プロローグ
初めてのものでよければご覧ください。
バイト終わりの疲れた体で帰路に就く男が一人。名前は『永露明日徒』
彼は大学が終わった後に出たバイトでミスをしたことに落ち込みながら帰っていた。
「あーあ、あそこでミスしなければいつも通りに帰れたのになー。明日も朝早くから授業あるし、今日はもうゲーム出来ないなー」
と、残念そうに独り言を呟きながら歩いて帰っていた。
時刻は既に二十三時を超えている。どうせゲームが出来ないのならのんびり帰ろうと決めた彼は、いつもより大分ゆっくりとした速度で歩いている。
ふと、目の前を見ると歩行者信号がちょうど点滅を始めたのが見えた。いつもなら走って渡っているところだが、走るのが面倒に思った彼はその場で止まることにした。
少しすると、後ろから男女二人組が走ってきた。しかし、目の前で歩行者信号が赤色に変わってしまったことを確認するとその場で止まった。
「くっそ、だるいな。あと少しだったのに」
「仕方ないよ。大人しく待ってよう?」
荒々しい言葉を吐く男は恋人らしき女に言われた通りに大人しく待つことにしたらしく「ああ」と一言返事をしてから携帯を触り始めた。
そんな男女二人組を横目に、ここの赤信号長いんだよなー、と思いながらで歩行者信号が青に変わるのを待っていると、突如足元が光に包まれた。
「え?うわっ!」「うおっ、な、何だこれ!?」「いや!何これ!?」
明日徒の反応を皮切りに男女二人組も、足元の謎の光に対して反応を示した。
その瞬間、一際強く足元が発光すると辺りが白色に包まれた。
あまりの眩しさに目を瞑る。
辺りから飛行機のエンジン音のような音が聞こえ始めた。
その直後、地面が大きく揺れた。縦に揺れ、横に揺れ、やがて立つことが出来なくなって座り込む。
体が重く感じ、平衡感覚も無くなり、地面に顔をつける。
体中が熱くなったり、冷たくなったり、痛くなったり、痒くなったりした。
しっかりと呼吸をしているのに水中で息を止めているかのような息苦しさも感じる。
悪夢を見ている時の不安感、恐怖、絶望、孤独感に襲われた。
これらに明日徒は耐えられず、やがて意識を手放した。
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