表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

123/307

123話 プロミネンス・ボール

「ふぅむ。縁もゆかりもない女奴隷とはいえ、さすがにまるごと殺すのは忍びないな。拠点を消し飛ばすのは止めておこう」


 上級魔法を使えば、これぐらいの拠点なら一撃で壊滅させることができる。

 アリで例えるなら、小型の爆弾を巣に突っ込んでまるごと爆発させるようなイメージだな。

 1匹1匹を踏み潰していくことに飽きた今、それを検討していたのだが。

 見ず知らずの奴隷とはいえ、さすがに賊どもと同じ扱いで殺すのは申し訳ない。


 それに、もしも助けられたら、アイシャやキーネあたりが俺への評価を改めるかもしれん。

 彼女たちはどうも、俺のことを鬼畜外道のように思っているフシがあるからな。

 ここらで、俺が聖人君子であるところを見せてやろう。


「じゃあ、どうしようか。どうやって攻めるべきか……」


 正面から押し入って暴れるのは、飽きた。

 まるごと壊滅させるのは、地下に女奴隷がいるので中止。

 となれば……。


「これでいいか。【プロミネンス・ボール】!」


 俺は右手を前に突き出す。

 その手から放たれたのは、炎による球体だ。

 バスケットボールよりも大きいそれは、ゆっくりとした速度で建物の方に進んでいく。

 そしてドアに触れたかと思うと、触れたところを一瞬で焼き払ってそのまま中に入った。


「よし。狙い通りだな」


 これは特殊な火魔法だ。

 熱を極限にまで圧縮しているため、少し離れたところにある木材などが燃えることはない。

 だが、球体に触れればそれに秘められた熱が一気に伝わり、物体を瞬間的に加熱し焼失させるのだ。


「こういう使い方は初めてだったが、上手くいったな」


 俺は自分のセンスの良さに感動しながら、焼け焦げたドアから中を覗く。

 そこには、事前に気配を探っていた通り、4人のチンピラがいた。

 突然の出来事に完全に固まり、立ち尽くしている。


「な、なんだこの球は!?」


「光ってやがるが、熱は感じねぇな……。探索系の光魔法の一種か?」


 チンピラとはいえ、最低限の観察眼を持つ奴はいたようだな。

 確かに、一見すれば害のない光魔法のようにも見えるだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