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魔術学院のクレナイ魔術師  作者: 芦屋 和希
第一章 クレナイの兆し
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第一章11話 二人分の涙

「(先生達は、まだなの……っ!?)」


 掠めただけで肌を切り裂かれる魔女の竜巻を避けながら、優華の思考は援軍が来ないことに苛立ちを感じていた。思考に囚われていた束の間にヒュウンッ、としぼむような音と共に魔女の竜巻が引き絞められ、鞭のように振るわれる。


「あ、ぐ…っ!」


 左足を掠めた風の鞭が肉を抉って血が溢れ出し、反射的に地面を踏みつけると盛大な砂煙が巻き起こった。隠れ蓑にして後方へと下がった優華は肩で息をしながら煙の向こうにいる魔女を見つめる。

 何よりも厄介なのはあの風の力だ。術式を使った気配もなく、当たり前のように操る風の暴力は自由自在に形を変えて襲ってくる。神楽達が言っていたように、本当にゼピュロスの加護を持っているのだろう。


「あら、どうしたのかしら?速度が落ちてるみたいだけれど……若いのだからもっと頑張らないと駄目よ」


 悠長に回り込んでくる魔女に歯噛みして、一瞬だけ視線を左右に散らす。遮蔽物は一切無く、逃げるにしても茨のドームで出入口は全て潰されているから室内に入れば袋の鼠だ。

 思考が走る。重症のウィルは端の方で寝ているが、放っておけば出血で死に至る。唯一の逃げ道は遥か上、訓練場の真上が開けているが飛ぶ能力なんてものはない。そもそも魔女に撃墜されるだろう。


「……えっ」


「……ぃぃぃぃぃぃいいいやあああああああっ!?」


 そう思ってふと上を見上げればキラリと光る星が見えた。否、徐々に近付いて来る悲鳴がその星を人間だと判断させてくれる。赤い髪、頭に小さな竜を乗せた見知った青年がぽっかりと空いた訓練場の上空から降ってきていたのだ。

 ドゴンッ!と痛ましい音が響いて、思わぬ登場に開いた口が塞がらない。


「げほ、おっほ……ぺっぺっ!くっそ、口ん中が砂だらけだ…」


「あっはっは、格好良いこと言っといて飛び出したのに、茨で立ち往生して結局戻ってきた時のゼピュロスの顔見たか?お兄さん腹が捻じ切れそうだよぷくく…」


「あちしは恥ずかしいギャ……」


「うっせぇ!こんな事になってるなら最初から頼んでたっつーの!」


 緊張感のカケラもない二人のやり取りに、敵である魔女は警戒心を露わに眉を顰める。その僅かな隙にニヤリと笑みを零した男がいた。

 神楽が右手を地面に叩き付けると、連鎖反応のように地面が沸き立ち巨大な三枚の土壁がソラ達を覆い隠すようにそびえ立つ。


「さぁて、ほんの少しの作戦タイムだ。御剣(みつるぎ)ちゃん、()()()()()()()()


 首を傾げるソラを尻目に、目端で捉えた優華は屈辱そうに目を逸らしてポツリと呟いた。


「……せいぜい、あと二回ってとことね。私は慈悲で使()()()()()()()()()()だから」


「……へぇ。それじゃあ寮長の回収と撤退は御剣(みつるぎ)ちゃんにお任せするかね。お兄さんと赤いのはあの魔女の足止めだ」


「茨はどうするつもりよ。言っておくけど、私は纏えるだけで操ることは……」


「外で待機してる色ボケ神様がなんとかしてくれると思うぜ……っと、そろそろタイムアップだ」


 ドンッ!と破裂する音が鼓膜を揺るがした。三枚の分厚い壁が跡形も無く消し飛び、二人を両脇に抱えた神楽が遥か後方で砂煙の先を見据えながら、抱えた二人をポイッと捨てる。

