこの雷に足元を掬うような風の組み合わせた魔法なんて正直発想したことがない物で危なかったのですが残りの魔導所が命を助けてくれましたので最悪の状況は免れました…」


「転移魔法とかいう上位魔法の魔導書なんてそうそう入手できる物じゃないけど持っているってことは『アルチャー』ってそういう人っているの?」


「『アルチャー』にはいませんが私の伝手でそういうことができる人いまして…それよりも今の守護者に攻撃を与えないとこの永遠と続くと思うんですがどうでしょう」


「まずは…このこの世の終わりみたいな天候をどうにかすることを考えることにしようか、これでそのまま突っ込んだら全滅するのは目に見える…何か策はある?『アルチャー』准教授のオルフィットさん」


 嵐がどんどんと悪化している中気持ちよさそうに上だけを見上げる守護者をこれから地面に落とせるのだと考えるのだが…悪天候の中悠長に秘策を準備するのは中々に難しいのだが一つ一つ対処していけば問題はない、ルウェーがよく言っている言葉を思い出して口を動かす。

遅くなってしまって本当に申し訳ないです。落ち着いてきたのでペースもだんだん戻ってくると思うので待っていただけたらありがたいです。

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