、、インディーズ、デビュー、、
この日、ナミと乙羽はMSSにやって来ていた。
「練習場所ってどこ?」
虎雄は、奥のカーテンを開ける。
「ジャーン、ステージ風にしてみました。」
ドラムセットとキーボードの前にマイクスタンド。
「ギターは、これを使って、」
「これ、ランダムスターじゃない!」
「これって、変人が使うやつじゃん!」
「いやいや、カッコだけでもこれでいいの、赤と青にしました。」笑
「えーと、わたしブルーで、」
「ナミちゃんズルい、わたしもそれが良かったな、」
「まぁまぁ、二人とも音出して、」
「大丈夫、迷惑しないかは?」
「大丈夫、ここは防音壁がしっかりしているから、ジェットエンジンでも外に音は漏れない。」
「ふぅーん、そうなんだ!」
「それじゃ、練習しよっ、オトちゃん、」
「うん、わかった。ナミちゃん」
二人は、ギターのチュウニングを始める。
「それじゃ、やってみようか、ナミちゃん」
「まずは、イントロから、」
軽快にギターを弾く二人。
「うん、二人、息が合ってきたみたいね、」
「若いっていいな~そう思うだろう、玉子」
「わたし今でも若いです。」
「まぁそういうことにして、俺たちも行くか?」
トラオはドラムへ、玉子はキーボードへと、、
二人は、ナミとオトハの演奏に合わせていく。
初めてにしては、息の合ってる四人であった。
次の日もナミと乙羽は、ギターの練習に来る。
「二人、こっち来て、これに着替えて、」
「えっ?なんかのコスプレ!」
「違うよ、Uフォリスのステージ衣装だよ、」
「えーっ、誰の趣味?」
「はい、僕です。コスプレ仲間に頼んで、特注品だからね、」笑
「はいはい、文句を言わずに着替えて、今日はPV撮影だから、」
「PV撮影って、どこで?」
「着替えたら、弓ヶ浜へ行くよ、」
「えぇ~海で、、」
二人は、文句を言いながら着替える。
皆んなは、弓ヶ浜に向かう、、、
「それじゃ、ギターを抱えて、海をバックに撮影するから、」
二人は、渋々砂浜でポーズをとる。
「トラオ、カメラ回して、」
「了解、音は入れないで撮るから、」
「それじゃ、曲を流すから、それに合わせて、」
「はーい、はい、」
二人は、最初は嫌がっていたが、乗ってきたのか、スター気取りで踊りだす。
知らぬ間に観客が増えていた。
映画の撮影かと勘違いしてる者も、見物人が増えてきたので、みんなは撤収することにした。
そしてMSSに帰る。
「後の編集は、僕の出番だね、」
「あぁ、任せた、トラオ、」
「それじゃ、二人ともお疲れさん、着替えて帰っていいよ、」
「はーい、玉子さん」
「それにしても、見物人が沢山来たのには、ビックリしたね、」
「そうだね、でもスター気分で楽しかった。ナミちゃん」
「わたしは、慣れているから、」笑
「そうか、お姉さんとやっていたんだよね、ナミちゃん」
「そういうこと、、」笑
、、、、、
「ねぇ、編集は上手くいってる?トラオ」
「あぁ、なかなかのできだよ、」
「あっそうだ!思いついた?」
「なんだよ、ビックリするだろう、何を?」
「題名、爆裂ガールはどうかな?」
「うん、それはいい、爆裂ガール、、」
「あとは、あのレーベルから配信しようか?」
「あのレーベルって、もしかして、さくらグループの?」
「そう、、それっ、、」
「Eチュンバにも、アップしたらいいんじゃない?」
「それもいいね、」
「それじゃ、早速交渉に行ってくる。」
「あぁ~頑張って、玉子」
「デモテープちょうだい、トラオ」
「いや、PVの方がいいんじゃない?」
「そうだねー、じゃ行ってくるよ、」
玉子は、ある所に車を走らせる。
何も知らない、ナミとオトハは、夏休みの宿題をしていた。
「ねぇ、数学と英語、多くない?」
