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237話 バリオス王の退位

「な、なんだと……?」


「こいつの顔に見覚えないか? お前の子だよ」


 バリオス王は目を見開く。

 俺が呼び出した少女の正体は、もちろんガルドだ。

 試作エリクサーの副作用により、なぜか女体化したのだったな。


「そ、そんな……。いや、まさか……。あり得ん……」


「現実を受け止めろって。それで、どうする? 一応はちゃんとした血筋の奴を用意してやったんだ。まだ拒否するなら、お前には消えてもらうが?」


「…………」


「国王が死んだら、いよいよこの戦争は収集がつかなくなるかもなぁ。兵士は全滅するとして……国民は何割死ぬかな? 俺としては、別にそれでも構わないが」


 バリオス王は絶句する。

 もはや、彼に選択の余地はなかった。


「わ、分かった……。降伏し、ガルドに王位を譲る……」


「うむ。賢明な判断だ」


 俺は満足げに頷く。

 言うまでもないことだが、ガルドは完全に俺の言いなりの存在である。

 暴力で屈服させたことに加え、竜の加護の影響もあるからな。

 これにて、完全にブリケード王国は聖竜帝国の属国となったわけだ。


(くっくっく……。これで邪魔する奴はもういない。『紅血の水晶石』が手に入った今、エリクサーの完成も近い。いよいよ、ルーシーを生き返らせられる……)


 俺は心の中でほくそ笑む。

 彼女が生き返ったら、絶対に喜んでくれるだろう。

 そのために、俺は塵芥どもをぶち殺してきたんだ。

 全ては、ルーシーのため。


(待ってろよ、ルーシー!)


 俺は心の中で、愛しき少女の名を呼んだのだった。

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