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293話 披露宴-1

「それでは、これよりライル様とルーシー様の披露宴を行います!」


 そんな司会の言葉と共に、新郎新婦が入場する。

 2人が登場しただけで、盛大な拍手が沸き起こった。


「それでは……乾杯のご発声をお願いします」


「ああ」


 司会に促され、新郎ライルが一歩踏み出る。


「今日は集まってくれてありがとう。みんなのおかげで、俺たち2人は結ばれた。だが……同時に多大な迷惑もかけてしまったと思う。俺がこの村に来なければ、ガルドによる襲撃だって――」


「おうおう! 難しいことはよく分からねぇが、今日がめでたい席だってことは分かってるぜ!! 湿っぽい話は要らねぇ!!」


 村人の1人が叫ぶ。

 そんな彼に、ライルが声をかけた。


「ダストン……。参加してくれてありがとな。そして、すまなかった。蘇生が遅れて……」


「いいってことよ。ライルの小僧にもいろいろあったみてぇだからな。な? ツルギの小僧」


「はい! ライルの兄貴にもらったこの剣で……今度こそ、村のみんなを守り抜いてみせるぜ!!」


「だそうだ。安心しろよ。ライルの小僧」


「ああ……」


 ダストンやツルギの言葉に、ライルは頷く。

 結婚式に続いて披露宴が開かえれているこの村は、ルーシーの故郷だ。

 そして、王家を追放された直後のライルが逃げ延びた場所であり、追跡してきたガルドによって壊滅させられた村でもあった。


 ライルは追加製作したエリクサーで村人たちを復活させ、村を復興させた。

 そして、ルーシーとの結婚式を挙げているのである。

 そんなライルを、村人たちは祝福してくれた。


「うふふ。私の娘も、ライル様のように強く、たくましく、そして優しく育ってほしいですわ」


「大丈夫さ。ヤエという素晴らしい名を、ライル様に頂いたのだから」


「ヤエ……か。赤ちゃんまで参列してくれて、嬉しいよ」


「あうー! あうあう!!」


 ヤエが満面の笑みを浮かべる。

 そんな赤ん坊を見て、ライルの口元に笑みが漏れた。

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