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ラ・ラガス~創造魔法で異世界を生き抜く~  作者: タツノオトシゴ
水天一碧の広大な場を駆け巡る
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水天一碧に飾れ、幾万天の星々 其の六

 守護者の手の色がいつも通りの白色に戻ったのだというのに攻撃の範囲と威力が桁違いになっている。動きは黒色の時よりも全然把握しやすいのは変わりないのだが床と双剣がぶつかった時の衝撃で足元が覚束無いし床が抜け落ちるのではないかとヒヤヒヤして仕方がない。それに部屋全体に伝わる衝撃が尋常じゃないのをどうにかしてほしいものだ…

 私の持つ【千羽戯楽】のリーチと相手の二つの対になっている短剣のリーチならこちらの方が有利な筈なのだがさっきから同じぐらいのリーチ差になっていて攻撃も毎回ギリギリで対処しているようなものだ。それに近づくだけで魔力を削り取られる結界魔法も厄介で極まりない、あれのせいで魔力込みでの攻撃が制限されているのと同様なのだからな


「動きが遅くて眠ってしまうだろ?ならはやく動くようにすれば埋め合わせができるということだ【不動の地は流動な一人に力を分け与える】」


「なっ!?動きが速くなるなんて聞いていないぞ!」


 極端に遅いというわけではなかった守護者は自身に魔法をかけたことで異様な速さを手にしていた。それに付随して攻撃にも鋭利さが際立ち当たったら致命傷、当たらなくても避けるだけでも体に極端な負荷がかかるようなとんでもないことが立て続けに起きている、相手の攻撃の合間に当てられるのであるのならいいのだがそれすらも叶わない状況で必死に刀を振るうのだがそれ以上の強さで跳ね返ってくる短剣は牙を幾度も剥いてくる。


「【驟雨蠟琵(シュウロウビ)】!!」


 相手が牙を剥いて攻撃を続けてくるのならそれと同じように攻撃をすればなんとかなるの精神だ。それでも勢いの途絶えない攻撃を何分も続けていると体力的にも魔力的にも疲れ果ててしまうのがこの技の欠点、この戦いでずっと動いているこの体にどんどんと溜まっていく疲労は攻撃を繰り出した後でもいいから少しの休憩を挟めればいいのだがこんな中で休憩を入れるなんていうのがあるのは難しい。

 例えこの猛攻撃を抑えられたとしても守護者として君臨する以上まだ窮地に追い詰めてくるだろう隠し球を持っていると考えられる…刀では不向きである突きでの攻撃をしている途中で相当疲れている中で思考を張り巡らせているとなれば頭が正常に動かないのだが非常に不味い状況とだけ分かる。


 相手の攻撃が止みこちらの攻撃が終わるまで二、三発突きを守護者の腕や腹、顔に向けるがずっと守るように張り付いている結界魔法が邪魔をしていたのを確認するまで後ろに下がらなかったがうっすらと切り傷を付けられた事を把握してすぐに後ろに回る。


「突きで相殺したのかよく分からないがそれだけで状況は変わらないぞアウェル」


「それくらい動いている自分自身が一番よく分かっている!【煌輝燦禅(コウキサンゼン)】」


 元の色が白のせいで変わっているかどうか分からないのだが、動きがさっきよりか追えるようになっているからあのとんでもない効果がなくなっていると考えて動いた方がいいと判断した。だが次に備えて攻撃を見極めながら休憩分を取らないといけないのが難点…守護者にとっては痛くも痒くもない攻撃だろうがこちらとしては近づくだけで魔力を削られるという状況が突然なくなったというわけでもない。

 今も魔力を込めて攻撃を放っているが結界魔法に届きはするが結果としてはただの切り傷という守護者にとっては擦り傷という内枠のはずそれにぬか喜びをしていればすぐに足元を掬われ元も子もないだろう…