「数学っていえば、軽井先生だよね、頼んで免除できないかな?」
「軽井先生なら何とかなるけど、玉城先生は無理だね、きっと、」
「そうか、数学でも頼んでみよう、ナミちゃん」
「今度行ったら頼もうよ、オトちゃん、」
そして、数日が過ぎて、、、
ナミとオトハは、玉子の車に乗っていた。
「ライブ会場って、どこ?」
「着いてからのお楽しみ、」笑
「その笑い、怪しいな、」汗
「まぁ、変なとこじゃないから、」笑
二人を乗せた車は、しばらく北上して行く。もうあたりは暗くなってきた。
「はい、着いたから、降りて、、」
そこには、大型トラックが止まっていた。
「はい、この荷台に乗って、」
「えぇ~ここに!」
「中に衣装があるから、着替えて待ってて、」
「何ここ?まるでステージ見たい!」
「ここでやるのか!」
「総ちゃん、お願い、」
総一郎は、玉子の元セフレ、、
そのトラックは、しばらく走り、ある所で止まった。
「さぁー着いたみたいだから、マイクの前に立ってて、」
トラオも荷台に乗り込み、ドラムセットに座る。
この大型トラックは、ウイング車で片側のトビラがゆっくり開いていく。
開き終わると照明が灯る。
前には、たくさんの観客が集まっていた。
「えっえっ、これって、ゲリラライブ!!」
事前にトラオが、ネットに神奈川のとある駅前でゲリラライブを行います、とアップしていた。そうここは、横浜駅前である。
前では、観客の声援が飛ぶかう、、、
「みんな、来てくれてありがとう。Uフォリスです。」
オオーッ!イェー!
「それじゃ、いきます。爆裂ガール、、」
ドラムの音で始まり、、
軽快な二人のギターが響きわたる。
まず、ナミのソロパート、次にオトハのハモリ、上手くいった。
さらに観客の声援に熱が入るのである。
おっ、おっ、オッ、オッ、、♪♪
それにサイリウムを振り始めた観客、、、
間奏で二人のギターを弾くと更にヒートアップ、、
ナミたちは2番、3番と、歌いきった。♪♪♪♪
偶然立ち会わせた、FM横浜、、、
「いったいこの人集りは、なんでしょうか?ちょっと聞いてみましょうか、」
「ちょっとすいません、この集まりはなんですか?」
「知らないんですか、インディーズデビューしたばかりのUフォリスっていうバンドがゲリラライブやってるのですよ、」
「そうですか!ありがとうございます。」
、、、、
「余りの人の多さで、近づけませんので、」
「そうですか、もし何かわかりましたら、実況おねがいします。」
遠くの方で、警官の姿が見えてきたので、玉子たちは撤収することにした。
ウイング車のトビラを閉めて、その場を去って行く。
Uフォリスのゲリラライブも大成功。
その模様を撮影したMVを配信する。
再生回数もぐんぐん伸びてきている。
「これで組織の資金が稼げたな、玉子」
「そう上手くいけばいいんだけど、まだまだかな?」
「まぁこれで、高性能のキャノン砲が作れる。良かったな玉子、、」
「他にも、新しくスポンサーが見つかればだけど、トラオ」
「まぁ玉子のことだから、あてがあるんだろう?」
「そうね、ある事はあるんだけど、でもねナミちゃんが、、」
「あっそうだ、今日 オリコンランキング発表してるよ」
「そう、それじゃ、」
玉子は、ノートパソコンを開いて見てみる。
「えっ!初登場で19位 だって、、」
「それは凄いことだよ、インディーズなのに、」
「このままいけば、ベスト10入りするかも?」
「そうかもしれないな、ライブのMVがかなり反響あったからね、」
「それじゃ、CD発売しょうか?」
「それは、レーベル次第だけど、、」笑
そんなことになっているとも知らずに、ナミとオトハは宿題に追われていた。
「免除が欲しい~~」汗
「それは無理、とにかく頑張りましょう。オトちゃん、」