 砂煙の先、嫌悪に顔を染めた魔女が神楽の視線を真っ向から睨み返す。


「あぁ、イヤになる……これだから土属性は嫌いなのよ。土くれと埃にまみれた汚い香り、特にあなたは()()()()()()がするわ」


「え、マジで?ちゃんと風呂入ってるし良い香水使ってるんだけどお兄さんそんなに臭い?なぁなぁ赤いの、そんなに匂う?」


「なんかヤンキーが好きそうな匂いはするけどそこまでじゃ……ってオイ!来てんぞ!」


 三人が一斉に飛び退くと放たれた竜巻が地面を叩き割った。ボッ!と砂煙を突っ切って走り出したソラは弧を描くように魔女へと迫り、ムートが空高く飛び上がると火球が魔女へと降り注ぐ。


「なんの冗談かしら?」


 素手で火球を叩き落とした魔女は向かってくるソラに視線を飛ばす。

 赤髪の男からは一切の魔力を感じない。魔術を使う素振りもない、魔力も視えていないなど魔術学院に居てはいけないほどの出来損ないだ。そんな男が、数百年を生き、魔力を蓄え続けた魔女に正面から挑むというのだから冗談にしか見えない。


「……正直、今だけは赤いのが羨ましいぜ。コレが視えないんだからな」


 そう呟いた神楽の目には信じられないモノが映っていた。神楽から見た魔女の魔力は、ゆらゆらと風のように訓練場全体にまで広がっていた。内包している魔力が溢れ出してそこまで広がっているのだ、戦力の差は圧倒的だと一目で分かる。

 頬を流れる冷や汗を無視して、神楽は挟撃するようにソラとは反対側から回り込んでいく。


「うふふ……拙くて可愛い連携ね」


「その顔で可愛いとか言うなよ、お兄さんキュンとしちゃう」


 竜巻が神楽に放たれ、スライディングで地面を擦りながら滑ると土壁が生成されていく。生成したそばから竜巻に吹き飛ばされていく壁に舌打ちを吐き捨て、地面を強く踏み付けて旋回する。


「うぉおおおおおおおッ!!」


「あなたのような出来損ないに用はないの、黙ってなさい」


 ボゴッ!と地面を割って茨が突出した。振りかぶった拳を慌てて引き戻したソラに追撃の茨が襲い、咄嗟に防御に回した両腕が引き裂かれる。次いで沸騰した水のように沸き立つ地面に危機感を駆り立てられ、飛び退けば茨が鞭のように暴れまわり、一気に距離を離されてしまう。


「くっそ……!ムート!」


「分かってるギャ!」


 小さな羽を羽ばたかせてムートが最大威力の火球を放つも、目の前の茨は表面を焦がして終わる。焼かれた事に苛立ったのか、茨は余計に暴れまわり地面を叩いて砕き、荒れ狂い始めた。


「なんだこれ、植物なのに燃えねぇのかよ!?」


「魔界の茨ギャ、普通の炎じゃ燃やせないギャ!」


「遊んでんなよ赤いの、こっちを手伝ってくれねぇとお兄さん泣いちゃうゾ」


 階段作りに土壁を生成、駆け上がりながら下から放たれる竜巻を跳躍して回避するとソラの傍に降り立ち、息を吐き出して整える。額から流れる汗を拭って、ソラに視線を飛ばすと意図を察して真っ直ぐに魔女へと突貫した。


「無能を盾にするなんて、酷いのねあなた」


 薄ら笑みを浮かべた魔女はトンッ、とつま先で地面をつつくと茨が発生。波のように連続で突き上がってくる茨を前にしてソラの足元が黄色く発光する。


「盾のつもりなんてねぇ!」


「突っ込むだけでれっきとした攻撃になるんだよ、その赤いのは」


 瞬間、地面に手を付けた神楽の手の下に術式が展開。呼応して地面が盛り上がり、山のようになるとその中心にいるソラの身体が一気に魔女の頭上へ立ち上る。一瞬の戸惑いを振り払い、魔女は茨ではなく右手を突き出して竜巻の発射準備をとった。

