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222話 ナタール連邦の最期-1

 ナタール連邦は、複数の小国が合併してできた連邦国家である。

 それぞれの小国に王が存在するが、連邦全体への権限を持つ王は存在しない。

 連邦全体に関わる事柄の決定は、小国の王たちによる合議制によって決められるのだ。

 それは、平時であれば問題ない。

 だが、今回のような非常事態において、この仕組みはあまりにも脆弱だった。


「それ見たことか! ブリケード王国からの助力要請など、無視しておけばよかったのだ!!」


「左様である! 他国の王族がストレアという町にさらわれている? 知ったことか!!」


「バカなことを言うな! あの国は、強力なスキル持ちを多数抱えておる……!!」


「その通り! 無視して敵対でもすれば、連邦は大打撃を受けていたかもしれんぞ!!」


「そもそも、人探しに軍隊など不要であったはずだ! 何らかの政治闘争の結果、このようなことになったに違いない!!」


「協力だけならまだしも、連邦軍まで出す必要はなかったのではないか!? 被害は甚大だぞ!! どう立て直すというのだ!?」


「軍を立て直すのは後でいい! それよりも、今はあの元王子とやらをどう懐柔するかだ!!」


「懐柔? ふざけるな! 徹底抗戦だ!!」


「現実を見ろ! 1000人にものぼる兵士たちが惨殺された上、A級スキル【剣聖】持ちまで負けたと聞いておる!!」


「戦えば敗色濃厚……! 仮に勝ったとしても、どれだけの犠牲が出るか……」 


 複数の王たちが、円卓に座って議論を交わしている。

 しかし、その意見はどれもバラバラだ。

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