70話 靴を舐めてみろ
キーネの昔の知り合いが絡んできている。
「納得できるか! キーネは俺たちとパーティを組んでいたこともあるんだ!」
「私たちと一緒に行こうよ!」
「調子に乗らないでよね!」
「お前みたいなガキに、キーネを任せられるわけがないだろ!」
4人は引かなかった。
キーネの腕を掴み、引きずっていく。
「痛いっ、離して!」
「うるせえ、黙って来い。俺たちがお前の目を覚まさせてやる!」
キーネは抵抗するが、さすがに4人の力には敵わない。
そのまま冒険者ギルドを出ていってしまう。
「ちょっと、ライル様! 追わなくてもよろしいのですか?」
「もちろん追うさ。俺が調教中の奴隷を奪おうとするなど、万死に値する」
俺は彼らを追いかけた。
路地裏に入り、彼らの背後から声を掛ける。
「待て」
「なんだ、付いてきやがったのか」
4人が振り向く。
「もう一度言うぞ。キーネは俺のものだ。返してもらう」
「ふざけんな!」
「ふざけてなんかいない。俺は本気だ。キーネに勝手なことをしてみろ。貴様らを皆殺しにして、キーネを奪い返す。わかったか?」
俺は宣言する。
これは脅しではない。
本気で殺す。
「チッ、生意気なガキだぜ!」
「痛い目に遭わせてやろうじゃないの!」
「キーネちゃん、ちょっと待っていてね」
「覚悟しろ!」
冒険者たちが武器を構える。
「リリア、アイシャ、下がっていろ。俺一人で十分だ」
「うむ。そうじゃの」
「お任せいたします」
武力行使なら話が早い。
適当に蹴散らして、自分の矮小さを思い知らせてやることにしよう。




