13話 村から出立/ストレアへの道中
チュンチュン。
朝になった。
昨晩は例の少女と楽しんだ。
そして、適当に挨拶をして村を出立した。
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村を出立して、数日が経過した。
襲ってくる魔物たちを軽く討伐しつつ、足早に街へ向かっているところだ。
そしてーー。
「お? あれが目的の街じゃないか?」
「そのようじゃな。あれがここらで一番大きな街である”ストレア”じゃ」
リリアがそう言う。
確かに、かなり大きな街のようだ。
街の周りには、ぐるっと囲むように塀が設けられている。
あれで、魔物の侵入を防いでいるわけか。
俺たちが引き続き街へ向けて歩みを進めているときーー。
ヒヒーン!
ガラガラガラッ!
馬の鳴き声と、馬車の車輪の音が聞こえてきた。
俺とリリアの斜め後ろぐらいからだ。
何となく、慌ただしい気配を感じる。
「なんだ?」
俺は振り向き、様子をうかがう。
やはり馬車だ。
ずいぶんと飛ばしている。
御者の男は必死の形相で、馬を走らせている。
「むっ!? そ、そこの君たち! ここは危ないぞ! 後ろからゴブリンたちが……」
御者の男がそう言う。
俺とリリアは、馬車の後方を見る。
「ふむ……。確かに、ゴブリンどもの群れが追っているようじゃの。どうする? ライルよ」
「もちろん、蹴散らしてくるさ。見殺しにするのも後味が悪いし、このままだとどの道俺たちに標的を変更するかもしれないし」
俺は戦闘体勢を整える。
御者の男に声を掛ける。
「そのままここを突っ切れ。ゴブリンどもは俺が何とかしてやる」
「す、すまない。助かる! くれぐれも気をつけてくれ」
御者の男がそう言う。
そして、俺の言葉に従って俺の横をそのまま通り過ぎていった。
少しして、ゴブリンどもも追いついてきた。
「ギャウッ!」
「ゴアアッ!」
やつらが俺を威嚇してくる。
ゴブリンはD級の魔物だ。
ゴブリン1匹は、一般の成人男性1人と同じくらいの戦闘能力を持つ。
ゴブリン1匹を安全に討伐するには、一般の成人男性複数名か、D級の冒険者が必要となる。
10匹以上のゴブリンの群れを撃退するには、たくさんのD級冒険者か、C級冒険者が複数名必要だ。
ソロでゴブリンの群れを撃退するのは、基本的には難しい。
しかし、それはもちろん一般的な冒険者たちの常識であればだ。
俺はS級スキルの竜化を持つ。
A級のギガント・ボアですら俺は軽く蹴散らすことができる。
ゴブリンの群れごとき、敵ではない。
肉弾戦で戦っても一蹴できるだろうが、ゴブリンは不潔な魔物だ。
ここは、魔法で倒すことにしよう。




