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116話 猫獣人の少女レスティ

 ストレアの町のスラムにて――


「おい、次の仕入れはいつだ?」


「はっ、来週の予定でございます」


「分かった。それまで、そのガキどもは奴隷としてしっかりしつけておけ。それが終わったら、儂の前に連れてくるんだ」


「かしこまりました」


 奴隷商人が指示を出す。

 彼は、違法な奴隷商だ。

 奴隷に堕ちる理由は借金や犯罪などがある。

 また、征服地の住民を奴隷にすることもある。

 しかし、そこらの移民や孤児などを捕まえて奴隷に堕とすことは違法とされていた。


「くくく……。この町は帝都から遠い。こんなところまでは、わざわざ騎士団の連中も取り締まりには来ない。儂の天下だ」


 彼は笑みを浮かべながら、目の前の少女たちを眺める。

 彼女たちもまた、不法な手段で捕まえられた奴隷候補たちだ。

 以前ライルが実験していたように、魔道具の”奴隷の首輪”を用いて正式に奴隷に堕とすには、それなりの手順が必要だ。

 特に、戦闘能力の高い者や価値の高い者に対しては、逃亡や反抗を防ぐためにしっかりと奴隷の首輪を使うべきである。


 しかし一方で、大した力を持たない少女であればどうか?

 わざわざ高級な魔道具を用いる必要はない。

 物理的な首輪や足枷で脱走を防ぎつつ、虐待や拷問によって従順にさせることができる。


「よし。お前は儂が自ら可愛がってやろうではないか」


「くっ! アタシはお前なんかに屈しない! 殺すなら殺せ!!」


「威勢が良いなぁ」


 怯えながらも抵抗の意志を見せる猫獣人の少女に対し、商人は下卑た笑いを見せた。

 彼にとって、この反応こそ望むものなのだ。


「さぁ、服を脱げ。レスティちゃん?」


「汚らしい口でアタシの名前を呼ぶんじゃねぇ!」


「ふふふ。こういう女を屈服させるのが、たまらんのだよなぁ」


「ッ! 触るな、変態!! 死ねっ!!!」


「ほぉ。まだそんな口を利けるとは驚きだな。暴力で分からせてやってもよいが、ここは――」


 奴隷商が指を鳴らすと、部下がまた別の女性を連れてきた。


「うぅっ! レスティ……」


「なっ!? か、母さん!」


 連れて来られたのは、レスティの母親だった。

 手枷と足枷をはめられてしまっている。


「ど、どうして!? 無事に逃げられたんじゃ……」


「ごめんね、レスティ。罠にかけられて、私は捕まってしまったの」


「う、嘘……」


 レスティの顔が絶望に歪む。

 自分が殺されるだけなら、まだ覚悟はしていた。

 だが、母親までもが捕まってしまっているとは想像していなかったのだ。

 彼女の苦難は、まだまだ始まったばかりであった。

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