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悪役令嬢の逆襲~バッドエンドからのスタート  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


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第21日目 海辺の町の攻防 後編

「あれ?ニコルさんも一緒に洞窟に入るのですか?」


何故か一緒にくっついてくるニコルに尋ねた。


「あ、ああ・・・。あ、当たり前だ・・・。エリスを守るのは・・お、俺の役目だから・・。」


エリオットが放った光の魔法で、うっすらと照らし出された洞窟内。その薄暗い中でもはっきりと分かるくらい、ニコルの顔は青ざめている。しかも足はガクガク震え、手足は同時に動いているし・・・。


「あの・・・私なら白銀のナイト様達が一緒なので大丈夫ですよ?それに私には必殺技もありますから。」


「い、いや。女のエリスがモンスター退治に向かうのに、ここで男の俺が引くわけには・・・。」


しかし、私とニコルの会話を聞いていたのか、一番好感度の高いアドニスが口を開いた。


「ねえ、戦えない人は洞窟の中に入って来ないでくれるかな?むしろ足手まといになるだけなんだけど・・・?」


「う!で・でもエリスが心配で・・・。」


「僕は君の方が心配だけどね。足は震えているし・・武器すら持っていない。君、戦えないだろう?エリスが心配って言ってたけど・・僕達が信頼出来ないの?それにむしろ君の方が心配だよ。僕達の足手まといになりそうで。」


あ~あ・・・ついに言っちゃたよ・・・。アドニス・・。だけど彼の言う事も当然だ。だって、実際モンスター?が現れたら、ニコルは腰を抜かしてしまうかもしれない。エディにエリオットも迷惑そうな顔してるし・・。仕方ない、ここは私が説得するか。


「ニコルさん。モンスター討伐は白銀のナイト様達が倒すので、ニコルさんは外で見張りをしていて頂けませんか?」


「え?見張り?」


「はい。誰かが洞窟に入り込まないように入り口の外で待機して注意を促してください。」


「ああ、そうだな。ベネットの言う通りだ。それがいい。」


エリオットが言い、エディも頷く。


「わ・・・分かりました。」


あ〜あ・・・何だか落ち込ませてしまったかもしれない。余計な事言ってしまったかな・・・?


「お願いしますね。頼りにしてますから。」

ニコルを元気付ける為に笑顔で私は言うと、途端にニコルは明るい表情を見せた。


「わ、分かった!エリス、俺頑張るよ。」


そう言うと、元気よく手を降ってニコルは洞窟を後にした。彼を見送るとアドニスが言った。


「ねえ、エリス。さっきの男と仲がいいの?」


「そうですね。同じ従業員なので仲はいいと思いますよ?」


「ふ~ん。そう・・・。」


それだけ言うとアドニスはクルリと背を向けて、洞窟の奥へと歩いていく。

アドニスの次に私、エディ、エリオットの並び順で私達は辺りを警戒しながら歩き・・・突如天井からピチョンと冷たい何かが頭の上に垂れてきた。


「?」

頭に手をやり、何気なく上を見上げ・・・・。


「キャアアアアアアアッ!!」


思わず絶叫する私。その叫び声は洞窟内に響き渡り、大きく反響してこだまする。


「ウワアアッ!!」


アドニスは耳を押さえる。


「ば、馬鹿ッ!大声で叫ぶなッ!!」


エリオットも耳を塞いで文句を言う。


「何だ?!何があった?!」


エディは天井をみあげ・・・目を見開いた。


そこには天井に無数の巨大クラゲが空中に浮かんでいる姿があった。


「あ~んっ!!クラゲ・クラゲの雫がああああっ!あ、頭にいいいいっ!イヤアアアアンッ!!」


両手を頭の上に乗せ、気付けば私は身悶え?し、妙に色気のある声をあげて叫んでいたようで・・・気付けば何故か男性陣が私の方を頬を染めて見つめている。


「な・何みてるんですかあ?!は・早くあのクラゲを倒してくださいよっ!!」


半分涙目になって彼等に訴える私。クラゲなんて小さければ可愛いらしいが、それが体長2mも超えると、怖いを通り越して、気持ち悪い。その気持ち悪いクラゲが私達の頭上をぷかぷかと天井を埋め尽くすほどにうかんでいるのである。しかも水のようなものを滴らせながら・・・。


それが頭につくなんて!


