表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

124/307

124話 酒

「ちっ! ここをどこだと思ってやがる! 術者を探して、ボコボコにしてやろうぜ!!」


「ちょっと待ってな。球体に触れて魔力の波長を覚えれば、術者の方角が分かることがある」


 ふぅむ。

 やはり、この男の知識は悪くない。

 末端のチンピラにしておくのはもったいないな。

 末端のチンピラのリーダー格ぐらいは務められるだろう。


(あ、いや、実際にそのリーダー格を務めているのか)


 この場を仕切っているのはこいつだし。

 だが、生兵法は大怪我のもと。

 半端な知識で手を出せば、痛い目に遭うぞ?


「どれ、この光魔法の術者は――って、ぎゃあああぁっ! 熱い、熱いいいいぃっ!!!」


 チンピラは悲鳴を上げて転げまわる。

 そりゃそうだろう。

 俺が作った【プロミネンス・ボール】は、超高密度の熱の塊だ。

 そんなものを素手で触ったら、火傷どころでは済まない。

 指どころか全身が燃え上がることになる。


 光魔法だと思い込んで触れたのが運の尽きだったな。

 こんなことになるのなら、中途半端な知識などない方が良かっただろう。


「て、てめえらっ! 俺を助けろっ! ああああぁっ!!!」


 チンピラが泣き叫ぶ。

 この『プロミネンス・ボール』は、触れた箇所を一瞬にして焼き尽くすほどの火力がある。

 だが、そこからの延焼は別だ。

 彼の指先はすでに灰になっているだろうが、そこから燃え広がった全身については一瞬で灰になるわけではない。


「ま、任せろっ!」


 チンピラの1人が、飲んでいた水をリーダー格の男に掛ける。

 だが、なぜか火の勢いは弱まらない。

 むしろ水をかけられたことで、炎の威力が上がったようにすら見えた。


「ああああぁっ! お前、それは酒じゃねえか! 馬鹿かあああぁっ!!!」


「はぁ? せっかく掛けてやったのに、その言い草は何だよ!!」


 火の温度や勢いにもよるが、水を掛ければ火は弱まる。

 しかしアルコール類を掛ければ、火は強まる。

 リーダー格の男はこれを知っていたが、その他のチンピラは知らなかったようだ。

 まぁ、スラムで生きる賊の末端構成員ならこの程度の知的水準か。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