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156話 弱肉強食

「はぁ……はぁ……。お、思い知ったか」


「クソぉ……人族めぇ……」


「ふん……」


 川で汚れを流した後、俺はレスティにお仕置きをした。

 彼女は屈辱に顔を歪めてこちらを見ている。

 まったく、手間をかけさせてくれたな。


「……でも、意外だった」


「あ?」


「これはこれで……気持ちが良かった。アタシや母さんの治療をしてくれたこともあるし……。アンタは意外に優しいのか?」


「……勘違いするなよ」


 俺は苦笑しつつ、口を開く。


「俺は俺のために行動しているだけだ。結果的にお前の利益になっていたとしても、それは偶然に過ぎない」


「へえ?」


「だから、俺が優しく見えるとしたら、それはたまたまということだ」


「ふーん……」


 レスティは興味深そうな目で、じっと俺の目を見る。

 そして、ニッと笑うと、


「ま、それでいいよ。アンタが利用したいなら好きなだけ利用すればいい。アタシら紅猫族は強者に惹かれる。毒で奇襲してきた卑怯者たちとアンタは違うみたいだし、別にいいさ」


 レスティは立ち上がると、俺の頬に触れてくる。

 その瞳には強い光が宿っていた。


「ただ覚えておけ。弱肉強食の世界では、力が全てだ。いつか必ず、アンタの強さを超えてみせるぜ? それまでせいぜい今の生活を満喫しておくんだな」


「……ふん」


 俺は鼻を鳴らす。

 奴隷風情が生意気なことを言う。

 もう一度お仕置きする必要があるか?

 だが、どうせ言っても聞かないだろう。

 とりあえず、即座に不利益な行動をするようなことだけはなさそうだし、今は放置しても構わないか。

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