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悪役令嬢の逆襲~バッドエンドからのスタート  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


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第29日目 『アルハール砂漠』での戦闘 ②

 今私達は『アルハール砂漠』のアリジゴクの巣があると言われる地点を目指し、ラクダに乗って進んでいる。


それにしても暑い・・・・。何て暑さなのだろう。どうせここはバーチャルゲームの世界なのだから、何も暑さまでは体感させる必要性があるのだろうか?

思わずこのゲームを作った「アースプロダクツエンターテイメント」の会社を恨みたくなってしまう・・・・。というか、このゲームって確か恋愛乙女ゲームの世界だよね?なのに最近は恋愛うんぬんよりもウィルス駆除ばかリさせられている気がする。

ダンゴムシの駆除も最悪だったが・・・今にして思えば一番最悪だったのはやはりあの水クラゲのウィルス駆除だったのでは無いだろうか?

だっていまだにあの時の戦い?が夢に出てうなされる位なのだから・・・。


ああ・・・それにしても暑い・・・。くらくらする・・・。


その時、私の背後に座っているエリオットが声を掛けてきた。


「大丈夫か?エリス。何だかさっきから頭がカクカク動いているぞ?ひょっとして暑いのか?」


「ええ?!エリオット様は・・・暑くないのですか?!」


驚きだっ!


「ああ・・・別に暑くは無いが・・っといけない!す、すまなかったエリスッ!」


何故かエリオットが背後で焦った様子を見せている。


「・・?どうされましたか?」


「い、いや・・・本当にすまなかった。考えてみればエリス・・お前は魔法をつかえなかったんだよな?待っていろ、今涼しくしてやるから・・・。」


すると突然エリオットが背後から私を抱きしめてきた。

え・・・?!ちょ、ちょっと・・何を・・・ん・・・?


「あれ・・?何だか涼しくなってきましたよ?」


「ああ。今お前にも冷気の魔法をかけているから涼しくなってきたんだ。・・・・。エリス、すまなかった・・・。」


何故か申し訳なさそうに言うエリオット。


「?何故ですか?今、こうして私の事も冷やして下さっているじゃないですか。お気遣いありがとうございます。」


背後にいるエリオットに礼を言うと、何故かますますエリオットは恐縮したように俯く気配を感じた。


「い、いや・・・何故俺がお前と同じラクダに乗る事になったのか・・・肝心な事を忘れていたんだ。俺が魔法を得意としているのは知ってるだろう?」


「はい、勿論です。『白銀のナイト』達の中では一番の魔法の使い手ですよね?」


「ああ。それで、俺しか他人にも冷気の魔法をかけてやることが出来ない。」


ふ~ん・・・。


「他の連中は勿論自分自身に今も冷気の魔法をかけている。だから・・・見て見ろ。全員涼し気な顔をしてラクダに乗っているだろう?」


エリオットに言われても全員ターバンで頭を隠して、フード付きのマントを被っているので表情なんかみえないんですけど・・・めんどくさいのでここはエリオットに話を合わせておこう。


「はい、そうですね。」


「つまり・・・あいつらはどんな暑さでも平気なわけだ。そして俺も。」


「はあ・・・成程。」


「そして俺は・・お前にも冷気の魔法をかけてやることが出来るのに・・・うっかり忘れていた。」


「はあっ?!」


な・・何いっ?!

砂漠を出発してかれこれ1時間経過するんですけど?!大体砂漠は午後1時を過ぎると物凄く暑くなるって言ってたよね?なのに実際彼等は冷気の魔法を使っていたから何時に出発しようが関係無かったという事でしょう?それなら・・・急いで砂漠に来る事も無く・・・私は朝ご飯を・・・食べ・・・。