 無能の青年とは言え、取られた位置が悪い。硬く握られた拳を見て、加護の可能性を考えた魔女は初めて敵意を持ってソラに反応する。だが、ソラはその反応こそを待っていた。 


「おせぇッ!!」


 盛り上がった山から垂直に落下するように、一瞬前からは想像も付かない速度で肉迫したソラの拳が魔女の顔面を掠めた。そのまま振り下ろされた拳が轟音を響かせて地面を割り、大きな揺れとなってその場に居た全員を驚愕させる。

 在り得ない。さっきまで確かに無能の魔術師であった青年が、ただの拳で地面を割るなど。ましてや肌に触れて裂くなどあってはならない。

 魔女の体皮はゼピュロスの加護により風の膜が展開されている。何万層と重ねられた魔力と空気で練り上げられた膜は銃弾すら弾く強固な防御機能だ。それを容易く突破したソラに対して、


「……よくも、よくもよくもよくもよくもォ!私の顔に傷を付けたわねぇ!!」


 轟ッ!と激しい魔力の放出と共に衝撃波が周囲に撒き散らされた。怒りを体現した竜巻が荒れ狂って乱立し、憎悪に満ちた瞳がソラへと注がれる。

 美しい顔が歪むとここまで狂気的なのかとソラは背筋を凍らせた。同時に、鬼のような表情と殺意に満ちた気配が向けられてようやくソラは理解する。

 これが魔女。数百年を生きた魔術師の成れの果て。魔力の無いソラですら目に見えるほどの膨大で濃厚な魔力が、全て自分に対しての敵意で染められている。

 怖い、と思う。目の前の化け物も勿論怖いが、それ以上にこの未知の恐怖に挑めるとワクワクしている自分にだ。


「ハハッ、どっちも狂ってやがるな……」


 笑みを浮かべたソラと、憎悪に満ちた魔女。二人を遠くから見ている神楽は戦慄する。

 未知に対して誰もが抱くはずの感覚を持ち合わせていない破滅的な好奇心を持ったソラと、美しさという概念に囚われた破壊の魔女。どちらも何かが欠落しているイカれた奴等だ。


「許さない、許さないわよ……このサルがぁ!!」


 ゆっくりと息を吸って、身体中に酸素が行き渡る感覚を噛み締める。肺に溜め込んだ空気を徐々に吐き出せば身体が引き締まっていくのが分かる。向けられた敵意に反応して、溢れ出る力を全身に張り巡らせたソラは構えた。


「行け、御剣(みつるぎ)ちゃん」


「そっちの名字で呼ぶんじゃないわよ、このチャラ男!」


「え、チャラい?俺ってそんなチャラ男のヤンキーに見える??」


 紫電が走り、魔女の背後を駆け抜けた雷が訓練場の端から端までを横断して切り裂いた。一瞬の隙を突いた優華がウィルを回収、同時に耳をつんざく甲高い音が轟くと再び雷を纏った優華は逃げの一手に走る。


「このメスガキィ……ちょろちょろ鬱陶しいのよ!」


「お前の相手は俺だ!」


 優華に視線を移した一瞬、一歩で懐へと踏み込んだソラの拳が魔女の腹部へとねじ込まれた。爆発じみた轟音と共に衝撃波が魔女の身体を突き抜けて端の壁まで吹き飛ばす。踏みしめた大地を割って追撃に移り、余りの人外っぷりに神楽は苦笑いを浮かべた。


