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301/307

301話 5年後-2

「あたいの子どもは、大丈夫かな……? 母親としちゃ元気でいてくれれば十分だけど、そうも言ってられねぇよな」


「そりゃ、王妃であるルーシーが生んだ子どもだからな。これからの聖竜帝国を担っていく存在になる。……って、あ……。ルークはまた……」


 俺はあることに気付く。

 屋敷の屋根に、息子が登っていた。

 彼の名前はルーク。

 俺とルーシーの子どもであり、双子のお兄ちゃんの方だ。

 今年で5歳になる。


「おかーさん! おとーさん!」


「また屋根に登って……。危ないぞ?」


 俺はルークに注意する。

 だが、ルークは止まらなかった。


「もう子どもじゃないから大丈夫! 落っこちたりしないよ!!」


「それならいいが……」


 俺は多少の心配をしつつも、強くは止めなかった。

 ルークもまた、俺の血を受け継いでいるのだ。

 彼の身体能力は高いし、うっかり落ちてしまう可能性は低いだろう。

 もちろん、邪魔が入らなければだが……。


「ふははっ! 見つけたのじゃ、ルークよ!」


「げぇっ!? リリナ姉ちゃん!?」


 少し離れた屋根から声が聞こえ、ルークがそちらを見る。

 すると、そこには1人の少女が立っていた。

 彼女は俺の娘だ。

 双子の妹の方で、もちろん兄と同じく今年で5歳になる。


「リリナの奴、またルークを追いかけ回しているのか」


「元気だよな。いいことだけどさ……。ちょっとブラコンかも?」


 俺とルーシーは苦笑する。

 リリナは、双子の兄であるルークが大好きらしい。

 よく彼を追いかけ回していた。

 一方のルークは、リリナに対して苦手意識を持っているようだ。

 ときおり、半泣きになりながら逃げている。


「そこで待つのじゃ、ルーク!」


「ま……待てと言われて待つ奴はいないよ!!」


 リリナとルークが屋根の上で追いかけっこをしている。

 その遊びは、ルークが屋根から落っこちるまで続いたのだった。

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