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第36日目 7人の眠れるイケメンと1人の美少年

「ああっ!やっと俺よりも強いメスに巡り合えた!お前こそ俺の番にぴったりだっ!」


青い髪のイケメンは私を羽交い絞めにしてギュウギュウに抱きしめて来る。

ミシッミシッ・・・

私の骨が軋む音が聞こえてきた。


「た・・助け・・・し、死ぬ・・・。」


ううう〜っ!!い、息が苦しくて出来ないっ!このままでは・・し、絞め殺されるっ!


必死でもがいて手に先程自分が使っていた杖が右手に触れた。幸い杖の先っちょはとんがっている。よ・よし・・こ、これで・・・。


「エイッ!」


何とか声を振り絞り、私は杖を握りしめるとイケメン男にぶっ刺した。


ブスッ!


「い・・・いって〜ッ!!!」


イケメン男は私をパッと手放すと、大袈裟な位にわき腹を押さえて痛がり、転げまわっている。


「ぐあおああ・・・っ!」


おかしいなあ・・・?それ程強く刺した覚えはないのだけど・・?あまりにも長い間悶絶しているので、私は恐る恐る声を掛けた。


「あ・・・あの・・・だ、大丈夫ですか・・・?」


「お・お・お・お前なあ・・・っ!」


イケメンさんは涙目になって私を見つめ・・・・すると驚いた事にイケメンさんの身が突如光り輝いた。


「う、うわっ!ま・眩しい・・・っ!」


思わずギュッと目を閉じ・・・やがて光が収まったので恐る恐る目を開けて見ると、何とそこにはとんでもない美少年が転げまわっているのである。


「ね、ねえっ!僕・・・大丈夫?」


慌てて声を掛けると美少年はようやく落ち着いたのか、立ち上がって私を見上げると言った。


「お、おまえ・・・!踏みつぶされたいかっ!」


美少年は私をビシイッと指さしながら抗議してくる。


「え?踏みつぶす?いやいや、それは幾ら何でも無理でしょう〜・・・。そんな小さな身体で・・ねえ?」


私は手をパタパタ振りながら美少年を見た。


う〜ん・・・それにしても可愛すぎる・・・。10歳くらいだろうか?私はショタコンでは無いが、美少年は大好きだ。


「な・・何だよ・・・お前のその目つき・・・何だか怖いぞ・・?」


美少年が引き気味に私を見た。うう・・・もうたまらんっ!


「な・・・な〜んて可愛いのおっ!」


思わず自分の胸にムギュッ!と強く抱きしめると、途端に美少年は顔が真っ赤になる。


「お・お・おまえ・・・!な、何するんだよっ!」


必死で私の腕の中で暴れるが、その姿すら可愛らしい。


「う〜ん・・・まさに天使みたいっ!」


思わず美少年の頬に頬擦りする私。


「うわあああーっ!」


美少年はますます真っ赤になり・・・コテンと気を失ってしまった―。




「う〜ん・・・。」


膝枕していた少年が薄っすら目を開ける。


「あ?目が覚めた?」


上から少年の顔を見下ろした。


「ウ・・ウワアッ!」


美少年は再び叫び、ガバッと起き上がるとザザザッ!と後ずさった。


「な。な。お前・・・俺が気を失っている時に・・何かしたか?」


「・・・・別に。何もしてないよ?」


嘘です、この少年の頬をペトペト触ってしまいました。


「おいぃっ!何だよっ!今の間は・・・こ、怖いんだよっ!」


美少年は私をビシイッと指さしながら涙目になっている。


「まあまあ。細かい事はおいといて・・・それより、僕?僕は一体何処からやって来たの?お父さんかお母さんは?」


すると美少年は腕組みしながら言う。


「はあ?何だよ、俺には親なんかいないぞ?ずっと1人だ。」


「えええっ?!ま、まだそんなに小さい子供なのに・・・?!」


なんて可哀そうな美少年なのだろう・・・。私が学園に連れて帰って面倒みてあげたい位だ。


「何だよ・・・何でそんな同情したような目で俺を見るんだよ・・・?」


「可哀そうに・・・ご両親がいないんだね?・・・ねえ。お姉さんと一緒に来る?私にはベソとノッポという仲間がいるんだけど、きっと彼等なら貴方を受け入れて一緒に暮らしてくれるよ。」


