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297話 披露宴-5

「今のルーシーは強い。肉体だけじゃなく……心もな」


「うん……。いろいろあったからな。今となってはみんな……いい思い出さ」


「だよな、だよな? なら、俺は無罪放免ってことで……」


「お前が言うな!」


「あたいは、あんたに強姦されたことは忘れないぜ!」


 ガルドの言葉にライルとルーシーが怒る。

 そんな3人を見て、バリオスは苦笑した。


「愚息は……ベッドの上ではポンコツらしいな」


「は? クソ親父、何か言ったか?」


「お前の腰使いが甘いから、我が義理の娘は過去を忘れられないのではないのか?」


「な……!?」


「お、おい! あたいは別に不満なんかないぞ!」


 バリオスの言葉に、ライルが絶句する。

 そして、ルーシーは慌てて弁解した。

 そんな2人に構わず、バリオスが続ける。


「どうだ? 余はこれでも、ベッド上での技術には自信がある。愛する妻も、よく褒めてくれたものなのだが」


 バリオスがそう言って、前後に腰を振る。

 祝いの席の酒で、酔っ払っているらしい。

 最低な言動である。

 彼の腰使いを見て、ライルとルーシーは顔を引きつらせた。


「な、なんつー下品な……。親の夜事情なんて知りたくもねぇんだよ!」


「我が義理の娘よ。ライルのアレが不満なら、余が満足させてやってもいいぞ?」


「黙れっ! セクハラ親父が! 一応はライル様の父親だから尊重してたけど……もう我慢ならねぇ!!」


「くくっ。遠慮するな、我が義理の娘よ。余はそっちの方でもまだまだ現役――ぶへらっ!?」


 バリオスが吹き飛ぶ。

 ルーシーが蹴り飛ばしたのだ。


「あたいはライル様一筋なんだよ! てめぇとなんて嫌に決まってんだろ!!」


「ぐふっ……。我が義理の娘が冷たい……」


「自業自得だ、クソ親父」


 ルーシーの蹴りを喰らい、バリオスが吹き飛んだ。

 ライルが冷たい目で見る。


「ま、まあ……とにかくだ。俺たちはみんなで力を合わせて、聖竜帝国とブリケード王国を繁栄させていく。それが俺たちの使命だ。そうだろ?」


 ガルドがその場をまとめる。

 多少の波乱はありつつも、その後は穏やかな時間が流れていく。

 そして、ライルとルーシーの披露宴は無事に幕を閉じたのだった。

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