「きゃああっ!いやああんっ!」


私はすっかりパニックを起こし、手近にいたエディにギュウギュウにしがみ付く。


「ば、馬鹿っ!ベネット!は・・離れろっ!む・・・胸が当たってるっ!!」


エディが喚くが、冗談じゃない!エディの身体を盾に?して自分の身体に気色悪い雫が垂れるのを防がなくては!


「チッ!!」


アドニスが剣に魔力を注ぎ込む姿が目に入る。そしてその剣を天井向けて薙ぎ払うと、途端にクラゲたちが真っ二つになり、ボトボトと落下してゆく。

その気持ちの悪い事。


「イヤアアアアンッ!!気持ち悪いっ!やめてえええっ!!」


私の叫び声にナイト3人は身体が硬直したかのようにピタリと止まる。


「お、落ち着けっ!ベネットッ!!」


エディに何度も声をかけられようやくパニック状態から徐々に落ち着きを取り戻してきて、初めて私はエディの首に腕を巻き付けてしがみついている事に気が付いた。


「あ!す、すみませんっ!すみませんっ!」


急いで何度もペコペコと頭を下げてエディに謝る。


「い、いや・・・で、でも・・少しは落ち着いたようだな・・・?」


顔を赤く染めたエディがコホンと咳払いする。

その時・・・真っ二つにされたはずのクラゲたちが床の上でうねうねと動き出す姿を見てしまった!


「イヤアアアアンッ!!う、動いてるっ!動いてるーっ!!」


無意識のうちにまたしても色気?を含む叫び声で今度は隣に立っていたエリオットに飛びつく。


「イヤッ!イヤッ!やめてっ!こっちに来ないでッ!」


ウウっ!気持ち悪いっ気持ち悪いっ!

涙目になってエリオットにしがみついているとエリオットが狼狽した声をあげる。


「た、頼むからエリスッ!お、落ち着いてくれッ!」


がっしりエリオットをホールドしながら気付けば、思わず顔をエリオットの身体にこすり付けていた。


「ぐっ・・・!エ・エリス。離れてくれなければ・・・攻撃できない!」


その言葉にようやく気付いた私は涙目になりながらエリオットから素早く離れる。

すると彼は得意の魔法を右手から繰り出し、一気にクラゲを焼き払った。

ジュウジュウと水蒸気の立ち込める煙と海水の匂いが辺り一面に充満する。

私はその場にへたり込んでクラゲたちが消えていくのを見つめていた・・・。



「エリス、エリス。大丈夫だった?」


気付けば、私はアドニスに肩を叩かれている。


「・・・・・ハッ!」

暫くボーッとしていたようで、見上げるとアドニス、エディ、エリオットが私の事をじっと見降ろしていた。


「あ・・・。」

そしてガバッと頭を下げた。

「すみませんすみませんすみませんっ!皆さんの・・あ、足を引っ張ってしまって・・・!あ、あんなにも気持ち悪い生き物だとは思ってもいなかったんです・・・。」


涙目で彼等を見上げる。



「「「・・・・。」」」


すると何故か全員が頬を染めて私を見下ろしている。


「あの・・?」


「あ、い・いや!うん。誰だってあんなクラゲを見たらパニックを起こすだろう。気にするな。」


エリオットが咳払いする。


「そうそう、あれじゃ女の子には刺激が強すぎるよ。」


アドニスが私の頭を撫でる。


「ああ。そうだ、気にするな。」


エディ迄何故か笑みを浮かべて私を見つめる。え・・・?何故だ?普通なら、この足手まといめっ!とか何とか言って、怒鳴られる所だけど・・・。


「あの・・・皆さん・・私の事・・・怒らないんですか?」


「「「怒るはず無いだろう?!」」」


綺麗に声を揃える3人。

そうか~。怒らないって言う事は・・・大分私達の間に信頼関係が築けて来たって事・・・なのかな?


