171話 雌豚の命乞い
「ほら、早く言え」
俺が促すと、ついに我慢できなくなったのだろう。
メスタの口から声が漏れ出る。
「……死にたくない……」
その声を聞いて、場にいる全員が失笑を漏らしていた。
もちろん俺も例外ではない。
そんな俺の態度をどう勘違いしたのか、必死に命乞いを始めるメスタ。
「……お願いします……!! もう逆らいません!! 何でも言うことを聞きます!! だから、殺さないで――」
「何を勘違いしている?」
メスタの命乞いを、俺は一蹴した。
俺の言葉の意味が理解できないようで、キョトンとする彼女に向かって言う。
「――お前は雌豚だ。豚らしく命乞いしてみろと、俺は言ったつもりなんだがな」
その言葉を受け、彼女の目が見開かれた。
そしてすぐに、彼女は行動に移す。
「ぶひぃぃいぃいいいっ!!」
それはまさに雄叫びだった。
いや、鳴き声と言った方が適切だろうか?
どっちもどっちだな……。
「ぶひぃっ! ぶもぉぉおっ! びぎぃぃぃっ!!」
四つん這いになり、尻を高く突き上げて左右に振りまくる。
その姿はさながら発情期の豚そのものといった感じだ。
いや、豚よりもみっともないか?
どちらにせよ、今のこいつに人としての価値はないな。
人間の尊厳すらない。
まぁ、雌豚なのだから当然ではあるのだが。