美少年の両手を握りしめなら私は言った。頭の中では私に文句を言うベソとノッポの姿が思い浮かんだが、そんな光景は頭を振って打ち消した。


「はあ?お前・・・何言ってるんだよ・・・・。そんな事出来るはず無いだろう?俺はここの主なんだから。」


美少年は胡坐をかくと言った。


「え?主?誰が?」


「だから!俺が主なんだよっ!ここでずっと大人しく暮らしていたのに・・・突然あいつらが襲ってきて・・・。」


そしてチラリと美少年が振り向いた先には完全に伸びて地面で倒れている『白銀のナイト』達の姿がある。


「全く・・・俺は平和主義だって言うのにあいつ等問答無用で襲ってきて・・・だからあいつ等には悪いが全員・・・。」


「こ・・・殺したの・・・?」


若干声を震わせながら私は尋ねた。


「殺しちゃいねーよっ!ちょっとドラゴンの息を吐いて全員眠らせてやったんだよっ!」


「ま・・・まさか・・永遠の眠りに・・・?!」


思わずガバッと立ち上がると美少年は頭を抱えながら喚いた。


「だーかーらーっ!!殺していないって言ってるだろう?!後30分もすれば全員目が覚めるだろう?ついでに俺に関する記憶も消し去ったからな。俺はここで次元を切り離して1人300年間ずっと暮らしていたんだ。それなのに・・突然次元に切れ目が出来て・・妙な女が現れて・・・そこから先は覚えていない。気が付いたら奴らが目の前にいて・・俺を攻撃してくるから反撃してやっただけさ。」


私は目の前の美少年を見て顔色が青ざめていくのが分かった。


「え・・・?そ、それじゃ・・もしや・・僕は・・・ドラゴンなの?」


「僕って言うなぁっ!!」


喚く美少年。


「まあまあ、落ち着いて。はい、それじゃお名前は?」


「どうも馬鹿にされてる気がするな・・・。まあいいか。俺の名前は『アスピダ』って言うんだ。」


「ふ〜ん・・・『アスピダ』ねえ・・・いい名前じゃないの。でも何処かで聞いた事がある気がするなあ・・・?」


アスピダ・・・アスピダ・・・。う〜ん・・・駄目だ、今はちっとも思い出せない。

も、もしや・・・?


「ねえ・・・アスピダ。私にも・・・私の記憶も消した?」


「は?そんな事してないぞ?あ・・でも俺の残り香にあてられた可能性もあるかもしれないなあ・・・。」


「ふ〜ん・・・そう。で、聞きたい事があるのだけど・・・アスピダ。貴方青い髪のイケメンさん・・・知ってる?」


「うん?青い髪のイケメン・・・?」


「うん、そうなのよ。地面に倒れていたから声を掛けたらいきなり抱きしめられて、それで苦しさのあまり、つい持っていた杖でブスリと指したら・・・暴れ出して今度はアスピダが現れたんだよ?」



「な・・・何だって・・・?そ、それじゃ・・・お前がやったのかあっ?!くそっ!青年体になった時の記憶が無いって本当に・・何て不便なんだっ!」


アスピダは悔しそうに地団太を踏む。


「お・・・お前が俺の逆鱗を傷つけたんだなっ!だ、だから・・・力が出ないんだ・・・・。」


途端にアスピダはふにゃふにゃと床に崩れ落ちてしまった。


「ええっ?!ちょ、ちょっと大丈夫なのっ?!」


アスピダを抱き起し、必死で揺さぶる。


「お・・・おい・・た、頼むから揺さぶるな・・・。い、いいか・・?お前のせいで俺は力が出なくなってしまった・・。よし、決めた・・・!俺の怪我が治るまでお前の側から離れないぞ・・?お前の住む場所へ俺も連れて・・行け・・・。」


そしてアスピダはそのまま眠りについてしまった。


「え・・?ちょ、ちょっと・・・。」


私は辺りを見渡した。


周囲には白銀のナイト達が気持ちよさげに眠ってる。そして私の腕の中にも究極?の美少年が眠っている。


眠れる7人の美青年と1人の美少年のお荷物を抱えてしまった私は途方に暮れるのだった—。

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