表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

82/307

82話 【過去編】第一王子と第二王子

 5年前、ブリケード王国王城の庭にて――


「兄貴! 剣の稽古をつけてくれや!」


「いいぜ。かかってこいよ」


「行くぜ!」


「おう」


 元気よく剣の模擬試合を始めたのもつかの間――弟の身体が宙に舞う。


「うわあああっ!?」


 ドサッと地面に叩きつけられる弟。


「いてて……くそっ。また負けたぜ」


「ガルド、お前は筋が良いが、まだまだ甘い」


「ちっ。ライルの兄貴にはなかなか勝てねぇな」


 弟――ガルドは悔しがりながらも、兄――ライルの言葉に納得しているようだ。

 言葉遣いは荒いが、素直で良い奴なのだ。


「ところでよ。兄貴の成人の儀式まで後2年だよな?」


「そうだな。みんなが期待してくるから、嫌でもソワソワしてくる」


 この世界では、14歳になるとスキルが神より与えられる。

 そして、多くの国や部族では、それに合わせて成人の儀式やそれに類する儀式を執り行っているのだ。

 第一王子ライルは、現在12歳。

 第二王子ガルドは、現在9歳。

 彼らがどのようなスキルを得ることになるか、王都中の注目が集まっている。


「まぁ、王族である俺たちなら、とびっきりのスキルが手に入るはずだろ? 俺も早くスキルを手に入れて活躍したいぜ!」


 スキルにはランクがある。

 王族や貴族の方が高ランクのスキルが発現しやすい。

 ――否。

 高ランクのスキルが発現しやすい血筋が、王族や貴族として君臨していると言った方が適切だろう。

 いずれにせよ、ライルやガルドが強力なスキルを得る確率はかなり高いと誰もが考えていた。


「そうだな。だが、あまり調子に乗るなよ。どんな強力なスキルを得たとしても、それを生かすためには鍛錬が必要だ」


「分かってるって」


「お前はいつも口ばかり達者だな」


「へっ。じゃあ、もう1回勝負しようぜ! 今度は俺の勝ちだからさ」


「懲りん奴め」


「次こそ勝つ!!」


 2人の少年が楽しげに笑う。

 ブリケード王国の第一王子と第二王子。

 どちらも優秀な人物になるであろうと期待されている。

 しかし、彼らは知らない。

 それぞれが自らの身に余るほど強力なスキルを得ることになるということを――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