そこで私の意識はブラックアウトしてしまった―。




「・・リス・・・エリス・・・。」


う~ん・・・誰かが私を呼んでいるような・・・。そしてパチリと目を開け・・・・

10個の目が私を見下ろしていた—。


「キャアアアアアンッ!!」


砂漠に私の悲鳴が響き渡る—。




「どう?少しは落ち着いた?エリス?」


アドニスが水筒を渡しながら声を掛けてきた。


「は、はい・・・ちょっと驚きましたけど・・・もう大丈夫です。」


「ま・・・全く、相変わらずエリスは・・・何て悲鳴をあげるんだよっ!」


アベルが頬を染めながら私に言う。


「しかし・・・驚いたよ。突然エリオットが大声で騒ぐから。」


アンディはチラリとエリオットを見ながら言う。


「エリス・・・本当にすまなかった!」


エリオットは先ほどからずっと私に土下座を繰り返している。


「ま、まあ・・・偶然近くにオアシスがあって良かったじゃないか。」


ジェフリーが笑顔で言った。


そう、今私達がいるのは砂漠のオアシス。

どうもエリオットの話によると、あの直後私は意識を失ってしまったらしい。

そこで慌てたエリオットが全員に声をかけ、オアシスが無いか探したところ、偶然近くにオアシスが見つかったそうだ。

そこで私を連れてオアシスにやってきて・・・私は意識を取り戻した。


「全く・・・エリオットはしっかりしているくせに何処か抜けてるんだよな?」


アンディは苦笑しながら言った。


「本当に・・・すまなかった。今まで誰かと一緒にラクダに乗って砂漠を進んだ事が無かったから・・・つい・・。」


エリオットがあまりにも落ち込んでいるので、流石の私も気の毒に思えてきたので言った。


「もうあまり気にしないで下さい。私がもっと早く暑いと訴えていれば良かったのですから。でも皆さん、モンスター討伐に向かう途中なのに、私の事でご迷惑をお掛けして、オアシスまで寄り道をさせてしまって、申し訳ございませんでした。」


そして頭を下げ、再び顔を上げた私はギョッとしてしまった。

何とその場にいた全員の好感度が450になっていたのだっ!

う・・嘘でしょうっ?!学園に残っているフレッドとエディはまだ好感度が300のはず・・!こ、これでは・・好感度のバランスが悪すぎるっ!

私はまたしてもやらかしてしまった。

これは非常にまずい・・・こ、これ位以上好感度を上げてしまうような台詞は控えなければ・・・ゲ・ゲームオーバーになってしまうかも・・・。


 一方の彼等は突然私の顔色が青ざめたのを見て、再び具合が悪くなってしまったのでは無いかと心配し始めた。


「エリス?大丈夫か?もう今日はこれ以上先に進むのはやめて、このオアシスでテントを張って休まないか?」


エリオットが心配そうに声を掛けて来る。


「うん。それがいいと思うな、僕も。」


アドニスもエリオットの意見に賛同した。


「うん、そうそう。ちょっとぐらいモンスター討伐に時間がかかってもいいよ。何せ今のところ家畜にしか被害は及んでいないからね。人はまだ無事だし。」


さり気なくジェフリーが恐ろしい事をさらりと言う。


「よし、それじゃ決まりだな?」


アンディが立ち上った。


え?何が決まりなの?


「エリスはこのオアシスで休んでいろよ。俺達はこれからテントを張るからさ。」


アベルが私の肩にポンと手を置くと言った。


「皆さんがここで休んでも構わないと仰るのであれば・・・その方が私も助かります。お気遣い、ありがとうございます。」


私は全員に頭を下げた。


そして、今夜はこのオアシスにテントを張って野宿をする事になったのであった—。


その後『白銀のナイト』達は私個人用のテントと自分達用の大型テントを張った後、皆で非常食を分け合い、明日の予定について話し合いをして私は1人で小型テントに寝る事となった。


「それでは皆さん。お休みなさい。」


「エリス、砂漠の夜は冷えるからちゃんと毛布を掛けて寝るんだよ?」


まるでお母さんのような台詞を言うアドニス。


「エリス、1人でテントに寝かせるのは心配だから、俺が一緒に寝てやろうか?」


何やらアベルが言っているが・・・・。


「「「「それは駄目だっ!」」」」


全員から釘を刺されていた。



そして私は1人、テントに潜り込み・・・その夜事件が起こった―。



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