 体勢を崩そうという思惑なのだろうが嫌らしい箇所に刃を向けてくるのに無理矢理合わせるように刀を傾けては反撃をして器用に攻撃を避け一定の間合いに引き摺り込んだところで右足を踏み込もうとしたのだが突如激痛が走り体勢を崩してしまった、体を酷使してしまった所為なのだかこんなタイミングだと次来る攻撃によっては致命傷では済まない…!判断にミスしてしまったことを後悔しながらこれから来る痛みに噛み締める。


「私のことを忘れるほどアウェル君に情熱的なのねぇ守護者(ヘタレ)!!」


「グリエ殿?!」


「チッ…さっきので仕留めたつもりだったがあれほどの威力でも足りなかったか?それに体を見れば呪いの進行が激しくなっている癖に主導権が移っていないのは驚きだ【手に安寧を(ペーテグランデ)】」


「アウェル君は後ろで休憩と回復重視!それまで極力守護者とバチバチに叩くから私が急に動かなくなったら交代よろしくね!【黒薙:乱】」


 割り込むように入ってきたグリエ殿が攻撃を床に叩きつけてくれた、それに加えてこちらに目配せすると足元から氷の柱が発生すると緩やかな坂となり激痛で動けない身体を後ろに下げてくれた。グリエ殿がくれた少しだけの休憩時間を有意義に使わなくては…すぐにポーチから魔法瓶を取り出して魔力回復と疲労をできるだけ取り右足の容態を確認して回復魔法を発動させて応急処置を済ませる。

 守護者の動きを見ようと前を向くと守護者の手が黒色になり攻撃をグリエ殿に向かって攻撃をしようとするのに対して横に振るいながら跳ね除けようとする攻撃がぶつかり合いそして周りに衝撃波を起こした。


「これ以上の攻撃は塔の破壊を促すまでとはいかないが相当だな…ここで時間を使い続けるというのも悪くないが後々のことを考えると……守護者が気にすることではないな【同降異極】【流転:覇】」


「【穢れし血を賭け、魂を穢す】【死の侵蝕(ペスポルトデッド)】!!」


「筋肉馬鹿の技なのに弾き切った上に重ね掛けだと呪いの侵攻が速くなってあの女も助からない…何故そこまで呪いに体を受け渡すのか!」


「私がどぉぉぉしたぁぁぁ守護者…大事な核にまで干渉させなければ安全って私自身が知っているから安心って奴よぉ【穢れを賭け、腐敗を促す】!!」


 さっきからとんでもないことが短時間で連続して起こっている、守護者との戦闘を入れ替わってくれたことには感謝しているのだが守護者がグリエ殿を吹き飛ばした時に使ったような真っ白な光を放ったと思えばグリエ殿の周りに真っ黒なモヤモヤが溢れ出しそれが自在に動き受け止めるどころか弾き壁にぶつけると間髪入れずに夥しい魔力を出しモヤモヤと一緒に地面を抉りながら守護者と剣を交え、モヤモヤは守護者の結界魔法をジリジリと削っていた。


「安全とあれほどのことを言っているがこれ以上代償を積むと呑まれ続けることになるのは確実だろうな…それに私の大事な物ですら蝕むとはどれほどのものなのか…【環律転統】」


「あっぶない……初めて使ったけど結構主導権取られかけるのね、途中までは制御してたつもりだったのに気を抜いたら化け物みたいになるところだった…危ない危ない」


「グリエ殿…大丈夫なのか?さっきとんでもない魔力で守護者に飛び掛かっていたが…」


「あれは呪いが私にああさせただけ、これ以上体を乗っ取られ続けるのは危ないと判断して代償分を全部腐敗に回して主導権を取り戻したって訳…あれはどうしようもなくなった時だけの脱出装置的なもの」


 さっきからグリエ殿の話を聞けば行き当たりばったりの当てずっぽうで戦っていたとも捉えられるような発言が多く聞けるのだがあまり気にしないでおこう。それよりもさっきまで強力な呪いを使って攻撃していたというのに平然と動いているのを見ても呪いの扱い方がうまいとしか見て取れない、呪いに関しては無知であるためどんなに恐ろしいものかも分からずどうこう言うのはよろしくないと割り切ってしまった方がいいと判断する。


