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161話 ミルカ宅へ

「見ろ……。ライル様だぜ」


「間違いない。俺たちの英雄だ」


「うわー! 本物初めて見た!」


「お前はあの時期、用事で村を離れていたもんな」


「握手してもらってもいいかな?」


「わたしもお願いしたい!」


「俺はサインをもらいたいぜ。前に貰い損ねたからな」


「わ、私も!」


 村の広場に行くと、村人たちがザワつき始めた。

 みんな好意的な反応を見せている。

 ちょっと恥ずかしいな……。


「ライル様、こちらへ」


「ああ」


 俺はキーネやリリアと共に、老人の後についていく。

 しばらく歩き続けると、やや大きめの家へとたどり着いた。


「ここは……」


「私の家です。妻と娘夫婦、それに孫のミルカがおります。会いに行ってあげてくださいませ」


「わかった」


 元より、ミルカに会うためにこんな辺鄙な村までやって来たのだ。

 あいつは元気にしているだろうか。

 俺がミルカと別れたのは、いつ頃だったか……?

 よく覚えていないのだが、確か数か月ぐらい前だな。

 ヤンチャで素朴な村娘だった彼女が、どのような成長を見せているか見ものである。


「入らせてもらうぞ」


 S級スキル竜化を持つ俺が、たかが人族の家へ足を踏み入れるために畏まる必要は全くない。

 しかしそれはそれとして、一応は俺の関係者の家でもある。

 俺の可愛いミルカ。

 最初は『壊れてもいいオモチャ』として近くに置き、少しして『ペット』に昇格させた。

 今は……俺と同格などということはさすがにないが、ペットよりは上ぐらいだろうか。

 彼女との再会を楽しみにしつつ、俺は扉を開ける。

 すると、そこには――

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