「どう?エリス・・・。まだこの先奥に続いているみたいだけど、行けそう?」


アドニスが手を差し伸べてきた。


「は、はい・・・何とか行けるかも・・です。」


アドニスの手を取ろうとした時・・・何故かサッとエリオットに手を取られる。


「レーン様?」


「よし、エリス。俺の手を取れ。お前を守ってやるから安心しろ。」


エリオットが妙に優し気な声で私に微笑む。


「エリオットッ!何するんだよ?!」


抗議の声を上げるアドニス。


「いや、一番冷静な分析が出来る私がエリスを守るのに適しているはずだ。」


そしてエディ迄もが言う。


「「「何だって・・・?!」」」


何故か火花を散らす様に激しく睨み合う3人。



「あ、あの!皆さん!喧嘩はやめましょうよ!!そんな事してる場合では・・・。」


しかし、誰もが私の話に耳を貸さずに口論を始めた。



「大体・・・エディ。お前はいつも俺達の後方にいて、戦い方の指図ばかりして楽してたよな?」


エリオットがエディを睨み付ける。


「フン、当然だろう?私はお前達のブレーンなんだからな。」


眼鏡を上に上げながらエディは言う。


「そういうエリオットだって、遠距離の魔法攻撃ばかりで、接近戦の僕たちよりは楽していたよねえ?君もやってる事はエディと変わらないよ。」


「「何だと・・・?!」」


それを皮切りに3人の激しい口論が始まった。

え?白銀のナイト達って・・・実はすごく仲が悪かったの?ゲーム中ではお互いに全員力を合わせて戦ってきたのに・・・?!


「ねえ、やめてくださいってばっ!どうして喧嘩を始めるんですか?!」


必死で呼びかけても誰も私の言葉に耳を傾けてくれない。うう・・・誰も話を聞いてくれない。これも私が人脈の無い「嫌われエリス」だからだろうか?


溜息をついた時・・・背後で何か大きなものが動いた気配を感じ、私は恐る恐る振り向いた・・・・・。


するとそこには洞窟一杯に埋め尽くすほどの超巨大なクラゲが私を見ろしていて?いた。

ま・・間違いない・・・。あの丸みを帯びたフォルム・・・色合い・・・あれは間違いなく・・・エチゼンクラゲの突然変異だ!!


エチゼンクラゲはユラユラ揺らめきながら、こちらへ近付いてくる・・・・。



「イヤアアアアアアンッ!!こっちに来ないでえええっ!!」


私は無意識に叫んだ。


「害虫駆除っ!!」


すると、私の右手には光り輝く魔法の杖が!


そして私は叫ぶ。


「神の裁きっ!!」


その途端、激しい雷鳴がとどろき、何処からともなく巨大な稲妻がエチゼンクラゲの身体に降り注ぎ・・・ジュッと言う音と共にエチゼンクラゲは一瞬で消滅する。


「ハア・・・ハア・・・。」


肩で荒い息を吐きがらナイト達を振り返ると・・・再び、顔を真っ赤にした3人が私を見つめているのだった。




 結局、その後・・・洞窟の一番奥まで行ってみたがクラゲの大群はいなかった。

私達は全駆除に成功したらしい。

4人でもと来た道を引き返すものの、何故か3人供、一言も言葉を発しない。



「あ、ニコルさんっ!」


出口付近にはニコルが心配そうな顔でこちらを見て立っていたが、私の姿を見ると笑顔になった。


「エリスっ!無事だったんだな?!」


ニコルが嬉しそうに駆け寄って来ると・・・サッと彼の前に立ち塞がる3人のナイト達。


「水クラゲの駆除は終わったので、我々はエリスを連れて帰るからな。」


エリオットが言う。


「え?そうなんですか?折角観光案内してあげようと思っていたのに・・・。」


ニコルが残念そうに言う。


「ええ?本当ですか?ニコルさん。」


思わず笑顔で答えるが、アドニスに釘を刺された。


「駄目だよ、エリス。君は疲れているだろう?」


「ああ、そうだ。今日はもう帰って休んだ方がいい。」


エディ迄もが言う。


そして私の意思は完璧に無視され、寮まで帰る事になってしまったのだった。


ああ・・名物のタコ煎餅を食べてみたかった―。

この時の私は、アドニス・エディ・エリオットの好感度を全く気にしていなかったのである—。





『お疲れ様でした。21日目が無事終了致しました。メイン攻略対象全員の好感度の基準を無事クリア致しました。おめでとうございます。ヒロインにご注意下さい。』


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