「私はまだいけるけどアウェル君は足の調子は大丈夫そう?」


「時間を使ってくれたお陰で大丈夫だが…それよりもグリエ殿の手持ちの中で有用そうな武器はあれだけか?生憎変えの得物はないのだが…」


「……なーんだ、ビックリさせないでよアウェル君。あれは実験用として使っただけのことだから気にしないで他にも武器はたんまりとあるし何なら使え使えと文句を言われる身だからね…じゃあ次は鎌でも使って見せようかな?」


 自分が言った言葉が予想外だったのかかなり驚愕な顔をして見せたがその後見せた笑顔は華やかであった。呪いの剣を黒いモヤモヤに入れ込んだ後取り出した武器は宣言通りグリエ殿と同等の大きさの鎌だった、それを容易く持ち上げ守護者に向けると魔力を鎌に流し込み始めた。


「どれほどの武器を手にしているのか不思議だが…それを聞き出すのには些か苦難を強いられそうだな【手に混沌を(パルテンドグランデ)】」


「案外楽しくなってしゃべっちゃいそうで私は怖いけどね【燦然たる七天の色の羽を放て】【朱光】」


 守護者は手を黒色から白に変化させとてつもなく守護者も拳に魔力を大量に入ったのを確認した後グリエ殿の鎌の先端とがぶつかり合いもう一度衝撃波を起こしていた。その時の拮抗した攻撃を見ていたがグリエ殿に集中している守護者に一撃を入れるなら今しかないと踏んで【千羽戯楽】を握り締め守護者に向かって走り出す。


「その見え見えな攻撃……対処くらいは分かるぞアウェル!【環律転統】」


 守護者は横から攻撃を仕掛けていたのに対して魔導書を向けて視界が真っ白になって焦ったがこんなチャンスを咄嗟ではあるが作り出してくれたんだ簡単に逃したくはない、ここで逃げて友に合わせる顔がない…死ぬ気でここの戦いを勝ち切る!

 走りながら削られていく魔力を必死に溜め込み目の前にジリジリと近づく攻撃を力一杯握った刀を横に振るい無理矢理断ち切るとグリエ殿と刃を交えていた守護者がこちらを見ると二冊の魔導書を懐から床に落とした。二つの魔導書は床に落ちる前に両方とも宙に浮かび紙がどんどんと捲られる。


 表紙が真っ白な魔導書はあるページに見開いたら確信はないがジェバル殿が使っていた【水嵐】が瞬間的に大量に生み出ては集まり出し蛇の姿に変化したと思えばどんどんと肥大化して見上げるほどの大蛇へと成り代わった。真っ白な魔導書の隣に浮かんだ対となる真っ黒な魔導書からは【火炎球】が飛び出て本で見たような体が黄褐色で途中途中に黒色のリングがついているような姿が持つ陸に住む動物という存在がこちらを向き口を大きく開き威嚇をしてきた。


「圧巻だな…敵が生み出した魔法であろうがここまで綺麗な物であれど邪魔をするのなら断ち切るまでいざ…【火蝶風月(カチョウフウゲツ)】」


 威嚇をされながらも警戒してくれたお陰で回復薬を飲むという行為を行う時間を作ってくれた猛獣に感謝しつつ流し込んだ魔力を体に馴染ませそのまま手を伝い【千羽戯楽】に半分を流し半分は自身の身体能力の強化に回す。

 ジェバル殿が使う魔剣の中でも剣身から溢れる大量の魔力を火種にして物理的に燃やすアレとは違う理屈にはなってしまうがこちらもほんの僅かな時間だったら任意のタイミングで調整を加えることだってできる、そんなことだってできるのだが果たしてこの魔法から生まれた猛獣に効果があるとは思えないがその時にでも考えよう。


 蛇の姿をした魔法は素早い動きで足元を噛みつこうと動いたので地面に刀を叩きつけて緊急脱出を図り蛇の頭上に躍り出て突き刺すように攻撃をするのだが横から殺気を感じた時には鋭利な爪が引っ掻いていた。


