45話 土下座
騒ぎを聞きつけた村の男たちがやって来た。
彼らが俺を囲む。
「くたばれやあぁ!」
「ミルカちゃんに手出しはさせん!」
男たちが剣を振り上げ、俺に向かってくる。
「馬鹿が。身の程をわきまえろ。【フレイム】」
俺は右手を前に出す。
そして、魔法を唱えた。
ゴオオオォッ!
俺の手のひらから炎が噴き上がる。
その熱気だけで、近くにいた村人たちが悲鳴を上げた。
「ぎゃあああっ!」
「熱い!」
もちろん火力は押さえていたので、焼け死ぬほどではない。
この程度の炎にビビるとは、獣かよ。
「【指弾】」
俺は指を勢いよく弾き、空気の塊を射出する。
指パッチンの強力版と言ってもいい。
「ぐえっ!」
「ぎゃあっ!!」
男たちがダメージを負っていく。
もちろん殺してはいない。
ただ絡んできただけの村人を殺すほど俺は狭量ではないからな。
「ふむ。この程度の人材しかいないようでは、数十人程度の盗賊団を脅威に感じるのも無理はないか」
「ぐっ! ぐぬぬ……」
村長が悔しそうに歯噛みする。
「まあ、そう深刻に考えるな。この俺に任せていれば、盗賊団など軽く撃破してやるさ。この村にも安寧が訪れるだろう」
「…………」
「だが、このミルカといい、男どもといい、態度が気に入らない。俺をわざわざ村に呼びつけておいて、この仕打ちは何だ?」
「ひ、平に! 平にご容赦を!!」
村長が土下座をする。
俺の戦闘能力を間近で見て、もはや逆らう気も失せたのと思われる。
「それはミルカの態度次第だな。……おい。やることがあるだろう?」
「は、はい……」
*****
その後、いろいろあった。




