吃音改善訓練
吃音改善訓練
「言友会」は吃音者の全国規模の自助団体である。「香川言友会」が去年の4月に発足した。新聞社に勤めている男性が中心になっており、スタッフは四人だ。月に一回例会があり、年会費は三千円だ。
軽い吃音のある女性市会議員も、スタッフではないが参加している。特別ゲストとして吃音のある医師や言語療法士などが来ることもあるが、その人たちは一時的な参加だ。県内からも一、二回だけ参加する人が多いが、関係者は、リピーターを増やしたい、と言っている。
私は吃音についての短編小説「吃音を乗り越えて」を書いた。ホームページhttps://www.okumato.comにアップして公開している。
吃音に関する話の会に出ると、多くの吃音者の体験談や吃音を良くしていく方法などの話が聞け、かなり参考になる。自身の吃音をある程度改善していくことにもつながる。
吃音者の体験や本からヒントを得て、私の日課として二十分ほどの吃音改善訓練を午前中に行う。
最初に、体を伸ばしたり、腕を回したりの柔軟体操をする。そして舌を回したりして口の中を柔らかくする。
続いて、鏡を見ながら「バ・バ・バ・ア・ア・ア」と歯切れよく小さめの音を出す。次に五十音表の最初の方から少し大きめの声で区切りを付けて発音する。そして苦手な言葉の練習をする。
最後に中島みゆきなどの好きな歌を歌う。
日中は、他の人との会話を電話機などで録音して、それを聞いたりする。
「香川言友会」に恋人同士で来ていて、男性は吃音が無く女性だけ吃音が出るカップルがいた。二人だけだと吃音はほとんど出ないそうだ。しかし、人前では彼女は緊張してほとんどしゃべれない。彼は「精神的なものが大きい」と言っていた。
吃音には心理的な影響が大きくつきまとう。座禅やヨガなどをするのがいいと言う人がいる。鎌倉にある寺が二泊三日の座禅会をしている。それに参加したりしたが、痔になって座るのが苦痛になったのでやめた。ヨガも倉本会長の「香川ヨーガ同友会」を何年も続けたが、意欲が無くなってやめた。
発声練習は音だけをテンポよく出すものである。発語練習は朗読などのように声に抑揚を付けたりと、より実践的なものだ。私の吃音は健常者に近づけようというだけでなく、それ以上を目指してちょうどよくなるか、と考えたりする。
ある九州の吃音グループが、去年の夏に、吃音の体験談『吃音のある97人の体験談集』という同人誌を発刊した。【〈省く〉二十歳から七十代までの吃音のある人の体験談が九十七人分、掲載されている一人当たり原稿用紙三枚半から六枚だ。送料込みで二千円弱】私も吃音の体験談を書いて次回の募集に加わりたい。
「人間を上下関係で見て、スポーツや仕事など、全てを勝ち負けで考えている人が多い」
と言語療法士が話していた。吃音者同士が集まると、どうしても自分の吃音と他人の様子を比べて優劣をつけるようになる。
軽い吃音がある医師が、吃音がある小学生とその親に、テレビで言い聞かせていた。
「吃音が早く良くなる人は他人が良くなっていくのを妬まずに、自分のことのように喜べる人です。周りの人を仲間だと思い、愛情を注げるように変わっていけばいい」
頭では分かっても、実際に、そのように思い続けるのは私にとっては難しい。
(自分だけでも早く吃音がマシになりたい)と思ってしまう。吃音があると消極的になり発言を控えることがある。性格が少し悪くなっているのだろうかと考え込んでしまう。
吃音改善にしろ、何事も良くしていくのは少しずつしか進まないが、たゆまず続けていこうと毎日の改善訓練に励んでいる。
2021/5/12