「うっわぁ、スイッチ入るとあんな化け物になるのかよ赤いの……マジで契約結んどいて良かったわ」


「はっ……はっ…どうなってんのよ、アレ。背中のコレと戦った時もそうだけど、急にバカみたいに強くなるじゃない」


「寮長をコレ呼ばわりって勇気あんなぁ……その寮長さん、雷に巻かれてビリビリしてるけど大丈夫?トドメ刺しちゃってないそれ??」


 白目を向いて身体を痙攣させているウィルを尻目に、追撃に走ったソラを目で追いかける。

 魔女が竜巻を発射、身を切り裂く暴風を真正面から受けたソラは服を裂かれ、それでも有り余る力を足に乗せて暴風の中を一気に突き破った。


「……っ!?」


「お、らぁ!」


 ドゴンッ!と訓練場を揺るがす一撃が壁を叩き付け、寸でのところで身を翻した魔女が跳躍、足場として茨を発生させると粉々になった訓練場の壁を見て口角を引きつらせた。

 唐突に増したソラの膂力、そして竜巻を直接受けたはずなのに服の下に傷すら付いていない防御力。身体能力の全てが異常なまでに強化されていると判断した魔女は、一つの結論に達した。


「――――加護の力だ。あの赤いのは()()()()を満たすことで加護の力が発動する。結果はご覧の通り、馬鹿げたパワーと防御力ってとこだな」


「ある条件、ってなによ」


「さぁて、お兄さんにも分かんねぇよ。ほら行った行った」


 適当に濁した神楽に唇を尖らせて、優華は出口へと走り出す。ソラの異常さに目が釘付けになっている今、魔女からの妨害はないだろう。

 本当に意味が分からない、と神楽は胸中で呟いて身震いした。

 ゼピュロスの加護の力と言っても、あの竜巻は風属性魔術で言えば上級魔術に当たるほどの威力だ。高名な魔術師が長い長い詠唱と膨大な魔力を持ってして初めて発動する事ができるモノを無詠唱で、無造作に発射している規格外の魔女の攻撃。それを受けて平然としているソラも()()()と言って過言ではない。

 最早ただの身体強化とは言い切れない力だ。魔力も無く、知識も薄いのに異常な加護の力を持つ異端児を前にして、未知への探求心に心が震えて仕方がない。


「……気持ち悪い、あぁ気持ち悪い。野蛮なサルの分際でそんな上等の加護を持つなんて、身の程を知ったらどうかしら」


「ぺっぺっ、また口ん中が砂だらけだ……身の程って言うならそっちこそだろ。人の加護を身体ごと奪っておいて何言ってんだ」


「奪った?この子は長い間ずっと苦しんでいた。誰にも分からない、私にしか分かってあげられない苦しみから……私が解放してあげたのよ」


 そう言って、地面を割った茨の波が押し寄せる。一息で遥か上空に跳躍したソラの服をムートが咥え、空中を旋回して移動する。追って魔女から放たれた竜巻を避けながら拳を握り締めると、


「サルには分からないわ。疎まれる辛さを、理不尽に憎まれる怖さを……ッ!!」


「ムート、突っ込め!」


りょうふぁいぎゃ(りょうかいギャ)!」


 小さな羽を羽ばたかせて、直下降で最速の突進。竜巻が放たれた瞬間に離脱したムートが煙幕代わりに火球を放ち、竜巻の中を直進するソラの視界の端にふとあるモノが映った。

 階段状に作り上げた土壁を高速で昇り詰め、グローブのような土の装甲を右手に纏った神楽が魔女の背後へと押し迫る。


「年寄の魔女は忘れっぽいなぁ?背中がガラ空きだ」


「づ、ぐぅ……!?」


 反射的に身を捻った魔女の脇腹へと突き刺さった殴打により、茨の上から叩き落された魔女は落ち際に竜巻を発射。足場となっている土の階段を吹き飛ばすと神楽が慌てて飛び降りる。


「そ、こ、だぁ!!」


 同時に、地面を削って着地したソラが飛び跳ねるように宙に浮いた魔女へと肉迫し、拳を振り切った。

 パァン!と乾いた音が響き渡り、間に挟まったニ重の茨を突き抜けて衝撃波が魔女の体を吹き飛ばす。盛大な音を立てて地面を転がった魔女は受け身を取り、ゆっくりと起こされる身体はゆらりと揺れた。