「連携も取れるとは思っていなかったが厄介すぎる…ダメ元で使ってみるか【水氷ノ太刀(ウォルタ・ソード)】」


 勢いよく吹き飛ばされながらも床に刀を刺しつつポーチから魔導書を取り出し魔力を流し込むと魔導書からゆっくりと水氷で作り上げられた刀が姿を現す。本当は自分の刀が遠い所にあって緊急の際にこれを使おうと思っていたんだが仕方がない、相手が魔法であろうと目の前で威嚇し続ける猛獣は二匹…これくらいのハンデは許してほしい。同じように【水氷ノ太刀】に魔力を流しいつでも魔力を用いた攻撃は万端だ、両手に刀を持つのは久しいがすぐにいつも通りに立ち舞える筈だ。深呼吸して踏み出すのと同時に動き始めた魔法猛獣が左右に飛び掛かる


「【二刀流(ツインテッド):月菊の舞踏(ムーンフォールダンス)】」


 その時放たれた重なり合った二つの剣撃は華麗に踊り跳ねた。





























「アウェル君優先なんてこっちの方が危険なくらい重々承知な癖に面白いことするものね【朱雨(レインヴァルト)】」


「ここで長時間戦えている時点で十分経過しているのは当然だ、それにあの筋肉馬鹿が動くような『お星様』は異常過ぎる。宣言した際に確認できたそこに眠る魔力量は竜自身だ」


「ジェバル君のことは今、どうでもいいで……しょう!フンッ、それよりも攻撃がさっきよりも速いのはどうゆうことかなぁ…?」


 視認できる攻撃なら対処できる、今でさえも裏を掻こうと騙すように弱めていた一撃一撃が伸し掛かるように重いし何なら手が真っ黒や元に色に変化してもなおそれ以上の速さを平気でやってくればそれ以上に魔法で視界を妨げたりとやりたい放題だ。私だから何とか…まぁ、ギリギリだけどアウェル君にやっていないってことは結構舐められた事してくれるじゃない。

 連続して頭を狙う魔法を掻い潜りながらスライディングをしつつ勢い良く横に薙ぎられた鎌を止めるように守護者の右手に握られた短剣が押さえつけられるが魔力を入れ込んで変形させ剣に変え後から来た二本目の短剣を押し込み体勢を崩す。鎌に形状が戻るが両手でしっかりと握りフルスウィングしようと考えるが黒だった手が白くなっていた事を確認して後ろに下がり真上に来る攻撃を弾き返す。


「…どんな反応の仕方をしているか知りたいな【同降異極】【盛楓冥月(セイフウメイゲツ)】」


「そぉれはアウェル君の技じゃない!【風裂地爆(ウェンドハープスト)】」


 青白く光る拳が連続して襲い掛かる構図を見たことがあるだろうか、私はこれが初めてで少し驚いたがこれを連続して行えるアウェル君はすごいという思考に辿り着いた。後ろに風魔法に地魔法を適当に組み込んだ魔法を分裂させて爆発させる。残しておいた風を追い風に変えて間合いを詰めて邪魔なもの(結界)をこじ開けるために鎌を振りかざす。


「チェストォォォォォォ!!!」


「!?」


 勢い良く当たった鎌の先端は結界に亀裂を入れ込み横に振りかざした時には粉々に壊れていた。


「ここからが本番!いくよ【緋岸竜の大鎌(ノブリューヅ・サイス)】!!」


「何度も攻撃を当てられていたがあの一振りで割れたのか…厄介だな【魔放滅裂】【手に安寧を】」


 動きが速くなり短剣というより双剣が喉元を裂こうと動くがこっちも動きには追いつけられる、結界を割ったままの鎌を床に差し込み体を浮かして攻撃を避ける。勢いのまま鎌を抜き吹き飛ぶように跳躍しつつ地に足をつけることに成功する、その時の守護者は嫌そうな顔をしているのに口角が上がっている所を私は見逃さなかった。

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