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168話 提案

 それからしばらくして、ようやく気が済んだのか、責め苦が終わったのだった。

 メスタはボロ雑巾のようにズタボロとなっている。


「すみません、ライルさま。こいつは学習能力がないんです。村でも調教に苦労していて……」


「いいってことさ。学習能力のないバカを奴隷にすると、苦労するよな。こんな無能を押し付けて、こちらこそ悪かった」


 俺が謝ると、その場にいた全員の視線が俺の方へ向いた。

 なんでみんなそんなに驚いているんだろうか……?

 俺だって、悪いと思ったことを謝ることぐらいはある。

 まぁいい。

 それよりも今は、やるべきことがある。


「良ければ、改めて俺が引き取ろうか?」


「ライルさまが? 何か使い道があるのですか?」


 俺の言葉にミルカが首を傾げる。

 俺は首を振る。


「使い道などない。ただ、殺処分してやろうかと思っただけだ」


 山村であれば、人間の死体の処理には困らない。

 とはいえ、最低限の労力というものは必要だ。

 穴を掘って埋めたり、谷底に突き落としたりな。

 メスタのような役立たずには、そうした労力を割くこと自体がもったいない。

 だから、元々の所有者である俺が責任を持って対応する必要がある。

 俺はそんなことを考えたのだった。

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