「……俺には分かんねぇよ。疎まれるツラさってやつも、憎まれる怖さってやつも。だけど一個だけ分かってんだ」


「サル如きが、何を…ッ!」


「ちょっと前の俺がそうだった。自分の殻に閉じこもって周りに当たり散らかして、この化け物みてぇな力で色んな奴等と喧嘩してきた。大怪我もさせたし、色んな人に迷惑かけまくった。でも、そんな馬鹿な俺でも真正面からぶつかってきて、認めてくれた人がいるんだ」


 ボッコボコにされたけどな、と苦笑いを浮かべたソラは頭を掻いて真っ直ぐに魔女を見つめる。

 最初はただ、ゼピュロスへの盲執が生んだ狂気だと思ってた。だけど違った。魔女と芦屋 風吹(あしや ふぶき)は共存し合っていた。お互いにしか分かり合えない傷を抱えて、魔女はゼピュロスへの盲目で、芦屋 風吹(あしや ふぶき)は魔女の内に閉じこもってそれぞれが傷から目を背けている。

 目を背けて、苦しみから逃げ続けた結果が今の現状なのだとしたら。もう自分の力で止められなくなってしまっているのなら。


「だから、今度は俺が手を差し伸べるって決めた。困っている人や助けを求める人達を、放っておけねぇんだ」


「はっ、誰が助けを求めているですって?私は、私達はそんなもの――――」


「――――じゃあ、なんでお前はそんな顔してるんだよ」


 ソラに言われた言葉が一瞬理解出来なかった。魔女は自らの顔に触れて、頭の中が真っ白になっていく。

 唇は震えて、目が歪んで熱いものが目頭を焦がし、今にも泣きそうな顔になっていた。

 理解ができない、理由が分からない。本人ですら気付けない感情に、身体だけは素直に反応してしまっている。


「な、によコレ……何なのよォ!」


 もしも本当に、目の前の男が救われたのなら。同じように誰かが自分達の苦しみを分かってくれて解放してくれるのなら、と。吹けば飛んでしまうような小さい希望を()は抱いてしまった。


「肉体を持っていた百年、いえ、肉体を失ってもなお私は魔女だからと疎まれた!やってもいない事を理由に憎まれた!人間の醜さに苛まされ続けて、今まで生きてきた!もう悲しむことすら疲れて、全てを諦めることで、誰かを盲執することで、私は私を繋いできたのよぉ!!」


 ヒステリックに頭を抱えて掻き毟り、魔女は叫ぶ。記憶の中を這いずり回る人間の疎ましい目と悪意に満ちた行為が脳を掻き回して痛みさえ思い起こし、呻き苦しみながら涙が溢れ出る。

 そんな魔女を、芦屋 風吹(あしや ふぶき)を見てソラは言う。


「俺はお前を疎まない、憎みもしない、けど諦めもさせねぇ」


「うるさい、うるさいうるさいうるさいうるさいッ!人の心に、私達の心に踏み込んでくるなぁ!!」


 荒れ狂う暴風が上空の暗雲を引き寄せ、瓦礫さえも吸い上げる巨大な竜巻と化した。魔女を守るように覆う竜巻は巻き上げた瓦礫を引き裂き、ドンッ!と無差別に生み出される茨が狂ったように荒れ狂い、訓練場の至る所を傷付けて壊していく。

 それでも、ソラは真っ直ぐに目の前の泣いている人に目を向ける。


「俺は、なんて言われようが手を差し伸べ続ける。それで誰かが救われるって信じてるから。その為なら――――この命が燃え尽きても構わねぇ!」


 目の前の苦しんでいる者の為に。燃え盛る意思を瞳に宿して、拳を握り締めた。



 

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