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71話 人間ハンマー

 キーネの知り合いだという冒険者4人組が絡んできた。

 奴らはキーネを勝手に連れ出し、路地裏に入った。

 ここなら人目もない。

 俺にとっても好都合だ。

 武力行使で俺の所有物を取り返すことにする。


「さあ、かかってこい」


 俺は腕を広げ、堂々と言い放つ。


「ふざけやがって! ぶっ殺してやる!」


 先頭に立っていた男が剣を抜いて切り込んできた。

 そこそこ速いが、俺よりは遥かに遅い斬撃だ。

 俺は一歩前に踏み出すと、剣を振るってきた男の腹を蹴り飛ばす。


「ぐあっ!?」


 男は宙を舞い、壁に激突して動かなくなった。


「なっ……!」


「嘘でしょう!?」


「なんてパワーだよ……」


 他の3人は大きく後退している。

 怯えた様子だ。


「まだやるか? やるなら、容赦しないが」


 俺が挑発すると、残った唯一の男が怒鳴り声を上げた。


「舐めんな! こっちはまだ3人もいるんだ!!」


「おお、怖い怖い。俺のような年下を相手に、3人掛かりでリンチとはな……」


「お前がガキだからと、手を抜くと思ったら大間違いだ!」


「へぇ……」


 俺が睨み付けると、残りの女2人も剣を抜いた。


「これはさすがに俺も勝てないかもしれないなぁ」


 俺はニヤニヤしながら、心にもないことを言ってみる。


「どうした! 怖気づいたか!」


「まさか。それならそれで、やりようはあるんだ」


 俺は悠々と歩き、さっき蹴り飛ばした男へと近づいていく。

 男は気絶しているようだ。

 その男の足を掴む。


「なっ! まさか、人質を取るつもりか!」


「卑怯よ!」


「違うって。俺はそんなくだらないことはしない。こいつには、もっと面白い使い方がある


「何だと……」


「こういうことさ」


 俺は男たちに見せつけるように、手に持った男を持ち上げて見せる。

 そして……、思いっきり地面に叩きつけた。

 ドゴォンと激しい音が響き渡る。


「うごぉっ!!」


「おい、大丈夫かよ!」


「私たちの仲間になんてことを!」


「死んだんじゃ……」


 3人は心配そうな声を上げるが、当然のことながら死んではいない。

 別に殺してもいいのだが、それだと楽しめないじゃないか。


「問題はない。俺の闘気で覆っているからな」


「何だと?」


「どうだ、素晴らしい武器と思わないか? 名付けて、人間ハンマーだ!」


 俺は男に闘気を通したまま、そのあたりの家屋や地面を殴りつける。


「ははは! いいぞ、すごい威力だ!」


 俺はテンションが上がりまくっていた。

 そうだ、これこそ俺が求めていたものだ!


「このガキ……!」


「な、何という酷いことを……」


「仲間は返してもらうわよ!」


 3人の冒険者の顔色が変わる。

 ここからが本番だ。

 少しは楽しみたいところだ。

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